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東京大学大学院医学系研究科・医学部 倫理委員会において承認を受けた研究
自己抗体測定用試薬「エリアSmDp」の基礎的・臨床的有用性に関する研究(承認番号3333-92)
  1. 研究課題名
    自己抗体測定用試薬「エリアSmDp」の基礎的・臨床的有用性に関する研究
  2. 承認番号,承認日
    平成26年7月29日(承認番号3333-92)
  3. 内容
      全身性エリテマトーデス(SLE)は自己抗体によって引き起こされる慢性炎症性疾患である.SLEは皮膚,粘膜,関節,腎など,多彩な臓器病変を呈する.SLEの分類基準に含まれる蝶形紅斑や円板状紅斑などの特徴的な病像を示すときは早期に診断可能となるが,ほかの自己免疫疾患を合併している場合や症状が軽症である場合などは診断が困難である.
      SLEの分類基準の11項目のうち,免疫学的異常として抗dsDNA抗体,抗Sm抗体,抗リン脂質抗体のいずれかが陽性であることが挙げられている.そのうち抗Sm抗体は極めて特異性が高く,SLEの約5〜30%と陽性率は低いものの,他の自己免疫疾患では5%以下であることから,SLE疾患標識抗体とされている.陽性であればSLEおよびSLEを合併するオーバーラップ症候群であることから有用な検査項目の一つである.
      抗Sm抗体測定法としては酵素免疫測定法(EIA)が広く用いられており,Smタンパク9種(SmB, SmB’, SmN, SmD1, SmD2, SmD3, SmE, SmF, SmG)のうちSLEに特異性の高いSmDを対応抗原として使用している.現在,リコンビナントSmDの生産が困難であることから本邦では動物組織由来SmD(nSmD)が使用されているが,nSmDは精製過程でSmBB’が混入するためSmBB’によって偽陽性になることが報告されている.また混合性結合組織病(MCTD)の診断に用いられる抗U1RNP抗体の対応抗原とSmBB’が交差性を持つことから,SmBB’の交差反応性抗体による偽陽性も報告され,疾患特異性の低下が報告されている.
      近年ではSmDのペプチド化が行われ,2005年にはnSmDとSmDをEIA法で比較検討したところSmDpのほうが高い疾患特異性を示したとの報告されている.そこで,ファディア株式会社では抗原としてSmDペプチド(SmDp)を用いた試薬を開発した.抗原をSmDpにすることで,より高濃度の抗原を間接固相法で固相することが可能となり,感度の向上が期待されている.
    本研究では,免疫蛍光測定装置Phadia 250(ファディア株式会社)を用いて従来試薬エリアSmと新規試薬「エリアSmDp」の基礎的検討および従来試薬「エリアSm」との感度,特異度などの比較検討を実施する.(西森 まどか)
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