三瀬診療所研修を終えて      佐賀大学研修医2年目 長嶺京佳


研修医2年目の7月の1ヶ月間を地域医療の一環として、ここ三瀬診療所で過ごしました。研修内容は多岐にわたり、外来診療、往診、訪問介護、ホームヘルプ、デイケア体験、定例会議への出席など様々でした。
すでに研修2年目にはなりますが、私はこれまで外来というものを経験したことがなく(総合診療だけでなく、救急部も回ったことがなかったので)、本当に人生で初めての外来体験でした。

外来では基本的に新患は自分が最初から見ました。
多いよ、と前任研修医たちから噂を聞いていたかぜ症候群、上気道炎、咽頭炎を筆頭に、その他気管支喘息、腎盂腎炎、膀胱炎、また季節がらハチ刺症を始めとする虫刺症、緊急を要する脳梗塞疑い、悪性腫瘍疑いの腹水貯留、その他診断のつかない何らかのアレルギー性皮膚炎、膝軟部腫瘤、浮腫、倦怠感、振戦、めまい、頭痛、目のかすみ、下痢、食欲不振・・・など、挙げればきりがないほどのたくさんの症例、訴えを経験しました。

診察をし診断をつけ、治療計画を立てることのできる症例から、診断すら付かない症例までその種類は様々でした。印象に残っているのはそのような診断のつかなかった症例に対し、緊急性がないと判断できれば外来で帰して経過を見ることができるという点でした。おそらく大学病院であれば、そう頻繁に予約制の外来に行けることもなく、仕事の都合もあるだろうし、じっくり経過を追うというのは非常に難しいのではないかと思いますが、ここが診療所であり、村民のかかりつけ医がいるからこそ、長い期間を空けずに仕事の合間に顔を出せ、日常生活を送りながら経過が追えるのだろうと思いました。(三瀬で一番大切なこと→『日常生活を送りながら』の医療。あくまで主体は『日常』)

実際にできたこと
・一つの疾患を診断し、治療し完治するまでずっと経過を診ることが出来た。
・研修医控え室のたくさんの資料を活用することができた。
・このような症状の場合、ルーチンとしてどんな検査が必要なのか、といった流れを経験することができた。
・往診。自ら患者さんのところへ出向いて診療するのは個人的にすごく楽しかった。
・白浜先生に診てもらいたかったのに、という雰囲気がありありと伝わってくる患者さんへの対応。
 外来の基本は笑顔やコミュニケーションだと、痛感した。
・common diseaseには何があるのか。そして実際にどう対応するのか、知ることが出来た。

あまりできなかったこと
・以外と小外科の必要となってくる患者さんは少なく、ちょっとした傷の縫合などの症例はなかった。
・大学と違い、患者さんをあまり待たせない外来診療であったため、症状を問診してから診断、投薬に至るまで十分な時間をかけることはできない雰囲気で、白浜先生にすぐ頼る部分が多すぎた。もう少し診察中に自分で答えを導いて診療できるほどの知識を身につけたい。
・毎日のように尿沈査があったが、はっきりとした円柱を見ることができなかった。
・非常に重要なことなのだが、重症度合いをすばやく診断することができなかった。慎重になりすぎて全ての症状が結構重症に見えてしまうことが多かった。外来で帰していい症例、よその病院に紹介しなければならない症例、などの判断が難しかった。

個人的な話しになりますが、私はこれまでなかなか今後進むべき進路がひとつに決められず、それでもタイムリミットはせまっており早くどこかの医局に決めなくては、と焦る毎日で、この三瀬での1ヶ月の間に少しは見通しが立てられれば、と考えていましたが、1ヶ月研修を終えてみてむしろ、今の自分に何が足りないのか、本当は何に興味があるのか、医師になりたての頃の初心を思い返し、それに加え人を総合的に見ることの大切さ、面白さを知り、こんな状態であわてて一つの科に決めなくてもいいかもしれない、また後期研修などの選択肢、などとこれまでとは違った考え方ができるようになりました。1年目など研修が忙しすぎた時期、どうしても、将来は楽で暇な科に行きたい、on offのはっきりしたところがいい、など逃げるように考えがちでした。しかし三瀬に来て、佐賀医大に入学した頃の初心を思い出したような気がしました。

自動的に振り分けられた研修先でしたが、本当に三瀬で良かったと思います。学んだことを今後自分の糧にして大学病院での残りの研修に生かし、今後どの進路を選ぼうとも、外来の基本は三瀬で学んだということを、忘れることのないよう努力していきたいと思います。

白濱先生をはじめ、研修医一人外来の時には非常にお世話になりました糸山Ns,小副川Ns、その他診療所スタッフの皆さん、シルバーケアスタッフの方々、学ぶ機会を与えて下さったことに感謝しています。ありがとうございました。