日医の会員数減少

「今の民主主義の下では、団体の政治力は会員の数というよりは、世論が支持するかどうかに懸かっている。医師国保にこだわっていると、医師会がいくら良いことをしても台無しになり、世論を味方にするどころか敵に回してしまう。あまりにも惜しい」。しかし、世の中は権丈教授のような温情のある人ばかりではない。

医師数は毎年4000人増加しているのに、会員数が3年連続減少しているのは、広報のような小手先の問題ではなく、医師会の在り方そのものに問題があることを意味する。

日医の会員数減少の原因はただ一つ。日医の会員がStatusではなく、Stigmaになっているからだ!後ろ指を指されるような組織に誰が入りたいと思うものか!ここを直さなければ日医の影響力の凋落は止まらない。

エパデールOTC化絶対反対!認証看護師(nurse practitioner)絶対反対!、製薬協の透明性ガイドライン絶対反対! と利権でも何でもないものにさえも盲めっぽうに反対する欲張り村の村長さん達(*)は、医師にも一般市民にもとっくの昔に見捨てられている。そんな爺様達が、TPPは混合診療に繋がる、国民皆保険を守れと「正論」を叫んでも誰も耳を貸すわけがない。

*「日本医師会で自分を理解しているのは3分の1,ノンポリの先生が3分の1,あとの3分の1はどうにもならない欲張り村の村長さん」(武見太郎)

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12年日医会員数調査  会員数3年連続の減少、A1会員253人減( 日刊薬業 2013年1月15日 )
 日本医師会が年に1回まとめている会員数調査によると、2012年12月1日現在の会員数は16万5650人で、前年に比べて95人減少した。日医の会員数は記録の残る戦後以降、10年調査で初めて減少に転じ、今回調査で3年連続の減少となった。病院や診療所などの開設者らが該当する「A1会員」は8万4051人(構成割合50.7%)で前年に比べて253人減少した。

●開設者と勤務医の割合が拮抗

 会員数の内訳は、医師賠償責任保険加入の勤務医「A2会員(B)」は3万8232人(23.1%)で5人増、医賠責加入の研修医「A2会員(C)」は842人(0.5%)で42人減となった。

 医賠責未加入の勤務医「B会員」は4万1805人(25.2%)で179人増、医賠責未加入の研修医「C会員」は720人(0.4%)で16人増だった。A2会員(B)とB会員を合わせた勤務医の会員数は8万37人(48.3%)で8万人を突破し、過去最多を更新。開設者らのA1会員と勤務医会員の構成割合が拮抗してきた。

●A1会員、33都道府県で減少

 都道府県別に会員数を見ると、増加したのは福岡(101人増)、栃木(51人増)、愛知(42人増)、大阪(42人増)など17府県。減少したのは東京(130人減)、滋賀(46人減)、京都(41人減)、千葉(33人減)など29都道府県だった。長崎は増減なしだった。

 A1会員数だけで見ると、増加したのは愛知(23人増)、宮城(22人増)など11県にとどまり、3県が増減なし、大阪(50人減)、広島(32人減)など33都道府県で減少した。

 日医は会員数減少を受け、11年度から研修を始める研修医に対して日医のサービスの一部を無償で提供するなどの対策を講じた。12年には無料の医学生向け情報誌「ドクタラーゼ」を創刊し、若年層の医師に向けた働き掛けを続けている。
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 医師国保への補助金、不公平?(下)- 慶大・権丈氏の提示する未来
キャリアブレイン 2013/1/7
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/38914.html

 「市町村並みの保険料にしても、自家診療などを考慮すれば、医師国保は赤字」とし、国庫補助の必要性を訴える京都府医師国民健康保険組合常務理事の安達秀樹氏(府医師会副会長)。これに対し、「国保組合が赤字だとしても、所得水準の高い保険者に公費を入れる正当な理由はない」と切り返すのは、慶大商学部教授の権丈善一氏だ。「医師国保が自発的に医療業種の健康保険組合(健保組合)へ移行することには、大きなメリットがある」と対案も示す。【大島迪子】

■財政補助の論理性?支払能力に応じた負担が社会保険の原則
 「支払能力に応じて保険料を払うのが社会保険の負担方法。歴史的には、財政力が弱い保険者の保険料を上げるわけにいかないから、随時国庫補助金が入ってきた」。権丈氏はこう原則を述べ、市町村国保の給付費に50%、協会けんぽに16.4%の公費が入っている現状を説明する。
 権丈氏が強調するのは、「市町村国保には事業主負担がないから、国庫補助が入っているわけではない」ということ。「事業者が保険料を折半しているのは、賃金を保険料として支払っているという意味合いだ」として、事業主負担として国庫補助を位置付けるのには無理があるとする。
 また、国庫補助水準の不安定さも指摘。「協会けんぽへの公費負担率は、別に理由があって今の水準に決められているわけではない」とし、もし医療者のように、比較的所得水準の高い被保険者がそろって協会けんぽに入ってくるとすれば、協会けんぽの国庫負担率は引き下げられるとみる。「国庫補助金というのはそういうもの」と、権丈氏は国庫補助に頼るリスクを説明する。

