ADEと考えざるを得ない :韓国における高いブースター接種率下でのコロナ死激増
ワクチンの有用性は失われた
要約:接種後間もない感染(いわゆるブレイクスルー感染)により露見した有効性持続期間の短さ、及び変異株に対する潜在的有効性への極めて淡い期待に基づき、世界中で3回目さらには4回目以降の接種(いわゆるブースター)が推進されている。ところがブースター接種は臨床試験を経ていないため、その便益及び危険性の判断は現実世界でのぶっつけ本番=人体実験で行われている。そこで公開資料に基づきブースター接種のリスク・ベネフィットバランスの国際比較検討を行ったところ、ワクチン接種率が2回目、ブースターともに世界でも最高レベルにある韓国で、2021年10-11月の感染爆発に伴いCOVID-19による死者が激増していた
    高ワクチン接種率下での死者数の激増は検討した範囲では他の国では認められず、韓国以外の多くの国では、逆に死者数/検査陽性者数比の減少という弱毒化現象がワクチン接種率の高低に関わらず観察された。特にオミクロン株が最初に発見され、同株による第6波が世界最速で収束した南アフリカでは典型的な弱毒化が起こっていた(さよなら、ブースター 栄誉は南アフリカに)。韓国におけるブースター高接種率下でのCOVID-19による死者激増の原因は新型コロナワクチンによるADE以外に考えられない。今後は、第一にADEが本当に韓国に限定したものなのか?第二に、もしそうだとしたら、韓国に限局した原因は何かを、フィリピンに限局して発生したDengvaxiaによるADEの先例も参考にして至急検討する必要がある。 現行の新型コロナワクチンには、1) 有意な便益がなく(死亡者の増加は重症化抑制を真っ向から否定)、2) ADEのような安全性に重大な問題があり、3) さらにウイルス自体の弱毒化も明らかになった。4) また今後も治療薬の選択肢が増加が見込まれる。このような状況下では、現行のワクチンの有用性は最早認められない。

あれから5年ADEとの出会い
もう10年以上前のことです。私は長崎大学在職中にデング熱ワクチンの開発に関わったことがあります。タイの大学ランキングではチュラロンコンより上、1位に輝くマヒドン大学は熱帯医学教室のシーズでした。運命的な出会いと感じたものが、諦念に変わるのにそれほど長い時間はかかりませんでした。あのサノフィー・パスツールが総力を挙げて開発していることを知って、とても敵わないと思いました。
    その後ついに史上初のデング熱ワクチンとしてDengvaxiaがメキシコ、フィリピン、インドネシア等、デング熱に苦しむ世界11ヶ国に提供されるという知らせを受けて、心の中でサノフィに拍手を送ったものでした。2016年、長崎を離れてから3年が経っていました。ですから、「ワクチンをうった子供がデング熱に感染すると重症化し、死亡するケースが相次いでいる」と聞いた時は、本当に腹が立ちました。「そんな馬鹿なことがあるか。またドゥテルテの奴、言い掛かりもいい加減にしろ!!」。しかし、その思いがひっくり返されるのにも、それほど長い時間はかかりませんでした。医者になって30年、「抗体依存性感染増強(Antibody-Dependent Enhancement:ADE)」なる言葉を耳にしたのは、この時が初めてでした。→一般市民向けADEのわかりやすい解説
コロナワクチン、「フィリピンの悲劇」再来はないのか?(谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」 日経メディカル 2021/02/10)より抜粋。
    それに、デング熱と同じようにSARS-CoV-2も2回感染することがあるからという理由だけで抗体依存性感染増強現象 が生じ、さらにワクチンがフィリピンのDengvaxiaと同じ運命をたどる可能性がある、などといえば、これは論理の飛躍であり、識者には一笑に付されるかもしれない。だが、絶対に起こらないと証明することもまた困難なのではあるまいか。
    フィリピンの事件が起こったのはそれほど遠い昔ではなく、わずか5年前だ。しかもDengvaxiaは20年の月日をかけて開発されたワクチンなのだ。それだけの時間をかけ安全性も担保されたはずだったワクチンが市場に登場し、600人以上の子どもが犠牲になった可能性が高く、フィリピン政府は2019年2月に「Dengvaxiaを永久に禁止する」と発表したのだ。

