2001年度臨床倫理討論


症例3)知的障害のあるシングルマザーは子どもの治療決定
に関与させないでいいのだろうか

先天性心疾患による心不全の治療を受けていた10ヶ月の女児。
根本治療のためには心臓の手術の必要があるが、一番の代理人であ
る女児の母親は知能障害のあるシングルマザーで、手術のことにつ
いて話そうとするとパニックになってしまう状態であった。そして
子どもの世話をしている母親が精神的不安定になることは、この女
児の治療にとって悪影響を及ぼすことが懸念された。

この母親は、その両親(女児からいえば祖父母)に養育されており、
祖父母の意見は、この知的障害のある娘の養育だけでも難しいのに
これ以上、父親のわからない孫の治療や養育の世話迄は難しいと手
術には否定的であった。
医療スタッフは、このような女児の社会的背景、母親の精神的な判
断能力を考慮して、母親には手術の可能性があることについての説
明をあえて行わず、祖父母の意向に従って内科的治療のみを続け、
最終的にこの女児は亡くなった。

(HP上の提示は、患者さんのプライバシーを守るため内容を変更し
て提示します)

(学生の問い)
自分は、今回の判断は色々な状況から仕方なかったと思うが、知的
障害のある母親に手術の可能性を話さないと言う今回の医療スタッフ
の判断は正しかったのだろうか。



(1回目の討論ででた課題)
誰がこのような難しい問題の判断をできるのだろう。祖父母の決定に
従うだけで良かったのだろうか。
日本ではまだそのシステムが確立されていないが、アメリカのように
医療スタッフが第三者機関(倫理委員会や裁判所)に相談するような
ことも必要ではないだろうか。

(次回迄の検討課題)
1)判断能力をどう判断するかという問題について調べる。
2)アメリカなどではこのようなケースについて倫理委員会や裁判所
への倫理問題の相談することがあるのではないか。このような判断の
難しい事例に対する外国での対応の仕方ついて調べる。


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