今回の実習では次のことを目的として実習しました。
・ 大学病院などの総合病院とはちがう医療を勉強する。
・ 僻地医療の実際を学ぶ。
・ 地域医療での救急患者への対処の仕方を学ぶ。
・ 診療所で働く医師の生活をみる。
・ 往診や訪問看護などを体験する。
5月20日(三瀬実習0日目)
この日から一週間白浜先生のお宅にお邪魔することになりました。もちろん先生のお宅で食事を取るということでちょっと緊張していまし、あらかじめ先生のホームページを見て、二人のお嬢さんがいることを知り、うまく遊べるのか心配でした。
ちょうどこの日はかおりちゃんの小学校の運動会だったらしく、夕食はその話で盛り上がり、かおりちゃん、めぐちゃんとも初日から仲良くしてもらい、なかなか無難に家族にとけこめました。
宿泊は診療所の当直室で、夜中はなんか出そうでトイレに行くのも、実は怖かったりしました。
5月21日(三瀬実習1日目)
午前:診療見学
午後:診療見学、カンファレンス、職場検診
5月22日(三瀬実習2日目)
デイサービス実習。
5月23日(三瀬実習3日目)
午前:診療見学
午後:診療見学、往診、ツ反見学、職場検診、ケースカンファレンス
5月24日(三瀬実習4日目)
午前:診療見学
午後:診療見学、乳幼児検診、職場検診
5月25日(三瀬実習5日目)
午前:診療見学
午後:診療見学、ツ反判定、BCG、職場検診 夕方:温泉
佐賀医大6年の岩永君と一緒の実習となりました。
診療見学:お年寄りの慢性疾患の方が多く、患者さん自身はただ薬をもらいに来ているという感じでしたが、先生は血圧(これは学生の仕事)、聴診、その他変わったことや困っていることなどを問診して、変化のないことを確認したり、または患者さんの要望に対して、たとえば膝や腰が痛いときには鎮痛剤、なにか変わったことがあったらじっくりと患者さんの話を聴き、そこに重大な問題がないのか探ったりして、患者さんによってメリハリをつけている感じを強く受けました。
外来で印象的な患者さんはうつ状態のお年寄りで、先生が「お迎えはまだこないよ。まだ神様が生きろといっているんだよ。」みたいなことを話しており、なかなか患者さんには死については話題にしづらいにもかかわらず、先生は本題にずばりと話をされたのが印象的でした。患者さんと医師の良好な関係が築かれているからなせることだと思いました。
高齢者サービス調整チームのカンファレンス:これは、デイサービス、在宅支援センター、ホームヘルプサービス、医師、歯科医、保健婦、看護婦が近況報告をしあうというもので、一人の高齢者に関してもそれぞれの立場から意見が述べられており、現在何が問題で、今後どう対処していくべきかということが、お互いに理解できるという点で、有意義なカンファレンスであると思いました。こうしたカンファレンスはなかなか都市圏では難しいと思われますが、今後の高齢化社会に向けてこうした関係者間の連携は必要不可欠であるし、多くの意見を取り入れることでより問題点が具体化されてよりよいサービスにもつながると思います。
今までの実習ではこうした連携があるかどうかしりませんが、都市圏でもこうした連携を取り入れていく必要があると思いました。
職場検診:三瀬村には医師は一人しかいないのは知っていましたが、普段の診療はもちろん、このような職場検診、学校検診、住民検診など、なかなか大変ではあるが多くの仕事を広くこなせてなかなかやりがいのある仕事であると感じました。検診では学生は心電図検査、視力検査、身長・体重測定をやらせてもらいましたが、実際心電図や視力を検査することはほとんどなく、今まで検査の実際を知らずに検査の結果だけを勉強していたのだなあと反省しました。
デイサービスセンター実習:デイサービスセンターの実習は大学1年のとき以来で、これまで5年間勉強してきて、そのときとは少し違う感覚で実習することができました。
私の家族は核家族でお年寄りに接する機会は両親の実家で祖父母に接するときぐらいしかなく、今までお年寄りに接する機会はほとんどないといってもいいくらいでした。そのせいか、お年寄りは健康成人とはちがった、失礼とは思いますが、ある意味「異常」であるという感じがしていました。しかし、これまでの実習やこの日のデイサービスセンターでの実習や今回のエレクティブスの実習などを通じて、ただ目や耳がちょっと悪く、関節が痛いがためにちょっと動作が緩慢なだけで、本人は十分「正常」であるということがわかりました。
