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2001年臨床倫理事例検討


症例3)知的障害のあるシングルマザーは子どもの治療決定
に関与させないでいいのだろうか

先天性心疾患による心不全の治療を受けていた10ヶ月の女児。
根本治療のためには心臓の手術の必要があるが、一番の代理人であ
る女児の母親は知能障害のあるシングルマザーで、手術のことにつ
いて話そうとするとパニックになってしまう状態であった。そして
子どもの世話をしている母親が精神的不安定になることは、この女
児の治療にとって悪影響を及ぼすことが懸念された。

この母親は、その両親(女児からいえば祖父母)に養育されており、
祖父母の意見は、この知的障害のある娘の養育だけでも難しいのに
これ以上、父親のわからない孫の治療や養育の世話迄は難しいと手
術には否定的であった。
医療スタッフは、このような女児の社会的背景、母親の精神的な判
断能力を考慮して、母親には手術の可能性があることについての説
明をあえて行わず、祖父母の意向に従って内科的治療のみを続け、
最終的にこの女児は亡くなった。

(HP上の提示は、患者さんのプライバシーを守るため内容を変更し
て提示します)

(学生の問い)
自分は、今回の判断は色々な状況から仕方なかったと思うが、知的
障害のある母親に手術の可能性を話さないと言う今回の医療スタッフ
の判断は正しかったのだろうか。



(1回目の討論ででた課題)
誰がこのような難しい問題の判断をできるのだろう。祖父母の決定に
従うだけで良かったのだろうか。
日本ではまだそのシステムが確立されていないが、アメリカのように
医療スタッフが第三者機関(倫理委員会や裁判所)に相談するような
ことも必要ではないだろうか。

(次回迄の検討課題)
1)判断能力をどう判断するかという問題について調べる。
2)アメリカなどではこのようなケースについて倫理委員会や裁判所
への倫理問題の相談することがあるのではないか。このような判断の
難しい事例に対する外国での対応の仕方ついて調べる。

学生が提示した症例を用いた臨床倫理教育の機会は定期的に続けているのですが、なか
なかHPで症例提示まできちんとしてという時間がなくて、でも自己流にならないために
は多くの方の意見を聞いておかなくてはとこれらも適宜送るようにしたいと思います。
御協力お願いします。

三瀬診療所 白浜雅司



池田正行さん(内科医)のコメント


国立犀潟病院の池田正行です.症例3についてコメントさせていただきます.
先生のご提示はいつも身近な問題で,他人事とは思えないので,回答にもついつい熱
が入ります.

症例3:重度精神遅滞の親の知的障害はしばしば経験します,このケースも身につま
されて拝読しました.

///////////////////////////////
手術のことにつ いて話そうとするとパニックになってしまう状態であった。そして
子どもの世話をしている母親が精神的不安定になることは、この女児の治療にとって
悪影響を及ぼすことが懸念された。
///////////////////////////////

どの程度の”パニック”,”精神的不安定”,”悪影響”なのかによると思います.
例えば,当院のように重度精神遅滞者病棟の他に,精神科の外来,入院治療のバック
アップ体制がしっかりしていれば,母親に病状と治療の選択について話してみる余地
があります.

”知的障害””精神障害”あるいは”痴呆”と聞いただけで,はじめからインフォー
ムドコンセントをあきらめてしまう必要はありません.精神遅滞や精神障害の方で,
初対面で,これはどうも理解してくれそうにもないなと思っても,面接を重ねてみる
と,”何とかわかってくれるんじゃないかな”と思えることがよくあります.はじめ
はパニックになっても,時間がたてば落ち着いてくれるかもしれません.

たとえ精神科がない場合でも,何か反応が起きてしまった場合に,周囲がどれだけそ
れを受け止められる余裕があるかも大切な要素です.そういう余裕を持っているの
は,しばしば医者ではなくて,その人をよく理解している親族とか,普段から関わっ
ている看護婦さんであったりします.こういう人から知恵を授けてもらうと,随分助
かります.



