9月30日朝に行った佐賀医大(この日が佐賀医大としては最後の日)の臨床倫理カンファレンス記録



1)この事例の問題点を挙げて下さい(かっこの中は意見にでたあと担当した学生が提示した理由や他の学生の意見など)



「医療サイドと患者サイドの考えが異なること」
「医師の説明が不十分で、押し付けられたように患者は受け取っていた」(部屋にもどった患者が手術は不安だと何度もいっていた)
「家族が経済的な理由で反対した」(本当に経済的な理由だけか?)
「家族と患者の関係が悪い」(ほとんど面会に来ず、来ればいつもけんかだった。まわりの患者も、あんなお見舞いなら来てくれない方がいいといっていた)
「手術したとしてもQOLが維持できる保証はない」



2)事例の検討のために知りたい情報(かっこの中は意見にでたあと担当した学生が提示した理由や他の学生の意見など)



患者の日常生活は?「透析だけにかよっていた。だから日常生活であまり息切れとかも感じていなかった」
手術の必要性は?(AS+coronaryの病変の両方で心不全になっていて、手術をする必要があり、ただ透析もしているので、なかなか循環動態が安定するのが難しく虚血の状態が続いて死に至った可能性が高い)
手術しなかったらどうなるか?(半年は持たないだろう。またちょっとした体動でも息苦しさを訴えるかなりつらい状態)
患者の手術反対理由(透析、高齢で、手術には耐え切れないと思う)
人生観、この患者はどのような人生を送って来たのか。この患者の楽しみは?(よくわからない)



3)4分割表を作ってみる、漏れた問題点はないか。

医学的適応
手術適応(効果とリスク)リスクはかなり高いが、10%くらいの成功可能性もある。
ただこの人のような透析事例のしっかりとしたエビデンスはない。
手術しなかったらどうなるか?(半年は持たないだろう)
患者の意向
透析、高齢で、手術には耐え切れないと思う
この患者のこれまでの人生、死生観、人生の楽しみは?
かかりつけの医師(透析医)はどのようにこの患者の気持ちを聞いていたのか?
QOL
寝ていても狭心症発作(ただ本人はその状況をつらいとはいっていない)
周囲の状況
家族と患者の関係の悪さの原因は?(経済的なこと?)
経済状況は?(更正医療などの医療補助の対象となることは知っていたらしい)
前医の判断は?


4)自分が主治医だったらどうするか。



手術をおそれていると感じても、やはり手術と言う方法があることは説明しなければならない。
手術をした時の効果とリスクと手術をしない時の効果とリスクの両方を説明する。
手術を拒否された場合は、その理由を聞いてみる。
色々な検査の結果が出る前から、外来の時点から徐々に手術の可能性を話し、患者の気持ちを聞いて、信頼関係を築いておく。
何回も説明する。(強制にならないように、1回1回は長くならないように短く何回も説明を)
QOLを含めて、どのような選択がいいのか一緒に考えるような工夫をする。
信頼があるとお互いに言いたいことが言いやすいが←ではどうしたら信頼関係ができるのか(とにかく朝晩ベッドサイドに顔を出して困っていること、不安なことを聞く。自分から話すと言うよりも患者の心配を聞くことが大事)
「あなたがどのような治療の選択(治療を受けないことを含め)をされても、私達はその選択に従って最善の医療であなたのことを支えます応援します」と言う。
できるだけ自分の価値観を含めず、客観的にデータを示す。←主観を入れた説明はだめか?(例えば自分の家族だったらという言い方はダメか?)一概にマイナスだけではない。人間の決断は、常に論理だけでなく、情の部分は大事。(柏木哲夫先生の情をこめて話すという姿勢は大事では)
患者を追い込まないような説明を。しっかり患者が悩んで決めるのを待つこと。(時間は限られていてもやはり2、3回は患者・家族の思いを聞くことが大事では。自分の置かれている厳しい状況を受け入れるのには時間がかかる)
特に太字で書いた上記の2つの学生の意見は自分が教えられる意見であった。



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