■医師国保がもし国庫補助を絶たれたら?
 では、国庫補助がなくなった場合、医師国保にはどのようなシナリオが考えられるのだろうか。
 医療従事者が入る公的医療保険として、小規模な一般診療所の医師とその従業員に一般的なのが医師国保。原則、5人未満の個人事業所の場合しか入ることはできないが、実際は加入した後に5人以上になったり、法人化したりしても加入し続けられるところもあり、都道府県で異なる。
 当初から法人化されている場合や、自治体病院を除く病院などは、中小企業に一般的な協会けんぽや単独の健保組合のほか、医療業種だけでつくる医業健保組合という選択肢もある。現在、北海道、埼玉、東京、神奈川、千葉にあり、地域の病院勤務者や開業医などが労使折半で保険料を負担している。
 安達氏が訴えるように、国庫補助がなくなることで赤字が続き、解散することになれば、5人未満の個人事業所の診療所は市町村国保へ、5人以上、もしくは法人化している診療所は協会けんぽや医業健保組合などの健康保険に入ることになる。

■47都道府県医師国保による健保組合で、「支払側」交渉力を
 「医師国保、ひいては医療界は、政治家たちのパフォーマンスの中で座して死を待つのではなく、ぜひ健保組合の世界に打って出てほしい」。権丈氏は、3大臣合意や社会保障・税一体改革に明記された国庫補助の削減は避けられないとの考えから、「偽装組合員問題のあった建設国保と同類とみなされながら、国庫補助削減の動きを阻止するのはかっこ悪過ぎる。医師の団体にはエリートの矜持を示してほしい」と話す。
 医師国保は、事業主が地域の医師会員であることが要件。権丈氏はこのことを念頭に、「今の民主主義の下では、団体の政治力は会員の数というよりは、世論が支持するかどうかに懸かっている。医師国保にこだわっていると、医師会がいくら良いことをしても台無しになり、世論を味方にするどころか敵に回してしまう。あまりにも惜しい」とも話す。提案するのは、47都道府県の医師国保での健保組合の設立だ。
 700人以上の企業・団体であれば、単一型の健保組合を設立可能。また、同業種や同一地域の団体が集まり、その規模が3000人以上であれば総合型の健保組合をつくることができる=表、クリックで拡大=。他業種と同様に保険料の事業主負担分を払うことになる医業健保組合をつくり、「国庫補助という所得の再分配を受ける側から自立を図り、医療者には尊敬されるリーダーとして、あるべき医療の実現をけん引してもらいたい」と権丈氏。協会けんぽに入るのではなく、健保組合をつくる大きな利点として「医療政策形成における交渉力の向上」を挙げる。
 昨年度末で、医師国保の組合員は32万1800人。権丈氏は「この規模の健保組合は、人材派遣の同業種健保組合以外にない。健康保険組合連合会(健保連)の中でも第2位の地位に入ることで、パナソニックや新日鉄よりも大きな力を持つことができる」と構想を描き、「健保連でも理事職を得て、中央社会保険医療協議会(中医協)でも支払側として意見できる大きさと言えるのでは」と、医療者にとって絶大なメリットを強調する。現行の制度では個人事業主としての医師が健保組合に入ることができない点は、制度改正を求めていくべきという考えだ。
 「診療報酬は引き上げを要求し、一方で、自分たちの保険料引き上げには反対では、誰もついて来ない。確かに、病院、診療所の保険料の負担は増えるだろう。しかし、肉を切らせて骨を断つ。医師国保問題を、民主党政権で中医協から外された医師会が反撃に出るチャンスととらえてくれたら、面白い展開を期待できるようになる」と権丈氏。さらに、この医業健保組合に歯科医師国保27組合27万8800人、薬剤師国保18組合4万7900人が合流するというアイデアも。
 「そうすれば、健保連の中でも一番大きな健保組合になる。医療費増に必須の保険料の引き上げを阻む政治勢力にくさびを打ち込んで、いずれは医療者が中医協に支払側代表として出席する。医師国保への国庫負担廃止の動きは、医療界が前向きな未来に進むきっかけとなる、明るい話だよ」(権丈氏)。
 補助金を維持するために働き掛けを続ける未来と、事業主負担を増やしつつも医療政策で新たな立ち位置を得る可能性にかける未来?。歴史的経緯から「市町村国保と被用者保険の間」にある医師国保は今年、どちらの方向を選ぶか迫られることになりそうだ。
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