温暖化,ヒートアイランドと感染症疫学の変化

地球温暖化だという.東京のヒートアイランド化だという.2000年11月5日夜のNHKスペシャルでは,亜熱帯から輸入されたペットのいんこが都内で野生化して繁殖している様子を示していた.また,下水処理技術が発達して,処理場からきれいで暖かな水が豊富に流れる川には,ペットとして飼われ,その後捨てられた南米の魚が生き延びていた.またその川には冬でもユスリカが大量に発生するので,そのユスリカをエサにするコウモリも冬眠せずに冬でも元気に飛び回っているという.えらい時代になったものだ.

アメリカではすでに5年前,航空機から輸入されたマラリアがニューヨークの真ん中で,海外渡航歴のない患者に発生するという事件が起こっている.もう海外渡航歴などあてにしてはならないのだ.

Layton M, Parise ME, Campbell CC, et al. Mosquito-transmitted malaria in New York City, 1993. Lancet 1995; 346: 729-31.

おまけに日本の家屋では,高気密とか高断熱とかが幅をきかせて,新潟の冬でも室内はブラウス一枚でいいという心地よさだ.雪の降る日に日本脳炎の診断を下さなくてはならないのは,そう遠い将来ではないように思える.

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