なんといっても、生理学実習で一度しか体験していない血圧測定が緊張した。測り慣れない私を、患者さんがサポートしてくれる。
大病院の患者さんと、三瀬村の患者さんはずいぶん違うと思う。
三瀬では、自分が何を気にしていて、どの薬が欲しくて、どうして欲しいのかを自分から先生に伝えている。
薬の形式―飲み薬にするか、水薬かといったことでさえ患者さんに先生が尋ね、一緒に決めている。
これは先生と患者さんの信頼関係がしっかりしていることで成り立つことであろうと思う。私のような未熟者には患者さんは先生となって教えて下さる。
村の福祉・保健・医療に従事する方が集まって話し合う会議の場に幸運にも同席させて頂いた。一人一人の村のサービスを受けている方の近況について、三方向から話し合う。この、三重で見守る体制は実に素晴らしいと思った。本人だけでなく、それを支える家族の健康、心身のケアにも気遣うことが大変重要なのだ。大都市のお年寄りよりも、三瀬のお年寄りは質の高いサービスを受けていると思った。
極力薬は少なめであるなと感じた。耐性菌、ウイルスの存在や薬の副作用への配慮(とくにお年寄りに)などのためと伺った。
先生には今まで私が抱いていた、大学教育の疑問、興味を持つ緩和医療についての質問などをたくさんぶつけさせて頂いたが、先生はひとつひとつ丁寧に答えてくださり、その内容もさることながら、世論の賛否が分かれているような質問では「難しいことだね」と言って考えてくださる、その姿勢にも大変感銘を受けた。
他にも多くのことを学ばせて頂いたが、医学と医療は違うものであると感じた。私が今学んでいるのは、学問としての医学である。しかし、医療とは、社会の中にあって、くらしに即したものなのである。そこには法律や経済状況、社会情勢が密接に関係してくる。
言ってみれば、ごく当たり前のことであるが、実習で、先生や患者さん、働く方々を拝見するうちに、このことが実感として感じられてきた。まだまだ私は医学を懸命に学ぶ必要のある身であるが、社会の動きにはもっと関心を持っておく必要があると思うようになった。
そして、今よく話題になる終末期医療、緩和医療、オーダーメイド医療、プライマリケアなどが、大病院で大げさに言われているにもかかわらず、三瀬村ではすでに、普通に行われていると思った。むしろこのような医療は、この診療所くらいの規模でこそ実現するのであろう。
先生が尽力なさっているこのきめ細やかな医療が、市町村合併など社会変化の中で損なわれることがないように強く願う。
最後になりましたが、白浜先生、診療所の皆様、大変お世話になりました。学ばせていただいたことを活かすことができるよう、頑張りたいと思っております。本当にありがとうございました。