今まで、私は村の診療所に対して誤解をしていたのだろうと思います。
来るのはお年寄りばかりで、高血圧や、糖尿病などの慢性疾患ばかりで医者はその患
者さんの話を聞いて、コントロールをするための薬を処方すればいいというイメー
ジが、強かったように思います。そのような患者さんが多かったのも確かでしたが、
その他にも整形外科的な疾患や、事故などで怪我した患者さんの応急処置などさまざ
まな知識が要求されるのだと思いました。また、他の病院への紹介などいろいろなネ
ットワークを自分の中に持っていなければならないのだと思いました。
今、私は、知識も情報もほとんど持ってないような状態です。
しかし、自分は小さな町で育ってきて、かかりつけの診療所がありそこの患者として
今まで地域医療の大切さを見てきたはずなのに何もわかってなかったような気がしま
す。村に1軒の診療所だからこそ医者は質の高い医療を行わなければならないのだと
思います。そのことに気づいている人が、同じ学年の友達に何人いるのだろうと思い
ました。今まで、いろんな医療の現場を体験することが、とても少なかったように思
います。
また、介護保険が始まるとともに私達は、もっと地域に密着していかなければなら
ないと思いました。そのような時、小さな村では利点と欠点があると思いました。
ヘルパーさんや医師、保健婦さんがその家庭の事情に詳しいということは、利点であ
ると思います。しかしそれは、また欠点でもあると思います。狭い世界だからこそ、
世間体を気にして十分なサービスを拒否してしまうということが起こる可能性がある
からです。しかし、そんな欠点を吹き飛ばしてしまうくらい保健婦さんや、ヘルパー
さんたちは一生懸命で、私はすごく感動しました。以前、療養型病床群と老人保健施
設が一緒になっている建物の見学にいったことがあります。その時も、ワーカーさん
や、PTの方がとてもいきいきされていたのを覚えています。質の高い医療を行うため
にはさまざまな職種の人たちが必要であるとおもいます。そして、講義などでは医師
がそのリーダーであるべきだ、というようなことを何度か聞いたり、自分でもそのよ
うに思っていました。しかし、ミーティングに参加させていただいてから、もっとい
ろんな可能性が考えられるのでは、と思うようになりました。それぞれの職種の人が、
その時に解決しなければならない問題に気がつき、そのことを全員で考え、取り組ん
でいくという姿勢が大切であり、それぞれの専門性を活かしていくという意味でも、
ネットワークを作りその構成員として、自分の能力を発揮していけばいいのではない
かと思いました。
往診にいったお宅で、口の中に人がいると言ったまだら痴呆の男性がいました。
自分がこの人の主治医だったら、どうすればよいのだろうと思いましたが、
あの時先生が、患者さんの言葉を否定せず、
「 あなたはそうおっしゃいますが、私達にはそのことがとても不自然に思えます」と、
いわれたのがすごく印象的でした。医師は常に患者さんの立場に立たなければいけな
いといろんな先生が言われましたが、初めて実際の場面を見た気がしました。