東京大学大学院医学系研究科・医学部 倫理委員会において承認を受けた研究
CCDセンサーによる検査阻害要因検知機構の実用性についての検討(承認番号3235)
- 研究課題名
CCDセンサーによる検査阻害要因検知機構の実用性についての検討 - 承認番号,承認日
平成22年11月29日(承認番号3235)
- 内容
昨今,外来患者数増加に伴い,円滑な診療を支援するため検査の迅速化が求められている.検査迅速化の一つに,測定に至るまでの検体前処理の迅速化がある.検体前処理には検体の遠心分離,分離後の測定容器への分注が含まれるが,現在はそのほとんどが自動化され,より迅速な検査が可能となっている.しかしながら,一部の検体では,遠心不良(血餅の突出やフィブリンの析出)が発生し血清の分注を妨げるため,自動遠心分離と分離後の自動分注作業の間に,人が検体を目視する必要があり,人手や時間を要している.また,共存妨害物質(溶血,乳び,ビリルビンなど)のために検査に影響のある検体は,速やかに発見する必要があるが,現在,測定装置による自動検出には15分程度の時間を要する.
現在,株式会社IDSにより,自動搬送処理内にて上記の遠心不良や共存妨害物質などの検査阻害要因を検知する機構が開発されている.本機構は,LED光を検体に照射し透過光をデジタルCCDセンサーで読み取ることにより画像解析,色面積率計算等を行い血清中の検査阻害要因の有無,およびその程度を判定する.測定装置を介さずに共存妨害物質の程度を判定できるためより早い対応が可能となることが推測される.しかしながら,本機構は開発途上であり,さらなる患者検体による検討が必要となる.そこで本検討では実用化に向けて,本装置の遠心分離不良検体における血清量の認識の様子,および測定装置による共存妨害物質の判定とのレベルの調節について検討をおこなう.(大川 龍之介)