福島智恵美さん(内科医)のコメント


白浜先生、こんばんは。

お久しぶりです。柳原の福島です。
11月の倫理のワークショップ、よろしくお願いします。

今日は症例3をみて、よくわからないからかもしれませんが、
えー。うそ。

っていうのが、最初の感想です。

金銭的な問題もあり、難しいのですが、手術で助かる見込みはどれぐらいあったんだろう、
しないで助かる見込みはどれぐらいあったんだろう、というのが気になりました。

母親が知的障害ある、とのことですが、日常生活はどうなんでしょうか。どれぐらいご自分
でされているのでしょうか。日常生活もほとんどご自分の気持ちでなく、彼女の両親の手に
ゆだねられているとしたら、今回のことは納得できます。

また、母親の女児に対する愛情はどういったときに感じられるのでしょうか。また、感じら
れないでしょうか。
今、母である彼女は、精神的に大丈夫なのでしょうか。女児がなくなった今、彼女はどうな
ったんだろうか、と心配になりました。

質問ばかりですが、素朴な感想です。

それでは。



鈴木康之さん(小児科医)のコメント


小児科医の立場からコメントさせていただきます。

まず、母親の知的障害のレベルと子供の心疾患の具体的な病名(原因)を知りたいと
思います。遺伝性は無いのか?
母親がパニックを起こすとありますが、IQや理解力はどの程度なのか、親権者として
認められているのかなどを知りたいところです。関連して祖父母の年齢や生活・経済
状態は如何でしょうか?
子供の先天性心疾患にも色々あり、手術のリスクや予後・術後のQOLも異なりますの
で、そのあたりのevidenceを把握しておく必要もあります。現段階で子供の精神運動
発達は不明ですが、将来的に発達遅滞が出る可能性等も検討する必要があります。

母親に色々な障害があっても、子供が回復する見込みがあるのなら、治療を勧める方
向で家族と話し合うと言うのが、私(小児科医)の基本的スタンスです。



Kristine Mulhornさんのコメント


This is a compelling situation and in the States could be addressed on
two levels: 1) who is legally responsible for medical decisions for
the girl and 2) is there an ethics committee responsible for
considering these kinds of decisions?

If the mother is the legal responsible party then the medical staff
must speak with her to discuss and make sure she is involved in making
an informed decision about whether to accept or deny the surgery.

Kristine Mulhorn,
University of Michigan-Flint
Health Care Dept.



Tom Tomlinson(ミシガン州立大学生命倫理研究所)さんのコメント


Dr. Shirahama, thank you very much for sending this case.

If we start with the premise that the physician's primary obligation is to
the welfare of the patient, then once it was determined that surgery was the
treatment of choice the physician had an obligation to seek to have it
provided by whatever legitimate means were available. This includes, I
think, offering it as an option to the child's mother. When this is done, it
may prove obvious that she is unable to make an informed and rational
decision because of her mental illness. But we shouldn't use the fact of her
history of mental illness as our only evidence that she is unable to make a
decision about this matter. We should give her the opportunity to show us
that she is capable.

The grandparent's wish to not have the child living with them is not a
justification for letting the child die as a means for accomplishing that
end. It does, however, present a problem for post-hospital care for this
child. If there is concern that the child may not receive proper care at
home, other alternatives should be explored. I don't know what those may be
in Japan. In the United States, the mother might get some assistance to live
on her own with her child, if her income is very low. Or, if the mother is
unable to provide proper care because of her mental illness, her child could
be taken from her by a court, and placed in foster care or put up for
adoption. Are these sort of options available in Japan? What are the social
attitudes toward them?

Tom Tomlinson



松尾智子さん(九州大学法学部)のコメント


症例3)知的障害のあるシングルマザーは子どもの治療決定
(次回迄の検討課題)
1)判断能力をどう判断するかという問題について調べる。
2)アメリカなどではこのようなケースについて倫理委員会や裁判所
への倫理問題の相談することがあるのではないか。このような判断の
難しい事例に対する外国での対応の仕方ついて調べる。

  母親が手術に対する意思決定ができない場合には、その母親の意思を代理する後
見人のような人が、代わって意思決定することになると思います。ただし、このケー
スの場合、それに当たる母親の両親(祖父母)が反対しています。このような場合、
アメリカであれば、病院から児童虐待で、その両親が訴えられるかもしれません。誰
が判断できるのかという決定は、難しい問題です。



