三瀬診療所研修を終えて
池辺 智史


 学生のときまでの地域医療に対するイメージは薄く、大きな病院での治療を終えたあとの患者さんが自宅に帰るまでの準備をする為の場所であるくらいにしか考えていませんでした。それが1年目の研修で救急部、総合診療部と研修を進める中で患者さんが大学病院にくるまでにどういう経過をたどっているかを意識するようになりました。救急外来に到着する救急車に患者さんと同乗してくる医師のプレゼンテーションを聞く事で民間の病院でその医師が患者さんの状態についてどう考え、なぜ大学病院に紹介してきたかを感じるようになりました。それまでの自分は病棟にあがってきた患者さんについて、病気を持った病人としてしか見る事が出来ていなかった事を痛感しました。たいていは患者さんの背景には家族間の問題、経済的な問題、社会的な問題が隠れているのを知ったのも1年目の中頃を過ぎた頃でした。そんななかで2年目のこの時期に地域医療の一環として三瀬診療所研修をできたことは時期的に最も適していたのではないかと思います。救急外来に担ぎ込まれてくる患者さんの多くはアルコールの問題を抱えていたり、独居の老人であったり、経済的、社会的なハンディキャップを持っていたりと言った感じでした。それが実際地域医療に携わってみるとそういう方たちが小さなコミュニティーの中ではあるけれどたくさん自立して暮らしている事に衝撃を受けました。
 また逆に一見健康そうに見える人が高度の高血圧や糖尿病を持っていたりと、今まで自分が携わっていた医療はまだほんの一部分であった事も知りました。そんな彼らが最も関心を寄せる点は血圧、血糖、コレステロール値、予防接種の期日などでした。大病院に入院している患者さんよりも余程自身の健康に対する関心が高い事を感じました。また1ヵ月間という期間も良かったと思います。もう少し長くても良いかとは思いますが週単位の研修でなくて良かったと思う点は外来にくる患者さんのほとんどは2週間という区切りで来院されるので2回は顔を合わせる機会があるというところです。1回顔を見ただけではこちらも認識しにくいし、患者さんもこちらにいろいろとはかたる気にはならないと思います。また患者さんのある程度の経過を追う為にも少なくとも1ヵ月は必要ではないかと思います。週に1回シルバーケアに行く事によってそこでも顔を合わせ色々な事を話すこともよかったと思います。病院で見る面以外の一面も見る事が出来ました。また週1回外来を任され患者さんの診療をすることで今まで自分がしてきた外来診療を生かす場面を与えてもらった気がしました。
 最も自分にとってプラスだった点はたくさんの人と出会いたくさんの人生を垣間見ることができた点ではなかったかと思います。これからの医師としての生活に生きてくると思いました。1ヶ月間ありがとうございました。