研修レポートまとめ       佐賀大学病院研修医2年目   大石 光寿

今回、私は平成1910月1日から1031日までの1ヶ月間、三瀬診療所で研修をさせて頂いた。私が最初に抱いていた診療所の医師のイメージというのは、広範な知識が要求される、誰がどこに住んでいてどのような家族構成であるかなど通常の大きな病院では、なかなか把握できないことも把握でき、きめこまやかな対応ができる、common diseaseの診療が多いといったものであった。診療所での研修を終えてのイメージは大まかには変わっていないが、以下に研修の感想を述べようと思う。

 三瀬診療所での診療内容は、高血圧や糖尿病、高尿酸血症、高脂血症、肝機能障害などの一般的な疾患の経過観察が主であった。年齢相は70歳以上の方が多く、2つ以上の基礎疾患を有する方も多い。高血圧の診療では、家庭では低いが外来では高い患者が多く、高齢者の高血圧をどこまで下げるべきかということを常に考えさせられた。また、患者が高血圧でかかっていることを分かっていなかったりして、患者への説明の必要性を感じた。

 診療所では、風邪症候群、膀胱炎、外傷、小児の発疹などのcommon diseaseや熱傷、蜂刺虫症など普段診ない疾患も診療した。風邪症候群では、主に抗生物質を使用するべき否かを検討し、漢方薬を処方する事が多かった。これまで漢方薬についてはあまり知らなかったが、風邪症候群で使用する漢方薬だけでも調べると意外に多くの漢方薬があり、それぞれの薬に使い分けがあり興味深かった。膀胱炎の診療では、いままでは尿路感染症にはレボフロキサシンであるクラビットを処方することが多かったが、実際その金額を調べると安くは無く、アンピシリンでも効果があり、アンピシリンの方がより患者負担が少ないことを知るとすぐにクラビットを処方することを考えさせられた。この例では、膀胱炎にはアンピシリンも有効であるということを知っておけば、患者にそれが負担軽減といった形で還元されるので、診療所だけに限らないが広範な知識が必要であると感じた。また、このように処方内容だけではないが、診療所では普段決まりきった内容(検査、治療)を再吟味することが多かった。それらは、すべて何らかの形で患者に還元されるようになっていた。

三瀬診療所の業務内容には、インフルエンザなどの予防接種、小児検診、成人の健康診断などの業務も含まれている。その他、毎週水曜日には往診があり、患者の自宅での生活を詳細にみることができ、これは介護保険の主治意見書の作成において重要であった。見れば話で聞くことよりも多くの情報や気付きが得られるからである。

 三瀬診療所では、休日にイベントがあると救護班として待機した。祭りの時には受付として多くの人と触れ合うことができ、また打ち上げにも参加して、村民の方との温かいふれあいを体験できた。診療所の職員と村民が互いをよく知っているという関係ができており、それは良いことと思う。その反面、診療所の職員は常に村民の方から見られているということであり、それは診療を見られているということにもなり、負担にもなった。それは、特に救急搬送の時に強く感じた。研修中、急性発症の左側腹部痛の患者を診ることがあったが他病院へ搬送するか迷うような症例で結局搬送してよかった症例であったが、搬送中は何もなかったらと思うと負担になった。

 以上、診療所では患者を社会的、経済的、心理的により患者サイドにたって診ることが可能なように思える。それは規模が小さいために1人1人の患者に時間をかけることが可能であるからである。また、診療所での医療は医学的知識だけでなく広範な知識が必要であり、興味がつきない分野であると思う。


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