田舎美容院 vs 老舗百貨店

英国の床屋/美容院の名前には面白いものが多い.グラスゴー市内ではお目にかかったものをあげてみると.まず,その名もずばり,’headhunter’こいつはなかなか迫力があるよね.洒落たものでは’wavelength’本来は’波長’の意だが,強い縮れっ毛が長くなびいている様子をほうふつさせて優雅な感じがする.headworkers(頭脳労働者)なんてのも気が利いている.hairforceなんて秀作もある.airforce(空軍)にひっかけて,これも迫力ありそうなお店の名前になる.同じ系統の洒落で,haircraftなんてのもある.そのまま読んでも”髪の毛の職人”になるし,aircraftのひっかけにもなる.

僕が出会った最高傑作はHair Rodsだ.直訳すると’髪の毛棒’なんだが,面白いのは意味なんかではなくて,発音なのだ.続けて発音すると,そう,あのロンドンの有名百貨店の名前と発音が同じになるでしょう!.そしてその店の看板が,これまたくすんだ緑地に金色でひょろ長い字が書いてある,あの買物袋のデザインそっくりなんだ.

そのパロディのセンスの良さには舌を巻いてしまうが,御本尊が商標権の侵害で訴えを起こしたっていうのはいかにも大人気ない.そして英国らしくない.たかがグラスゴーの一美容院の看板じゃないか.そんな些細なことにいちいちめくじらをたてていると,老舗の自尊心を却って傷つけると考えるのは僕だけじゃないだろう.

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