<事例1>
病院での臨床実習が始まり2日目のことだった。朝の回診があっていた8:30頃、CPA (cardiopulmonary arrest:心肺機能停止)の患者が搬送されてきた。
患者は40代後半の男性。時々健康診断で160程度の血圧の上昇を言われるくらいで生来健康だった。仕事場で突然倒れ、救急車を呼び、内では一次救命処置が行われ、病院に到着すると直ちに薬剤なども含めた二次救命処置が開始された。医師の必死の心臓マッサージ(以下心マ)でもなかなか自発心拍が回復しない。心マを始めて30分以上がたち、スタッフにあきらめの空気もでてきた。部屋の外では家族の泣き叫ぶ声がする。家族を部屋の中に入れ、医師の一人が冷静に現状を説明した。心マをこれ以上続けても意識をとりもどすことは考えにくく、これ以上心マを続けても厳しい、と知った家族はさらに泣き叫び、意識のない患者に寄り添った。中学生の娘が「やめんで〜!まだ生き返るかもしれんやん!」どれくらい時間が経過したかはっきりと覚えてはいないが、さらに1時間ほどたって、妻が娘たちを納得させ、治療を停止し、その後死亡した。自分が将来このような場面に遭遇した場合、どうしたらいいのだろうかと考えた。


グループ1
<医学適応> 
STOP 
CPA 
蘇生する確率は? 
CPAを続けるべき時間 
CPAから何分後にCPRを開始したか?
<患者の選好> 
判断能力なし 
Livinig Willは?(ない?)
<QOL> 
どのような人生を送っておられたか? 
蘇生後の合併症
<周囲の状況> 
娘の思い、家族のモい 
働き手(大黒柱)が亡くなった場合の生活(経済面、心理面) 
親戚、友人等相談できる人はいるか?
*STOP とは
Satisffaction of the family,
Treatablility,
OK,CPR?
Persistency
の頭文字で、ACLS中止のチェックポイント


グループ2
<医学適応> 
CPA 
ACLS 
BLS 
蘇生せずの理由は?
<患者の選好> 
患者の判断能力なし 
患者の事前の意思表示なし 
 
<QOL> 
延命治療による後遺症、患者の苦痛、身体的精神的負担、経済的負担は? 
 
<周囲の状況> 
家族の延命治療の続行の希望の理由は? 
医師の説明に家族が心情的に納得できないこと 
延命治療による家族の苦痛、身体的精神的負担、経済的負担は?
対応:家族の納得が得られないので、心臓マッサージを続けたのは良かったのではないか。


グループ3
<医学適応> 
心臓マッサージを続ける 
心臓マッサージを30分以上続けてどれくらい蘇生する可能性があるのか。 
 
 
<患者の選好> 
患者の意向はわからない 
事前の意思表示があったのか?
<QOL> 
心臓マッサージ後の後遺症は? 
患者の精神身体的負担 
経済的問題 
回復後のリハビリ
<周囲の状況> 
蘇生する可能性がある限り蘇生してほしいと言う家族の願い 
家族が患者の死を受け入れられない 
精神的にも経済的にも苦しい 
蘇生したらしたで家族の負担が増える
対応:
家族が納得するまで心臓マッサージを続ける。
亡くなった後の家族の精神的なフォロー。
後遺症が残った場合の対応や、説明。
家族との対面は?家族に見守られた最期の別れの時は、患者にとっても家族にとっても大事


グループ4
<医学適応> 
心臓マッサージを30分続けて自発心拍回復せず 
回復見込みのない延命治療を続けることの是非
<患者の選好> 
患者の判断能力がない 
事前指定書は書いていたのか? 
妻の代理決定は、治療中止
<QOL> 
もし意識が回復するなら、その後のリハビリをどうするか 
意識回復せず、家族に別れも告げられないおそらくは望まない死?
<周囲の状況> 
残された家族の今後の生活(精神的、経済的) 
延命治療による家族負担
対応:
家族が納得するまで心臓マッサージを続ける
家族が到着した辞典で、患者と家族を対面させて、患者が家族に見守られながら、死に至るようにする。

全体への追加発言
この方へのケアはもちろん大事だが、この時間にひとりの患者にどれだけ対応できるかと言うと難しい。
他の患者さんをずっと待たせるわけにも行かない。
難しいかもしれませが、30分やってみましょうと言うことを先に話した対応もいいのではないか。



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