学生の4分割による問題の分析と同意能力について調べてまとめたこと


分割法による考察

<医学的適応>
診断:10ヶ月女児 先天性心疾患による心不全
医学的適応:根治術の有効性は70%、術後も多大なケアが必要

<患者の意向>
10ヶ月の女児で意思決定は不可能
母親はシングルマザーで知的障害を有する(父親は不明)
母親は代理決定をしかねる状況

<QOL>
根治術を行えば予後良好
ICUにて人工呼吸管理を行っていた

<周囲の状況>
母親はシングルマザーで知的障害を有する(父親は不明)
母親は両親に養育されている 生活は自立 経済的依存のみ
祖父母は手術による治療に否定的意見
母親の女児に対する愛情は十分感じられた



来週までの課題
・患者の判断能力の判断、決定について
・緊急の決定を要する場合の第三者たとえば裁判所などに
代理決定を委ねることについて


<治療同意判断能力の評価>
項目@選択を表明する能力
         患者が選択を行い、表明でき、それをかなりの程度の安定性
         をもって維持できるかどうか
      A関連する情報を理解する能力
         与えられた情報を患者の言葉で表現できるかどうか
      B状況とその結果を認識する能力
         医師と患者の見解が会わない場合は患者側の理由を
        また患者の希望が以前と一致しないときはその不一致の背景を調べることが重要
      C関連する情報を用いて論理的に考える能力
その他 ・全般的な精神状態の評価と精神科の病歴
          ・周囲の情報の活用
以上から総合的に判断する。
しかし判断能力の有無をはっきりと線引きすることは難しく、時間をかけ
患者さんに合ったプロセスを踏むことが重要。


<代行意思決定>
患者による ・決定指示 例 Living will
                  ・代理指示
                  ・組み合わせの指示 例 代理決定人の指名と特定の状況での指示の組み合わせ
     家族 優先権  配偶者、成人した子、両親、兄弟裁判所

・事前の指示を行った患者   例 医師により判断能力なしと判断された場合
             事前に裁判で争うことを希望していた患者の患者の判断能力の有無の決定
・事前の指示のない患者
                 1、代理人の決定
                 2、治療の許可
                 3、二人以上の家族による代理人の決定
                 4、一般的でない治療についての決定
                   例 中絶、避妊手術、精神外科
決定の根拠
  ・患者の明示した選択
  ・代行判断(患者がしたであろう同じ選択)
  ・患者の最善の利益



亀谷 多紀さん(病院看護婦、助産婦)のコメント


<症例3>について
 心臓疾患では在りませんがこのような事は多々あります。
知的障害もあり、なおかつ誰の子供かもわからず・妊娠しているのもわからない人が
運ばれて着たりします。
生活能力・育児能力がない! と判断された場合施設などに転院する事もあります。
そして、先天性の染色体異常や・他の一過性の疾患であっても治療の同意が必要な場
合にどうするか、医療の現場では常に揺れています。

現在は「能力がない」と判断するのは誰がするか、という事ですがほとんどは主治医
によって異なります。
ケースワーカーや児童相談所・市の職員が入る場合もあれば、主治医の一存で決まっ
てしまい、スタッフが戸惑っていたケースもありました。

どれがいいのか、という事は断言できませんが・・・。
このケースの場合母親に精神的なアンビバレンスがあるようですね。
どれくらいの期間があったのか〔出生後〜児死亡まで〕が分かりませんが、母親に対
しても十分なサポート〔心療内科・カウンセリング〕があればまた、違った見解に
なったのではないかとも考えられます。
知的障害と・精神的アンビバレンスは違ったものであり、精神的に安定していれば理
解の段階はさまざまですが、状況事態は自然に感じ取っていく事もあります。児に対
して何らかの形〔入院中〕で母親への役割を意識を持ってもらえるような関わりをす
ることで母性は育っていきます。〔母性は本能ではなく、学習です。〕