こうしたデイサービスはお年寄りにとっては楽しみな外出であり、外出するために身も心もいい意味で緊張しているようで、デイサービスがもっとお年寄りの間に広がればいいのにと感じました。
ケースカンファレンス:佐賀医大の総合診療部が定期的に題目を決めて、いくつかの症例を提示して議論するというもので、今回は「浮腫」でした。症例自体はどれも診断がつきにくく、難しいものばかりでしたが、浮腫の鑑別の仕方を教科書的に解説していて、学生でも十分理解できる内容であり、開業医などの先生方だけではなく、学生にも非常に勉強になるカンファレンスでした。残念ながらつくばにはこのようなカンファレンスがあるということは聞いたことはありませんが、つくばでもあるようでしたらぜひ参加したいと思いました。
往診:2件のお宅にお邪魔しました。自宅で死にたいというのはおそらく多くの人が思うことだと思いますが、実際に介護する人の苦労は多大なものであると感じました。あるお宅では奥さんの体の具合が悪くなり、往診の際には患者さん本人を診るよりもご家族と今後の方針などを話し合っており、在宅介護の現実の厳しさを知りました。また、もうひとつ印象的だったのは、そのお宅で患者さんと話していると患者さんは目も耳もしっかりしており、(佐賀の方言はよくわかりませんでしたが)非常にしっかりした受け答えで寝たきりであるにもかかわらず、この人はしっかりと自分の置かれている立場を理解しており、家族の苦労も理解しているのだろうと思いました。とにかく、在宅で見取るということは大変なことだと実感しました。
乳幼児検診:3ヶ月から3歳くらいまでを対象としており、私は小児科の先生について検診を見学させてもらいました。まだ3歳くらいにもかかわらず、診察の際に平然としている子から落ち着かない子やら泣いてしまう子やらとすでに3歳でこれだけの差があるのだなと感心しました。ほとんどの子供が正常でしたが、一人の親子が非常に印象的でした。その子は3ヶ月にもかかわらずまだ4000gちょっとと、明らかに成長が不良(出生時は2500gくらい)で、見た目は1ヶ月くらいかなと思ったくらいです。またその子の親はやや感情に乏しいように見え、先生から成長が悪いということを指摘されてもあまり関心がないように感じました。他の親は子供がぐずるとあやしていたりしていましたが、その親は子供がぐずってもあまりあやそうとはしていませんでした。今日いろいろなところで幼児虐待が取りざたされており、非常に印象に残りました。
5月26日
この日は先生のお宅でお昼にバーベキューをご馳走になりました。岩永君のほかにも佐賀医大の方が5人きて、にぎやかなバーベキューとなりました。佐賀医大の方は非常にフレンドリーな感じで、初めてにもかかわらずかおりちゃんやめぐちゃんとも仲良しになり(私の仕事が少し減りました)、また卒後の研修にも非常に興味を持っているようで恥ずかしながら感化されました。バーベキューがおいしかったのはいうまでもありません。
その他
先生のお宅で食事をお世話してもらい、昼間は実習と、診療所で働く医師の日常というものが多少ではありますが、わかりました。また診療所の医師は社会や政治や教育などにも十分関与しており、医療分野だけを勉強していればいいというわけではなく、多種分野のことも勉強しなければ十分な医療ができないということがわかりました。それゆえ、都市圏ではある程度の地位でなければ発言力はないと思いますが、三瀬村では医療・福祉分野では白浜先生の発言力は大きいものであるということに驚いたとともに非常に興味を持ちました。
ご家族とは日に日にとけこんでいけているような感じになり、食事の時間が非常に楽しかったです。もちろんかおりちゃんとめぐちゃんのお陰なのは言うまでもありません。めぐちゃんの「これなーんだ」には閉口しましたが。奥さんの手料理は日頃いいものを食べていない私にはもったいないくらいで本当においしかったです。かおりちゃんの卵焼きもおいしかったです。
今回の実習の目的であった。救急患者さんに対する対処の仕方ということは学ぶことができず、次の機会に学びたいと思います。
実習期間中、総合診療や地域医療に関する本やビデオを貸してくださり、総合診療・地域医療に関して理解が深まりました。
本当に白浜先生をはじめご家族の方には親切にしていただき、次の実習先である姫島のほうもいろいろと気を配っていただきありがとうございました。またこのような実習をさせていただいた職員の方にも感謝の気持ちでいっぱいです。