三瀬診療所実習レポート
実習期間:H15.7.7〜H15.7.18
佐賀医科大学6年 98033 沢座麻美


実習スケジュール
7/7 (月):三瀬診療所実習(外来)
7/8 (火):シルバーケア三瀬デイサービス体験
7/9 (水):バス送迎乗車、三瀬診療所実習(外来)、健康診断結果報告
7/10(木):バス送迎乗車、三瀬診療所実習(外来)、流水浴体験
7/11(金):三瀬診療所実習(外来)
7/14(月):三瀬診療所実習(外来)、ケアカンファレンス、流水浴体験
7/15(火):シルバーケア三瀬ホームヘルプ・支援センター業務体験
7/16(水):玄界診療所実習(外来、島内見学)
7/17(木):三瀬診療所実習(外来)、元気村おたっしゃ教室、高齢者サービス調整会議


【三瀬診療所実習(外来)】
診療所での患者さんと医師の関係は、大学病院のように疾患を主に診るのではなく、患者さんを病気を患った一人の人としてみているように感じた。大学などでは、一ヶ月や二ヶ月に一度、経過観察のために来るだけであり、患者さんのバックグラウンドまでは目が届かない。しかし、三瀬診療所では外来にかかる患者さんは近所の人たちでもあり、一週間または二週間に一度は必ず外来に顔を出し、しかも親戚同士で一緒に外来に来たりするので、家族関係や近所同士の付き合い方などまで把握することができる。このようなことはやはり、三瀬診療所が小さな村にかかりつけ医として存在するからこそできるのではないかと思った。そして設備等が足りずに診療所では診断や治療が不可能と判断したときには、近くの大きな病院へ紹介し、その後の経過等もしっかりと把握していた。このような診療所と大病院の連携は患者さんにとっても安心感を与えると思うし、医師にとっても患者さんの全てを把握することができるので非常に重要なことであると思う。
また診療所の待合室は患者さん同士の情報交換の場となっていることや、診察室の椅子は患者さんが座りやすいように肘掛をつけていないこと、温かみが出るように座布団を敷いてあること、診療所までは無料の送迎バスが毎日2便ずつ出ていることなど、患者さんにとって非常に診療所にかかりやすい体制が整っているなあと感じた。また、医療スタッフが患者さんの情報をほとんど把握しており、新しい情報が入ればそれを皆で共有するという自然な姿勢があり、これがチーム医療に非常に役立っているんだなあと感じた。


【シルバーケア三瀬デイサービス・ホームヘルプ体験】
デイサービスではバスで患者さんを自宅まで迎えに行き、20名くらいを毎朝9時過ぎに連れてきていた。そしてまずバイタルチェックをし、午前中は体を動かすレクチャーをし、午後は椅子や畳に座って絵などを作っていくレクチャーや入浴などを行っていた。私が想像していたより、ADLの高い方が多く、動レクでは皆さん非常に楽しんでおられ、私もとても楽しめた。午後は男性はテレビをみたり、お昼寝をされている方が多かったが、女性は毛糸球作りをしたり、折り紙を折ったりと指先を動かす作業を楽しんでおられる様子だった。デイサービスではレクチャーは毎日異なるようで、しかも結構楽しめる内容のものを選んであるので、デイサービスに来られている方々はとても楽しみに来ている様子であった。また、皆さん知り合いなので、お互いの近況を話し合ったりするなど、コミュニケーションの場にもなっていて、このような刺激が老化を遅くさせ、健康を保つ働きをしているのではないかと思った。
ホームヘルプでは本人のバイタルチェックを行った後、話を聞きながら家事等を行い、現在の状況を把握していた。また、世間話等もすることでお互い楽しく時間を過ごしているんだなあという印象を受けた。ホームヘルプが入ることで本人にも刺激になり、安全な暮らしをすることもできるという利点があるが、逆に一人でいたい人などにとっては、他人が家に上がってきて家事をすることはプライバシーの侵害にもなるなど、実際には難しい問題が生じるケースもあり、プライバシーと安全を保つバランスが難しいだろうなと感じた。


【健康診断結果報告】
午後2時から5時までの間に、約15人ほどが来られ、保健相談・栄養相談を受けていた。主に高血圧や高脂血症の方がほとんどで、食事に注意するように指導を受けていた。中にはその指導を受け、2年で10kgも体重を落とし、LDL値や中性脂肪を基準値内まで落とした方もおり、健康に対する関心の高さがうかがえた。また、このようにそれぞれの地区で健康相談ができる場を設けることで、地域住民との信頼関係を築いていってるんだなあと感じた。生活習慣病が多い昨今、健康診断は「癌検診」としての意味だけでなく、生活を見直そうという意味も含まれていることを理解してもらい、実践してもらうことが大事なので、このような取り組みは非常に地域住民にとってプラスになることだと思った。