新型コロナウイルスの抗体による感染増強 (ADE) について(京都大学 ウイルス・再生医科学研究所 2020年11月13日)
Sタンパク質の受容体結合部位 (Receptor Binding Domain : RBD) を認識するいくつかの抗体は、SARS-CoV-2とACE2受容体間の結合を干渉し、感染を阻害します (1)。しかし、RBDに対する抗体全てが感染を阻害するとは限りません。SARS-CoV-2の抗Sタンパク質抗体の中には逆に感染を増強させるものもあります (2, 3)
池田注:少なくとも3の文献はpublished→Nat Commun. 2020 Nov 13;11(1):5752. doi: 10.1038/s41467-020-19568-1. 私が調べた限りでは、2の文献はpreprint以外には見当たりませんでした。

ブースター/第6波関係の国際比較で見えてくること
いわゆる第6波/オミクロン株の流行を含め、少なくともデルタ株以降のCOVID-19に対してブースター(3回目とそれ以降の接種)を含むワクチンが無効であることは説明しました(弱毒化とワクチン無効の動かぬ証拠)。今回は無効というより、むしろワクチンがCOVID-19による死亡率を高めている可能性、具体的には抗体依存性感染増強(ADE)が否定できない韓国の現状を取り上げます。左の図はアイスランド(2021年12月28日現在。2回目接種率83%、ブースター接種率58%)、英国(69%, 49%)、韓国(83%, 32%)、世界平均(49%, 6.4%)、台湾(66%, 0.5%)、日本(78%、0.4%)の各国におけるブースター接種の推移を表したものです(クリックして拡大)。
     これらの国々を選んだ理由は、1)いずれも先進国であり、COVID-19の検査体制が整っていること、さらに2)ワクチン2回接種率が70%近くあるは70%を超えている、3)ブースター接種率の経過が明確に把握できている、4)2回目接種が完了しブースター接種開始前までは流行が収まっていた。の4つの条件をいずれも満たしていることです。


次にブースター接種率の高い、アイスランド、英国、韓国の3ヶ国における検査陽性者数と死者数の推移を比較・検討しました(クリックして拡大)。この図を見た方は我が目を疑うはずです。「そんな馬鹿な」と。私がDengvaxiaによるADEの報に接した時のように。どうぞ、確認してください(Daily New Deaths in South Korea)。次にその死亡者数の増加と韓国におけるブースター接種率の推移の関係を確認してください。その関係を確認した上で、ブースター接種率がたったの0.5%, 0.4%に留まっている台湾(Daily New Deaths in Taiwan)と日本(Daily New Deaths in Japan)のCOVID-19による死亡者数を確認すると、台湾では2021年12月19日に1人亡くなって以降、12月31日まで死者数0が18日間続いていました。日本では同年12月29日死者4名でしたが、12月30日、31日と2日間0でした。


韓国だけで起きている3回目接種後の死亡者の激増
 ●アイスランドと英国では典型的な弱毒株の態度:アイスランドと英国では世界平均を遥かに超える高いブースター接種率を達成していたにもかかわらず、感染爆発が起こっている。しかしCOVID-19による死亡者数の爆発的増加は起こっていない。つまり、死者数/検査陽性者数比は上昇していない。
独仏伊でも同様に弱毒化の態度:アイスランド、英国ほどではないが、韓国同様高いブースター接種率を誇るドイツ(37%)、フランス(32%)、イタリア(30%)でも、死者数/検査陽性者数比はオミクロン株流行以降も低いままに留まっている。(確認したい方はそれぞれの国のデータをどうぞ:ドイツフランスイタリア。この中でドイツがやや死者数/検査陽性者数比が高いように見えますが、3-5波における死者数/検査陽性者数比と現在の6波を比べれば計算せずとも6波の弱毒化は明らかです。
韓国では死者数の激増を伴う感染爆発:アイスランドと英国よりは低いが、独仏伊と比肩する高いブースター接種率(32%)を誇る韓国で起こっているのは、同国でもその前のデルタ株(検査陽性者数で言うと7月から10月下旬までの台地状の波)では決して見られなかった死者数/検査陽性者数比の異常高値です。
―韓国では2021年12月は、23日に109人、25日に105人、31日に108人と、多数の死亡者を出しました。
―日本の人口は韓国の2.5倍で、人口100万人あたりのCOVID-19の死者数は、これまでで日本146に対して韓国は日本の3/4に過ぎない110。
―日本でCOVID-19による死者が200人を超えたのは2021年5月18日の228人のたった一日だけで、あとは全て150人未満です。
以上を考えると対馬海峡の向こうで如何に多くの死者が出ているかがおわかりになるでしょう。現在世界中で弱毒化が明瞭になっているにもかかわらずです弱毒化とワクチン無効の動かぬ証拠)。
韓国の感染爆発開始はブースター開始時期と一致:韓国でブースター接種が始まったのは2021年10月ですが、開始当初はファイザーワクチンのみでした。その後11月、12月にはモデルナ、ヤンセンのワクチンもブースター用に使えるようにしました(Gov't to announce plans to expand booster shots for Nov, Dec. Ariang 2021-10-28)。この一連のブースター拡大戦略はちょうど第6波の開始→拡大時期と一致します。
3回目接種を全く行っていない国々でもこのような死者激増は一切観察されていない:非常に高い第2回接種率を達成している日本、台湾はもちろんのこと、オミクロン株流行がほぼ収束した南アフリカを含め第2回接種率さえ世界平均未満の、ナイジェリアパキスタンバングラデシュ、といった開発途上国でも、死者激増は一切観察されていない。このことも韓国における死者激増の原因が3回目接種であることを示唆する。

