2.往診
家で寝たきりの人、また、一人暮らしではあるが病院よりも家にいる事を望む人のところへ往診に行った。在宅での治療を実現でき、また、もっとも困っている人に医療を提供できる往診はとてもよい診療方法である。
一人暮らしのお年寄りが在宅で居られることに驚きを感じたが、訪問看護やホームヘルプの人などが毎日誰かしら訪れるようにしているためということであった。三瀬村というつながりの深いコミュニティーもそれを実現させている要因の一つであるのかもしれない。先生と学生の間で何度かディスカッションのようなものがあった。普通であれば心もとなく感じ入院させたくなってしまいそうであるが、そうした中で在宅OKを出せるのも、その人を長く診てきた事実があり、また、その他の介護支援施設と協力し診ていけるという自信があってのことのようだった。映画「I
am Sam」のように何がその人にとって最も幸せなことなのかは、本人とその人をよく知る人にしかわからない。医者という仕事も時に他人の人生に大きな影響を及ぼしてしまう場面がある。そのことを肝に銘じて何が患者にとってのベストなのかこちら側も常に最善を尽くして考えなければならないと改めて感じた。
3.シルバーケアセンター三瀬
こちらには二日間お世話になり、デイケア、介護支援センター、ホームヘルプの様子を見学させていただいた。デイケア、ホームヘルプについてはなんとなく知ってはいたが、介護支援センターの仕事についてはその名前も内容も初めて知るものであった。お年寄りや障害を持つ人が少しでも元気に暮らせるためにこのような様々なオプションがあることを知ることができ、大変ためになったと思う。こういう実際を見ているのと、見ていないのとでは患者さんと話すときに違うのではないだろうか。
デイケアではバスハイクに参加させていただき、暑かったが楽しく、また、ヘルパーの方の相手のことを考えたきめの細かな配慮に感銘を受けた。
これらの各代表の人と、診療所、地域の保健センターの人々の間で意見交換会が開かれており、一人の高齢者に関して複数の側面から見た情報を共有できケアを提供できるようになっていた。
4.富士大和温泉病院
ここでは、リハビリを中心としたデイケアと、訪問リハビリについて見学させていただいた。デイケアでは、温泉病院というだけあって、入浴の介助と、リハビリなどが午前と午後にわかれ行われていた。二つの施設のデイケアに参加させてもらい知ったことであるが、外に出歩くのに不自由等の理由で家の中に閉じこもりがちになってしまうお年寄りたちの社交場としての役割がデイケアには多いにあるそうである。
訪問リハでは脳梗塞後のリハビリを行っている方のお家へおじゃました。リハビリを行うことはもちろん、先生に会うことも患者さんが楽しみにしていることのひとつであるようだった。リハビリの様子を見ていて感じたことであるが、理学療法士の先生は患者さんのからだを動かしたり、マッサージすることで医者よりも、より直接的に患者さんの体に働きかけ治療を行なっている。患者さんもリハをすることでの痛み等もあるのであろうが、施行後のほうが元気になっているような気がした。
5.小石原診療所
福岡の小石原というところにある診療所でも実習させていただいた。ここの診療所も美しい自然に囲まれ、それほど大きくない村に何十件も焼き物屋が並ぶ、という場所にあった。午前中は外来と、保健婦さんについて村の健康相談を見学させていただき、昼食はおいしい手料理をごちそうになり、午後は往診と陶芸体験をさせていただいた。
ここでの外来も、長く患者さんを知っていてこそ、という外来であった。おいしいご飯をいただきながら、医者として今まで感じてきたことや、診療所にやってきた経緯などの話しを聞かせていただいた。確かな知識とともに精神的な余裕が感じられ、自分の将来を考える上でも、学生時代にこうした出会いがあってよかったと思った。往診での出会いも大変印象深いものであった。陶芸体験では時間を忘れて(実習にきているということも忘れて)楽しんでしまった。
たった一日だけであったが、今後の財産ともいえるような経験であった。
まとめ
この実習では2週間いろいろな経験をさせていただいた。
この実習に入る前に緩和ケア病棟での実習を経験したのであるが、三瀬村では治療中の経過も末期のケアも一連の流れとしてそこにあり、長く一人の患者さんを診ていく事ができるということの大切さ、強みを感じた。本当に人を診るということはどういうことなのか考えさせられた。ここでの経験を大切にし今後に生かしていきたい。
2週間ありがとうございました。