【流水浴体験】
診療所と併設されている健康増進施設の中に、流水浴施設がある。ここには3種類のプールがあり、効果的なダイエット(腹部の脂肪を燃焼させるなど)ができる。村民なら無料で利用でき、診療所で高脂血症を指摘された方などは、医師からも流水浴を利用するように勧められ、実際にできるだけ通っている方も多いようであった。私たちも2回ほど利用させていただいたが、アクアビューティーという人間洗濯機のようなものはおなか周りに非常に強い水流(体を支えるだけで必死になるくらい)があたり、毎日続ければきっとウエストが細くなるだろうという感じがした。ほかの二つもマッサージ効果や、足を鍛えるようなプールであり、脂肪を燃焼させ筋肉に変えていって健康につながるような仕組みになっていて、毎日入りたいと思った。また、ここではタオルや流水浴用の衣類も貸し出しており、手ぶらで行っても利用できる利点があった。流水浴後もマッサージチェアが無料で利用でき、三瀬村は村民の健康管理に非常に重きを置いているなあと感じた。


【ケアカンファレンス】
本人・家族・福祉相談員・医師等が集まり、まず現在の状況の把握をし、問題になっている点を挙げ、それに対してどういう対処をしたらいいのかを話し合い、対応を決めるということを行っていた。カンファレンスというと、大体医師や看護師だけで方針を決めるイメージがあるが、このケアカンファレンスでは本人・家族を交え、本当に欲しているケアを提供できるように努力していることが印象的だった。


【玄界診療所実習(外来、島内見学)】
玄界島は博多埠頭から船で30分の距離にある、周囲約4kmの島である。人口は700人程度で、小学校の全校生徒は33人ほどしかいない、過疎の進んだ島である。2ヶ月前から2年ぶりに常駐の医師が来ている診療所に一日お世話になった。外来は一日10数人程度ということだったが、私たちが行った日は5人ほどしか来られなかった。外来では高血圧の患者さんの診察を見学させていただいたが、この方の投薬内容は不必要なものまで含まれていた。この理由を副島先生は、「常駐の医師が不在だった2年の間に、一週間交代とかで医師が変わり、そのため皆患者さんの状況を把握することができないまま、不必要になった治療も継続でだしていたようだ」と解説してくれた。しかし、患者さんはそんなことを知る由もなく、今までの薬で大丈夫だったから、と薬を減らすことに対して抵抗があるようだった。しかしながら、不必要な薬は有害あっても一利なしで、減らすべきであり、その理論を徐々にわかってもらうように説明している段階であると教えていただいた。ほかの患者さんたちもこのことについては同様であり、常駐の医師がいないということはこんなにも住民にとって害を与えるものなのかと正直驚いた。
また、島では住民がどのような生活をしているのかを見るために、周りを1時間半ほど散策してみた。初めは小学校の近くにある公園まで行ってみたが、そこまでの道のりは階段ばかりで、健康な24歳の私でもかなり足がくたびれ、息もあがるほどであった。坂もなく、隣の家まで行くにも階段を使わなければならないような島であり、ここの人たちが車椅子での生活になったら外には出られないだろうと感じた。診療所に行くにも階段を何段も降り、診療が終わったらその分また上らなければならないことを考えると、診療所に来るより自宅で安静にしているほうがいいだろうと思う。今回はこのような診療所が抱える問題点、島の福祉が行き届いていないという問題点などを身をもって感じることができ、よかったと思う。知識だけの僻地医療を理解しても意味がなく、実際に自分の足で僻地医療をみたことは、将来の私にとっても大きな意味を持つだろうと感じた。


【元気村おたっしゃ教室】
体を健康に保つために気をつけるべき食事や運動療法を、高齢者にもわかりやすく、実践できるようにゆっくりと詳しく解説していた。多くの方はよく集中して聞いており、健康に対する関心の高さがうかがえた。このような取り組みをすることで、村民の健康を守り、コミュニケーションを図ることができ、質のよい医療に結びつくんだろうなと感じた。


【高齢者サービス調整会議】
参加者は議長、役場の保健士、医師、看護師、福祉相談員など10人近い人数であったが、一人一人の状況や問題点をほぼ全員が把握しており、その上で新しく出てきた問題点等について話し合っていた。患者さんの生活や経済状況にまで突っ込んだ深い話をしており、他の大きい市や町では同じことをするのは、実際には不可能だろうなと感じた。そしてその患者さんが一番暮らしやすくなるためには自分たちに何ができるか、どういう方法でアプローチしていけばいいのかを真剣に話し合っていて、その解決策を見出すためにかなりプライベートなことまで情報を共有しなければならないのだろうと感じた。しかし、小さな村でもあり、誰かがちょっとでも口を滑らせればあっという間に噂として広がるであろうことは予測できることなので、そんなことは絶対にないように十二分の配慮が必要だと感じた。


【実習のまとめ】
三瀬の皆さんはとても気軽に私たちに話しかけてくれ、「いいお医者さんになってね」などの暖かい言葉をかけてくださり、非常に嬉しかったです。学生が毎回来ていることで、学生実習に慣れているということもあるとは思いますが、三瀬の方々は人情があり、親切な方が多いなあという印象を受けました。このように周りの方々が実習に協力的な姿勢を見せていただけると、学生としても非常に実習しやすくかつ楽しくできるので、この信頼関係を壊さないようにこれからも多くの学生が三瀬で実習できたらいいなと思いました。診療所やシルバーケア三瀬の医療スタッフも、私たちのことを非常に気遣ってくださり、とてもありがたかったです。そして白浜先生がこのように実習しやすい環境を作ってくださったことにもとても感謝しています。貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました。


学生の感想に戻る