まとめ
1. ワクチンは感染を抑制せずとも重症者数/死者数を劇的に減少させるという主張は真っ赤な嘘である感染抑制を伴わない重症者/死者数の減少はコロナウイルスの弱毒化によるものであってワクチンの効果ではない。それは以下の3つの事実による。以下の理由は公開資料に基づく事実だから、ワクチンの重症者数/死者数減少効果を主張する者は医学常識を知らない大馬鹿者か社会常識を知らない大嘘つきのどちらかである。
    1) 感染抑制を伴わない重症者/死者数の減少は臨床試験の結果に反する(NEJMが示す「重症化抑制効果」の嘘)。臨床試験で見いだせなかったエビデンスがリアルワールドで証明できたように見えるのは何らかのバイアスの影響を見ているに過ぎない。もし人数を増やしたことでそのような効果が明らかになるとしても、その時は必ず臨床試験で見いだせた効果、具体的には感染抑制が必ず証明されなければならない。
    2) ワクチン接種率が世界平均の半分に過ぎない南アフリカで流行したオミクロン株が典型的な弱毒化現象(死者数/検査陽性者数比の減少)を示した
    3) 2)とは全く逆に2回目接種率が世界トップレベル、かつ3回目接種率でも世界でトップクラスに入る韓国において、デルタand/orオミクロン株による感染爆発とともに死者数が激増していたことも、ワクチンが重症化を抑制するという主張を全面的に否定する。

2. ウイルスの強毒化ではなくADEである:この後に及んでウイルスの強毒化などあり得ない。そんなものは世界中のどこでも証明されていない。韓国における死者数の激増の原因がウイルスでなければワクチン以外にはない。ワクチンによるADEはデング熱に限らない。エボラウイルス、既知のコロナウイルス (SARS-CoV-1やMERS-CoV) などでもADEが起こることが知られている(新型コロナウイルスの抗体による感染増強 (ADE) について)。どうしてSARS-CoV-2が例外たりえようか?

3. 韓国におけるコロナ死激増の原因はADE以外には考えられない。今後の研究の焦点は、ADEは本当に韓国に限局した現象なのかを検討した上で→その限局の原因を含めて死者が激増したメカニズムを究明することにある。

4. ADEを起こすワクチンなんかもう要らない:南アフリカの功績(さよなら、ブースター 栄誉は南アフリカに)によりオミクロン株が典型的な弱毒株であることが判明した以上、強毒アルファ株用に開発された現行のワクチンは最早必要ない。その上現行の新型コロナワクチンには、1) 有意な便益がなく、2) ADEのような安全性に重大な問題があり、3) さらにウイルス自体の弱毒化も明らかになった。今後も治療薬の選択肢が増加が見込まれる状況下では、3回目接種を含め現行のワクチン接種を続行する意義は消失した。(新型コロナワクチンとADEについての更なる問題については稿を改めて論ずることにする)

さらばブースター 栄誉は南アフリカに
新コロバブルの物語
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