診療所実習レポート(沖田裕子さん)

〜診療所実習について〜
   三瀬診療所での実習は第一週の月、水、木、金曜に行った。まず診療所に着いたときの第一印象は思っていた感じより小さなところで(村で唯一の医療機関ときいていたので割と大きな病院かと想像していた。)ここでいったいどれ程のことができるのだろうと言う疑問だった。
   次から次へと訪れる患者さんは高血圧の方が圧倒的に多く、先生が患者のことをよく把握しているためか診察はスムーズであるように感じた。また診療所は小さいながらも一通り何でもそろっており、ここでは手に負えないような重病はルールアウトできるだけの医療機関であることが徐々に分かってきた。
   四日間診療を見学して、ここで最も感じたことは患者が医師に対して自分はどうして欲しいと思っているかはっきり訴えるということであった。大学の総合診療部で実習を行ったとき、問診をとる中で「自分の症状についてどう思うか」とか「検査や治療に対して希望はないか」と質問していたが、おおくのひとは「わからない」とか「せんせいにおまかせします」といったような返事が多かったような気がする。しかし、ここでは名前を呼ばれて診察室に入ってきたときから「調子悪いから注射して下さい」など自分の希望をはっきり言っていた。
 この違いの原因はいろいろあるだろうが、やはり一番大きな要素は先生が皆のことをよく知っており、皆が先生のことを知っているからであろうと思われた。お互いに顔なじみで親しみがあるから医師からの指示も守ろうと思うし、希望があれば伝えようという気になるのではないかという気がした。
 また、診療所に来る患者さんの中にシルバーケアでのデイサービスを利用している方もおられ、学生が火曜日に来ることを知っていて声をかけて下さる方もいて、みなさん楽しみにしていただいて本当にうれしかった。

 月曜日の午後は役場の保健婦さんと一緒に公民館での健康相談に参加した。
 午後一時から四時半頃までで訪れたのは4,5人と暇であったが、保健婦さんがしっかり村民の健康管理しているというところに大変感心した。病気になり何か症状がでれば皆病院に行くであろうが、老人に多い病気の中には自覚症状に乏しいものもあり定期的に健康チェックしなければならない。そういったものを保健婦さんが血圧を測ったり、尿検査をしたりして管理しており、また、健康について何か変化がないか、不安なことはないかじっくり話を聞くことで把握しておられた。

 水曜日の午後は往診に連れていっていただいた。
 往診にいくのは別の実習も含めて二度目であるが、やはり病院と違って自宅にいる患者さんというのはリラックスしていてゆっくりと落ち着いてお話を聞けるし、家族の方もとても協力的である。この様に患者さんのうちを訪問して実際生活をみるというのはよいことだと思った。

 金曜日の朝は村を廻る送迎バスに乗せていただいた。バスが走るにつれ、こんな山の仲間で家があるのかと驚き、このバスがなかったらこの人たちはいったいどうなるのかと不安になった。鹿島の友愛会織田病院に実習に行ったとき、往診の医師が「この家の老人は元気なんだけど独居で家が山奥にあるから病院まで来られなくて往診している」といっていたのを思い出した。
 送迎バスがあれば、医療費の削減にもなるし、往診するヒトが少ない分たくさんの患者を診ることができるし、何より老人にとって体の状態がよければたまには外にでて人と接することはよいことであろう。利用する方々も大変感謝していた。

〜シルバーケア三瀬〜
 第一週の火曜日、シルバーケア三瀬のデイサービスで実習を行った。
 デイサービスの実習は二度目だったが、ここの第一印象は利用者の方がとにかく元気であるということだ。
 動レクではボールを使ったゲームを行い、みているだけでとても楽しかった。これはリハビリを兼ねたレクレーションであると思うが、このとき初めて気づいたことは片麻痺のある人もこの様なボールゲ−ムを上手に行い、中には麻痺のない人よりも上手な人もいるということだった。これはもちろんスタッフの方がいろいろ試行錯誤し、出来るだけ皆が楽しめるものを考えられているためもあるが、人の身体はどこが障害があっても訓練すれば残された機能で十分代用できるのだということを改めて実感した。
 静レクでは運動会が近いこともあって、皆で運動会の道具を作った。動物や花、乗り物などのイラストの色を塗り、大きな箱にはったのだが皆とても楽しそうだった。
 スタッフの方に「みなさんとお話でもして下さい」といわれ、はじめはちょっと困ったが利用者の方の方からいろいろと声をかけてくれ、自分でも驚くほど仲良くなれた。帰る時間がちかずくと利用者の一人が「ここにくると一日の早か」といって寂しがっておられ、こういうサービスの必要性を強く感じた。またここの利用者はとても元気であるがサービスを受け、生き甲斐を見つけることによって痴呆をはじめとする種々の病気を予防することができるのではないかと思われ、ここの老人はとても幸せだと思った。

 第二週の月曜日はホームヘルプサービスに同行させていただいた。
 午前中は家事型ホームヘルプが二件、午後は入浴サービスを行った。家事型ホームヘルプは一件当たり一時間半しかなく時間的にとても忙しそうだった。しかし、いつもは一人なのが二人でいったせいか利用者の方はいつも以上に用事を頼まれ、とてもうれしそうだった。
 入浴サービスではほとんどの時間、利用者の方とお話ししていたが私が話した独居の祖母の話に大変同情して下さり、自分は病気して不自由な体だけど子供も気にかけてくれるし、こういったサービスがあるので元気でいられると感謝しておられた。
 しかしやはりここではマンパワーの不足を大いに感じた。

 翌日、火曜日は在宅介護支援センターに同行した。
 平成12年から始まる介護保険に向けての意識調査にいったが、多くの老人の方は自分の町や村で行っているサービスについては知っているが、行っていないサービスは知らないということが分かった。また、デイサービスや、訪問看護、ホームヘルプなどのサービスを利用していない方のお宅にいくことが多く、老人全てが必要としているわけではないことが分かった。(中には家に知らない人を入れるのはイヤとか、デイサービスは行きたくないと思っている人もいる。大切なのは利用者のニーズに合わせることである。)

 第二週水曜日は神崎地区(三瀬、背振、神崎、三田川)のリハビリ教室に参加した。
 やはり皆元気で感心した。教室の内容は自己紹介と簡単な講話、ゲームであった。皆の楽しそうな表情を見てたまにはこういう場にでて違う友達を作ることも大切だと思った。ただ、会場が狭く、車椅子の方や杖を使う方が移動する際、危険だったのでもっと広い場を探すか、なければ無理して地区の持ち回りにする必要はないと思った。  

 〜まとめ〜
 大学とは違う医療、介護の現場を見て初めて気付かされることが多くあった。三瀬村は医療と行政と福祉がうまくかみ合っており、老人の方もとても住み良いだろうと思われた。しかし、こういう活動は工夫次第でどんどんよりよく出来るであろうから、決してこれに満足せずもっともっと努力して欲しいと思った。自分もここで見たことを将来の医療に行かしていきたいと思った。二週間いろいろな行事に参加させていただきありがとうございました。