2001年度臨床倫理討論



症例6)重症脳出血の治療(延命治療をしないという指示について)

58歳  男性  会社員
 会社で仕事中に突然倒れ、昏睡状態で病院へ運ばれたが、検査の結果は、橋出血で、
残念ながら手術は不可能であること、数日の間に呼吸状態などの全身状態が悪くなっ
て亡くなる可能性が高いことが、家族に主治医からは何度も説明されていた。
 数日後、呼吸状態悪化し、酸素投与はされていたが、家族の希望(妻と息子と娘の
3人の合意)で人工呼吸器は使わないことを確認した。
 ところが、その翌日の午後11時に、突然心室細動になり、救急当直医が病棟から
心肺蘇生の依頼を受けた。当直医はすぐに担当医と連絡を取り、積極的な延命をすべ
きかどうか相談したところ、家族とは積極的な延命はしないと話はついているとのこ
とであった。
 しかし、病室では家族(妻と息子)が必死に患者に対して呼びかけをしており、
「娘が来るまでどうにかしてください。」と積極的な蘇生を懇願された。当直医はそ
の場の判断でDCショックを施行し,脈は触れるようになったが、依然PVCは散発して
いた。
 午後11時30分には担当医が到着し、当直医と交代したが、その後家族との話し
合いによって、やはりこれ以上の積極的な処置はしないこととなり、午後11時55
分に永眠された。
(HP上の提示は、患者さんのプライバシーを守るため内容を変更して提示します)



担当した学生のもった疑問
事前での話し合いでは延命を家族が望まなかったとの情報に対し、突然の心停止で、
当直医に家族から心肺蘇生の依頼があった場合、当直医はどうすることがもっと
も望ましいのだろうか。



担当した学生の4分割表による問題の分析
医学的適応
・診断:  橋出血  循環器不全(Vf,PVC) 呼吸不全
・医学的適応:  手術の適応なし
・無益性: 回復の可能性は低く、生命予後も短い
患者の意向
・患者は昏睡状態であり確認不可能。
・代理決定:家族の希望で延命はしない
・リビングウィル:不明
QOL
・昏睡状態で酸素投与中。人工呼吸器はつけていない。
周囲の状況
・家族:妻、子供3人(2人は自立、一人が大学生)
・夜中の急変で家族が全員集まっておらず、「娘が来るまでどうにかしてほしい」と
の依頼
・経済的側面:不明



題1回目の討論と課題(10/9)
この症例では挿管をしないということだけで、いわゆるDNR(蘇生しない
という指示)が徹底していなかったのではないか。
次回迄にDNRをする場合の必要条件やそのやり方について調べてくること。



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