今回の症例の母親だけではなく、人の理解がどの程度なのかは、一般の患者さんや家
族にも言えますが、本人がどのような解釈をしたのかはかなりの疑問を感じていま
す。
理解できる範囲での説明が必要だったのではないでしょうか。
OPEの事を話そうとすると、パニックになってしまうという事はOPEに関してまでの事
は母親なりに理解されていたのではないでしょうか。
決定を母親にさせるのではなく、状況を説明していけるような関わりが必要だったの
ではないでしょうか。

そして、このような状況に生まれてきた事もこの児の人生・・・。
同意が得られない場合の最善だったと信じたいです。

海外のように倫理検討委員会などのシステムがあれば。 と思う事は臨床の場では
多々あります。
新生児・未熟児など自分の意思伝達が出来ない人や自分の腕に一度も抱く事のできな
い児の意思決定を本当に両親のみに行ってもらっいいのか・・・。
症例が複雑になればなるほどそう思います。
決定した事がプラスに働く事ばかりではないので、その後の両親がその場で最良の意
思決定ができたのか。たまに、その後も関わりをもたせていただいたりしている方達
は離婚をされたり夫婦として家族としてうまくいっていないことも在るようです。

私にとってもこのような症例に関しては課題です。

自分の感想だけで本当に申し訳ありません。
また、よろしくお願いします。


元山理恵さん(社会福祉学科大学生)のコメント


この女児が養育されていた環境が非常に気になりました。
なぜならば、母親の知的障害に加え、祖父母の女児に対する対応に
ある種の否定的な感情を感じざるを得ず、また、祖父母の意向により
手術が行われないことによって死亡した女児の人権が守られたかどうかについて
疑問があるからです。
知的障害のある母親はなんらかの福祉サービスの提供をうけてはいなかったのでしょ
うか。
保健婦、ケースワーカーなど、より日常のレベルでこの母親と接する機会のある
福祉専門職がこういった件において、果たす役割も求められるのではないかと考えま
す。
いずれにせよ、医療、福祉、司法の連携システムが求められます。


藤林武史さん(佐賀県精神保健センター医師)のコメント


佐賀県精神保健福祉センターの藤林です。久しぶりのコメントで
す。

手術のことについて話そうとするとパニックになってしまうこと
が、子どもの治療に悪影響を与えるということですが。
親であれ、患者であれ、同意をとることができるように努めること
が重要と考えます。そうすると、この知的障害を持つ母親が、
子どもの手術のことで、パニックにならざるをえない、心理社会的
な要因や生物学的な要因を、充分検討し、ここに解決の余地がない
かどうかについても検討していただきたいところです。
当然、精神科医やソーシャルワーカー、臨床心理士などのチームに
よるアプローチが必要でしょう。かつ、院内の倫理委員会にもコン
サルトする形になるのでしょう。

また、判断能力に問題があると、病院内の精神科医がコンサルテー
ションリエゾンの場で判定し、祖父母が同意したとしても、法的に
は何の根拠もないと、私は解釈しています。
そもそも、知的障害があろうとも、成人である個人の意志決定に、
親は関与できません。
判断能力に問題があるのであれば、成年後見制度を利用して、
祖父母が保佐人や補助人になっていただくという方法があります。
しかし、保佐人や補助人は契約行為はできたとしても、
手術を受ける受けないの同意までは難しいのではと思っています。
また、子どもの親権は、母親にありますので、親権者の母親の意向
を無視しての決定は、法的には、いかがなものでしょうか。
この点については、
弁護士や社会福祉士の意見を待ちたいところです。

でも、実際は、よく行われているところなのでしょうね。
でも、本来の手続きは、そうではないということを、
正確に知っておく必要があるかと思います。



担当学生による最後の追加とまとめ


成年後見制度

平成12年4月介護保険法の施行と同時に成年後見法が施行された。
今後福祉サービスを受けるためにはサービスを受けようとする高齢者
、及び知的障害者・精神障害者がサービスを選択し、契約しなければならない。
ここで問題になるのが契約締結判断能力があるのかどうか、
本人の自己決定権を尊重しながら判断しなければならない事である。
新しい後見制度は後見(判断能力なし)、補佐(判断能力が著しく不十分)、
補助(後見、補佐に至らない)と3つに分類し、後見開始請求者が家庭裁判所に
申し立てを行いそれぞれ後見人、補佐人、補助人を選任してもらう。
そして重要な法律行為を行うときは後見人、補佐人、補助人が本人のため
に本人に代わって重要な法律行為を行い本人の利益を擁護・支援する。



