米国ワシントン州で家庭医の研修を終えられた医師 渡辺 健仁先生の感想
平成19年8月8日と9日の2日間、三瀬村診療所を見学する機会を得た。
三瀬トンネルを出て三瀬村に入ると真夏であってもすこし涼しいような気がした。緑がきれいな村であった。白浜先生はその村唯一の診療所で働いておられる。まずなんといっても診療所が立派。米国でもあのように立派で巨大な診療所はみたことがない。レントゲンから基本的な尿・血液検査が一通りでき、経過観察用のベッドが6床もある。診察室も2つあり、地域で感染症が流行したときのために隔離等し易いよう作りが工夫されているとのこと。保健センターとの併設とはすばらしいアイデアだと思った。施設内に温泉プールもあり、だれでも気軽に利用できるのは魅力的だ。白浜先生も時折利用されているとのことであった。これは単なるその一面に過ぎないであろうが、良い医療を提供するためには自分のQOLも維持する必要があるとの視点を診療所設立時より持っておられたことはすばらしいと思った。
白浜先生は気さくで存在感のある先生だ。患者さんの訴え・不満にしっかり耳を傾ける。ちょっとした患者さんのしぐさを見逃さない。何かいい足りないことがありそうな患者さんにはきちんと話してもらう。忙しい時もそういった素振りを患者さんに見せない。患者さんにはオープンでご自分の持病のことも気兼ねなく地元の言葉で話される。患者さんからすれば敷居の低さを感じるとともに親近感がわくことは容易に想像できた。往診も含めてすっかり地域に溶け込んだ医師の姿を見せて頂いた。
研修医が常にいる体制であるので、忙しい時や具合の悪い患者が来た場合は、研修医がすぐ対応できる仕組みになっている。全体の患者数が多くはないので、研修医にとって外来症例数的には若干物足りないかもしれない。ただそれを差し引いても地域医療研修の目的のおき方によっては、三瀬村診療所では非常に多くのことが学べるのではないかと思う。
日本の保険診療を良く理解していない私に対し、白浜先生は丁寧にわかりやすく教えてくださった。保険病名と処置、処方が対応しているかなど、レセプトチェックが電子カルテ上で行いやすいようになっていた。日本では主に処置・処方内容で保険点数が決まり、実際のカルテの内容(主訴・診察・アセスメント・プランの部分)はレセプト上ではチェックされず保険点数に反映されないとのこと。一方で医療費は安価なので患者を沢山診なければならない。米国では処置だけでなくカルテの内容で医療費(保険点数)が決まるので電子カルテも必然とその部分が大部分を占める。患者一人に割り当てられた時間は日本より長いもののカルテの作成に費やす時間もかなりある。いずれにおいても目の前の患者に割く質のある時間をいかに確保するかは両国共通の課題のようだ。
以上が2日間の見学を終えての簡単な感想である。日本の病院・診療所で直接働いたことのない私にとって、短期間であったが非常に有意義な2日間であった。お忙しい中、面識もなく突然ふらっと現れた私などの見学を受け入れてくださった白浜先生にあたらためて感謝したい。
平成19年8月16日