三瀬村国民保険診療所での研修を終えて
期間:2008年4月1日(火)〜2008年4月30日(水)佐賀大卒後臨床研修2年目 江頭政和
指導医:同診療所所長 白浜雅司医師
大学病院での、1年間の研修を終えて直ぐに三瀬村国民保険診療所(以下、診療所)での研修をさせてもらいましたが、先ず大学病院とのギャップに驚かされました。
1つは、受診される患者さんに関してです。65歳以上の割合が31.3%(486人/1551人、平成19年6月末現在)を占める三瀬村において、受診される方々の多くは高齢者でした。更に、その中には2008年4月から開始された後期高齢者医療保険制度の該当者も多く、カルテの作り替えに始まり、その取り扱いに関して4月の上旬から中旬にかけて大きな混乱が生じていました。同制度に関して、その頃テレビを始め様々な媒体を通してその是非が問われていましたが、診療所は正に渦中にあり諸問題と直結していました。行政の言い分と、現場の言い分の食い違い・矛盾が浮き彫りとなったところを直接肌で感じ取れました。 更には患者さんの活気・活力の違いがあります。80歳代、90歳代になられても診療所まで起伏の激しい道のりを歩いて来所される方もおられ、年齢相応でないお元気な方が多くいました。
もう1つは、診療所とそれを取り巻く施設、診療をするにあたって村の取り組みです。診療所の直ぐ近くに村人の憩いの場となっている公衆浴場(やまびこの湯)があり、また診療所常勤医の自宅は診療所に隣接していました。診療所が村の生活の一部に組み込まれているように感じました。また、医師の診察を24時間365日受けられるという安心感が生まれているように思えました。
今回、研修では新患の初診を取らせていただきましたが、そこで学ぶことも多くありました。主に感冒の患者さんが多かったのですが、最終的にその患者さんが何を望んでいるのか、(食事を摂れていないのが不安なのか、咽頭痛を止めたいのか、咳を何とかしたいのか)を聴きそびれることがありましたが、それは、疾患は診ているが、生活者である患者を診ていなかった表れであり、 研修2年目にして診療の難しさを再度痛感しました。また数多く、感冒の患者を診ることで、感冒という疾患もバラエティーに富むことを知りました。
週に1回行われる往診では、その患者の生活をありのままに見て感じることができ、その意義と必要性を再認識することが出来ました。介護保険の主治医意見書を作成する場合なども、より具体的に住宅改造や、手摺や段差解消のための支給の必要性を知ることができます。診療所での問診だけでは把握できないことも往診時に気付けるかもしれません。また、改造・支給された後の評価もでき、更なる追加や不要といった判断も容易になります。病気でなく、病人を診るためには、来所が困難な方の往診は極めて大事であると考えました。
また、急変時にどうして欲しいのか、家族の中で生死について話しあう機会を与えるのも地域医療をする上で大きな役目だと思いました。高齢者が多く住む三瀬村では、自宅にて看取る患者さんも多く、その必要性を強く感じました。本人の意思を尊重させることもさることながら、家族にとってもその後の方針が立てやすくなります。
農繁期である4月は、日により受診者が大きく異なり、終日数人のときから数十人のときまであり、その様な現象からも地域の特性を垣間見ることが出来ました。
<三瀬診療所以外での研修>
血液センター 2008年4月10日(木)、13日(日)
献血の推進・採血・検査・製剤・配給の一連の流れを知ることで、献血者の善意や血液センターの方々の思いの詰まった、一つ一つの輸血用血液製剤のもつ重みと尊さを学びました。また、輸血関連感染症防止を含めた完全性確保の為の対策(献血前問診やスクリーニング検査)を知り、実践することが出来ました。
総合保健協会 2008年4月17日(木)
健診で撮影された胸部レントゲンの読影を行いました。短時間の内に疑わしきものをピックアップする難しさを体験しました。疑った症例は過去のものと比較することの重要性も知りました。
産業医学協会 2008年4月24日(木)
定期健診(その他、じん肺、腰痛、VDT、有機溶剤を含む)を行いました。問診、診察が主でしたが、その他症状を訴えてくる方々の対応の難しさを知りました。
坂井医院 2008年4月16日(水)
午前中は外来診療、午後からは中学校の定期健診や往診に加えてもらいました。プライマリ・ケア医としての役割を学び、その重要性と大変さを感じ取ることが出来ました。
にのさかクリニック 2008年4月21日(月)
100人の往診患者をもつ同クリニックは、外来も勿論のこと、在宅医療・在宅ホスピスの普及に努めておられました。在宅でここまでするのかとその診療内容に驚きの連続でした。