任意後見制度

本人が判断能力のあるうちに判断能力が低下した後の身の上監護や
財産管理などに関する事務を自己の信頼する任意代理人に委任し、
その任意代理人が公的機関の監督を受けながらその事務を遂行するもの。
法定後見も任意後見も公正文書を作成し、後見登記を必要とする。



養子縁組

(1) 概要
 未成年者を養子とする場合又は後見人が被後見人を養子とする場合は,
それぞれ家庭裁判所の許可が必要。ただし,自己又は配偶者の
直系卑属(子や孫等)を養子とする場合は家庭裁判所の許可は必要ない。
なお,未成年者を養子とする場合で,養親となる者に配偶者がいる場合は
夫婦が共に養親となる縁組となる。
(2) 申立人
 養親となる者
(3) 申立先
 養子となる者の住所地の家庭裁判所
(4) 申立てに必要な費用
 養子となる者1人につき収入印紙600円,連絡用の郵便切手
(5) 申立てに必要な書類
 ア 申立書1通
 イ 養親となる者の戸籍謄本1通
 ウ 養子となる者の戸籍謄本,住民票の写し各1通
 エ 代諾者,養子となる者の父母でその監護者の戸籍謄本各1通
* 代諾者とは,養子となる者が15歳未満の場合に
,その者に代わって養子縁組の承諾を与える者のこと。



特別養子縁組

(1) 概要
 家庭裁判所は,申立てにより,養子となる者とその実親側との
親族関係が消滅する養子縁組(特別養子縁組)を成立させることができる。
特別養子縁組とは,原則として6歳未満の未成年者の福祉のため
特に必要があるときに,未成年者とその実親側との法律上の
親族関係を消滅させ,実親子関係に準じる安定した養親子関係を
家庭裁判所が成立させる縁組制度である。そのため,養親となる者は,
配偶者があり,原則として25歳以上の者で,夫婦共同で
養子縁組をする必要があり。また,離縁は原則として禁止されている。
(2) 申立人
 養親となる者
(3) 申立先
 養親となる者の住所地の家庭裁判所
(4) 申立てに必要な費用
 養子となる者1人につき収入印紙600円,連絡用の郵便切手
(5) 申立てに必要な書類
ア 申立書1通
イ 養親となる者,養子となる者,養子となる者の実父母(法定代理人)の
戸籍謄本,住民票各1通



感想

医学部学生生活の最後に白浜先生、同級生の3人、ホームページにコメント
をくださった多くの方々のおかげで本当に有意義な勉強ができた。
日々の実習の中でこういった倫理的な問題について考え討論する場はほとんどなく、
下手をするとそういった問題点への関心が疎くなってしまう危険性もある。
今回の実習を選択した理由は自分自身の倫理観がずれてはいないか、
ほかの人たちの意見はどうなのかといったことを確認したいと考えたからだ。
今回の実習を通じて考えたことを挙げると
・医学の基本はEBMでありここの疾患に対してはこの姿勢で対処していくが、
患者さんは人間でありその背景にはさまざまな社会的な側面が隠れている。
医療はこういった面を含めて包括的に実践されなければならない。
しかし患者さん一人一人他の人と同じところはほとんどなく、その人に
特別な配慮と対策が必要である。答えがないことがあるだろうし、
厳しい選択が必要なこともあるだろう。しかしもっとも重要なことは患者さんの
よりよい人生であるのでその基本を私たち医療従事者は忘れてはいけないと思う。
・医者は医学以外の法律、福祉、経済に関しては素人である。患者さんの社会的問題
を解決するには他の専門家の助けを必要とすることは明らかである。今回の実習では
いろいろな分野の専門家の意見を頂いた。私たちが考えもしない視点の意見に
多く出会った。チーム医療の重要性は認識していたつもりであったがもっと多くの
人々を含めた医療の必要性を感じた。
最後に白浜先生、同級生の3人、そして多くのコメントをくださった方々本当にあり
がとうございました。

佐賀医大6年  I.T.



