なんちゃって専門家の料理法
あなたにもできる、公開資料を使った簡単レシピで一丁上がり
役人の言うなりになる医者なんて要らない

なんちゃって専門家を料理する意義

パンの耳、大根の葉、ブロッコリーの茎。みんな棄てずに料理して美味しく食べられるのです。折角のこのこ出てきてくれたなんちゃって専門家なのですから、食わず嫌いせずに料理してみましょう。ただし始めにお断りしておきますが、あくまで料理法の解説ですので、できあがった料理については何の責任も持ちません。たとえそれがお宅のわんちゃんが見向きもしない、お宅の猫ちゃんがその上を跨いで通るだけの代物でもあっても。

それではまず下記の記事で示された食材の特徴ですが;
1.木だけを見て山を見ない観察眼:本来ならば死者総数=流行期間中の山の高さと裾野の広さで評価すべきなのに、異常なまでに2月9日のたった1日の死者数に拘り、あたかもこれから42万人以上が死亡する史上最悪の流行がやってくるかの如き主張を展開している。そもそも検査陽性者数から2週間あるいはそれ以上遅れてピークがやってくる死者数を主要評価指標にした時点で、なんちゃって専門家の見識が素人未満であることが露見してしまっている。
2.科学的表現からはほど遠い独創的な散文:「激烈な数の横暴」のように日本語として奇妙な表現に引き続き、「死者の方々の数が尋常じゃない」という、科学を学んだことのある者の言葉遣いとは思えない、尋常じゃない散文的な表現。
3.そして文学作品気取り:「従来」とは何なのかが不明。つまり対照を特定せずに、「2倍に近いような数」という、これまた科学なんかどうでもいいとばかりに、文学作品を気取った表現。
4.緊急事態宣言愛好症:とにかく煽ればいいという、言わずもがなの思考停止。緊急事態宣言愛好症が膏肓に入ってしまった、一部の自治体首長や政治家とも共通した症状。

--------------------------------------------------------------------------
感染症学専門家 楽観視に警鐘「数の横暴が起こると尋常じゃない死者数に」 デイリースポーツ 2022.02.10 (抜粋)
 テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」が10日、感染拡大が続く新型コロナウイルスについて報じ、日本医科大学特任教授・北村義浩氏は実質的には9日の死者161人が過去最多だと説明*1)。オミクロン株は重症化しづらいという楽観的な見方に警鐘を鳴らした。

 感染症学が専門の北村氏は「死者の方が160名を超えてきているというのは*1)、一応過去2番目の多さという言い方をされてますけれども、過去一番高かった200人を超えているのは第4波の時にある。この時は報告上の不備があったために、ある日に集中して行われたということがあったので、現実は昨日が実は最多」と指摘。

 「ですから皆さん、オミクロン株、意外に大したことないね、とか重症化しづらいんでしょとかっておっしゃっている方も多いんですけれども、やはりこのような激烈な数の横暴のようなものが起こってしまいますと、死者の方々の数が尋常じゃない*2)、従来の2倍に近いような数です(*3)」と、オミクロン株の楽観視ムードを戒めた(*4)。

 今月13日が期限だった13都県のまん延防止等重点措置の3月6日までの延長が9日に決まったが、北村氏は「まん延防止は従って当然のところなんですが、同じことをただ延長して繰り返すだけなのか、もっと強化をして繰り返すのかというと、私はさすがにこのままでは感染の抑制が不十分だと思いますので、もっともっと強いことをやらないと*4)」と、危機感を強めた。
--------------------------------------------------------------------------
以上の食材の特徴を踏まえればなんちゃって専門家の料理法も自ずから明らかです。今回はこの2年間の推移が見やすいWorldometerからグラフを取ってきました。

1.死者数を「山」で評価する図はクリックして拡大)。検査陽性者数と死者数の推移を見れば、たった1日の数字で今後の傾向を推し量ることの馬鹿馬鹿しさに誰もが簡単に気づきます。この時点でなんちゃって専門家はまな板の上に載ったわけです.後は煮ようと焼こうと自由自在ですから、じっくり料理しましょう。

    まず気になる山の今後ですが、東洋経済オンラインのサイトでは、東京の7日移動平均線は平坦化から減少へ向かおうとしており、全国でも寝てきています。オミクロン株の山の頂はもうすぐです。つまり2022年初頭から始まったオミクロン株もあと1ヶ月半で収束します。死者数のピークは2週間ほど遅れますが、第6波の最終的な死者数はオミクロン株流行開始(2021年12月8日)から2月9日までの死者数1375名の、2倍(2750名)にはなっても3倍(4125名)にはなりません。死者数が収束するのが3月末とすると、4ヶ月の間に三千数百名の死亡ですから、季節性インフルエンザと何ら変わりはありません。

2.具体的なデータを提示する:次に、山が明瞭な3-5波とオミクロン株による6波の死者数と検査陽性者数を見比べてみます。すると3-5波と6波では死者数/検査陽性者数との比率(以下D/P比と略)が決定的に異なることが視覚的に見て取れます(図をクリックして拡大)。具体的には3→4→5→6と進むに従ってD/P比が低下していく。つまり検査陽性者に対する死者数の数が少なくなっていく。すなわち弱毒化です。その過程を数字で表したのが右の表です。 

ワクチンの常識に反することを平気で言う、なんちゃって専門家
この中で4波→5波でD/P比が1.77%から0.38%に激減していますが、これはワクチンの効果ではなくウイルスの弱毒化です。5波におけるD/P比の激減は検査陽性者数の激増(2.15倍、感染予防効果が全くない)と死者数の約半減(45%の減少)の相乗効果によりますが、感染予防効果が全くないどころか検査陽性者が2.15倍に激増する中での死者数の約半減はワクチンの常識から言ってあり得ないことなのです(NEJMが示す「重症化抑制効果の嘘」)。「感染は予防しないが重症化は予防する」なんて、カモがネギばかりはなく、鍋までも背負ってやってきたような話です。

3.必ず適切な対照と比較する
この点については→『追加接種高率国におけるオミクロン株流行下でのCOVID-19による死亡リスクの上昇』を御覧ください。

4.一切の予断を排除して1-3のプロセスから結論を導く ←得られたデータを元に考察する。データ以上のことを言ってはならないし、データに関する本質的議論を欠いてもならない。そうして得られた結論が下記です。
−オミクロン株は典型的な弱毒株である
−日本のオミクロン株流行ではなんちゃって専門家の言うような「数の横暴」も起こらないし、「尋常じゃない死者数」にもならない。
−ワクチンに重症化抑制効果はない。これは公表資料から得られた結論だからいつでもどこでも誰もが検証した上で批判できる。(追加接種高率国におけるオミクロン株流行下でのCOVID-19による死亡リスクの上昇

おしまいにもお断り:私は住まいにテレビジョンの受像器を置いていませんし、新聞も購読していませんので、いわゆる「感染症学専門家」のご意見はネットで拝見するだけです。もしかしたら「あんな、なんちゃって専門家と一緒にしてくれるな」という御仁がいらっしゃるかもしれませんが、それは以下の私の説明とは一切関係がありませんので、文句はテレビ朝日なり、デイリースポーツなり、あるいはご本人になりおっしゃってください。

役人の言うなりになる医者なんて要らない

追加接種高率国におけるオミクロン株流行下でのCOVID-19による死亡リスクの上昇
NEJMが示す「重症化抑制効果の嘘」
新コロバブルの物語
表紙へ