筑波大学プライマリケア研究会という学生さんの勉強会で私のHPが使われていると聞きその討論の報告をいただきましたので提示します。
こういう学生さんの勉強に使われていると思うとこのHPを作った甲斐があったなと感慨深いものがあります。 


臨床倫理ディスカッション M2 上野有希

またしても白浜雅司先生のHPより

知的障害のあるシングルマザーは子どもの治療決定に関与させないでいいのだろうか?
先天性心疾患による心不全の治療を受けていた10ヶ月の女児。
根本治療のためには心臓の手術の必要があるが、一番の代理人である女児の母親は知能障害のあるシングルマザーで、手術のことについて話そうとするとパニックになってしまう状態であった。そして子どもの世話をしている母親が精神的不安定になることは、この女児の治療にとって悪影響を及ぼすことが懸念された。
この母親は、その両親(女児からいえば祖父母)に養育されており、祖父母の意見は、この知的障害のある娘の養育だけでも難しいのにこれ以上、父親のわからない孫の治療や養育の世話迄は難しいと手術には否定的であった。医療スタッフは、このような女児の社会的背景、母親の精神的な判断能力を考慮して、母親には手術の可能性があることについての説明をあえて行わず、祖父母の意向に従って内科的治療のみを続け、最終的にこの女児は亡くなった。
(患者さんのプライバシーを守るため内容を変更して提示します)
(問) 知的障害のある母親に手術の可能性を話さないと言う今回の医療スタッフの判断は正しかったでしょうか。また、「正しくなかった」とした場合、どのような判断をするべきだったと思います



ではグループに分かれましょう。
四分割法を使い、症例を整理(問題を全てピックアップ)した後、問題改善にはどのように対応すればよいか話し合ってください。

参加者(11名)
清水/木下/寺澤(以上M4)/今村(M3)/
大崎/津田/上野(以上M2)/福島(社会福祉研究会 人間2)/齋藤/村木/三富(M1)



Medical Indication
医学的適応
(Beneficience,Non-malficience:恩恵・無害)
  1.診断と予後
  2.治療目標の確認
  3.医学の効用とリスク
  4.無益性(futility)  Patient Preferences 
患者の意向
(Autonomy:自律性尊重)
  1.患者さんの判断能力
  2.インフォームドコンセント
  (コミュニケーションと信頼関係)
  3.治療の拒否
  4.事前の意思表示(リビング・ウィル)
  5.代理決定
QOL                 
(Well-Being:幸福追求)
  1.QOLの定義と評価    
  (身体、心理、社会的側面から) 
  2.誰がどのような基準で決めるか 
   ・偏見の危険   
   ・何が患者にとって最善か  
  3.QOLに影響を及ぼす因子  Contextual Features
周囲の状況
(Justice-Utility:公平と効用)
  1.家族や利害関係者
  2.守秘義務
  3.経済的側面、公共の利益
  4.施設の方針、診療形態、研究教育
  5.法律、慣習
  6.宗教
  7.その他


<医学的適応> 清水(4) 木下(4)             
1、患者の医学的な問題点、病歴、診断、予後はどうか?
先天性心疾患(詳しい事は不明)である。治療(外科的治療)なしでは、おそらくあと一年生きられずに確実に死ぬ状況なのだろう。

2、急性の問題か慢性の問題か?重篤か?救急か?回復可能か?
慢性的問題ではないが、救急でもない。予後は不良で外科的治療は急いだ方が良い。

3、治療の目標は?
生命予後の改善

4、成功の可能性は?
根本治療により成功の可能性が高い

5、治療に失敗した時の対応は?
手術不能例では、余命を少し縮めるだけである。失敗=死、であるが、一方で内科的治療=死である。

6、総じて、医学治療と看蔑ケアでこの患者は恩恵を受け、害を避けられるか?
外科的治療は予後改善に有効である。医学的適応はあると思う。



<患者の意向> 齋藤(1) 村木(1) 寺澤(4)
1、患者がどのような治療をしたいと述べたか?
2、患者は利益とリスクについて情報を与えられ、理解し、同意したか?
3、患者の精禅的対応能力、法的判断能力は?判断能力がないという根拠は?
4、事前の意思表示があったか?
5、判断能力がないとしたら、代理決定は誰が?適切な基準を用いているか?
6、患者は治療に協力しようとしないのかできないのか?もしそうならなぜ?
7、総じて、倫理的法的に許される限り患者の選ぶ権利が尊重されているか?

まず、本人は、年齢から言っても意思表示ができる状態にないと考えて差しつかえはないだろう。
では、問題は誰が意志決定代理人になるのか?ということである。
社会的状況(経済的なもの)から祖父母の意見の重要度が高まるのは、reasonableである部分もある。しかし、母親の判断能力を説明を行うとパニックを起こすからと、否定していいものかは疑問である。

母親の判断能力について
step1:状況の理解
  子供の病状の理解
  治療と予後についての理解
step2:祖父母の意見など周囲の状況を統合して結論を出す
という段階があると思う。この母親の場合は、step1の子供の病状の理解というところまでは、いっている感じである。今後も説明を根気良く続ける事によって、ステップアップする可能性があるのではないか。子供は、祖父母の意見に従えば、内科的治療を続けるだけとなり、いずれは死を迎えることになる。ステップアップの可能性に掛けてみるのも良いのではないか。
母親の判断能力を評価する基準がなく、医療者の主観で評価するのでは、知的障害者の権利を保障することはできないのではないか。



<QOL> 三富(1) 津田(2) 大崎(2)
1、治療した場合としなかった場合の患者がもとの生活にもどる可能性は?
もとの生活を一般的生活、と定義するなら、治療しないともとの生活に戻る事は難しい。

2、備見を持った評価者が患者のQOLにバイアスをかけてみることはないか?
祖父母の意見には相当な偏りがある。

3、治療が続けば、患者がどのような身体的、精禅的、社会的不利益を被るか?
身体的な不利益:なし
精神的不利益:父親がいないこと。祖父母による迫害じみた扱いを受ける可能性があること。
社会的不利益:成長すると差別を受ける可能性がある。母親の面倒をみる義務がのしかかる。経済的に困窮した生活の中で育つ事になる可能性がある。

4、患者の現在や将来の状態は、患者が耐えがたいと判断するようなものか?
現在、将来にわたって、耐え難いものではないか。
ただし、生命や病状については、治療により改善する。

5、治療を中止する考えやその理由づけはあるのか?
祖父母の意見。

6、患者を楽にする緩和的ケアの予定は?
治療を行った上、児童福祉施設などで養育することも考えられる。



<周囲の状況> 上野(2) 福島(人間2) 今村(3)
1、治療の決定に影響を与える家族の問題があるか?
ある。母親の状況(意志決定が今の段階ではできない)、父親の不在、祖父母に依存している生活。祖父母が子供に愛情をもっていない。

2、治療の決定に影響を与える医療提供者(医師看譲婦)側の問題があるか?
母親への対応に困惑していること。

3、財政的、経済的な問題があるか?
家族全体で経済的に余裕があるわけではない。将来、この子供が生き残ると、家族への経済的負担は確実に増大するであろうし、これが祖父母の扶養能力を越えてしまう可能性がある。

4、宗教的、文化的な問題があるか?
祖父母の意見;父親の分からない子供であり、祖父母は、母親の扶養だけでもすでに精一杯である。

5、守秘義務を破る正当性があるか?
6、資涯の不足の問題があるか?
7、治療決定の法的な意味あいは?
内科的治療を選択した時点で、子供の養育権は果たされているが、生きる権利を侵害している可能性がある。(死ぬ治療法を選択したことで)

8、臨床研究や教育の問題があるか?
なし
9、医療提供者や施設間の利益上の葛藤があるか?



<全体ディスカッション>
すみません。記録脱落です。次回からは気を付けます!(文責:寺澤富久恵)


すばらしい分析の記録をありがとうございました。確かにこの事例では、何とかこの知的障害のある母親の判断能力、その母親をサポートする家族や社会、そしてこの心臓病の子ども自体の治療の可能性などを検討しながら今後の方針を決めていくことになるでしょう。(白浜雅司)


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