東京大学大学院医学系研究科・医学部 倫理委員会において承認を受けた研究
血餅退縮能を用いた血液凝固第XIII因子活性測定法の開発(承認番号2936)
- 研究課題名
血餅退縮能を用いた血液凝固第XIII因子活性測定法の開発 - 承認番号,承認日
平成22年3月1日(承認番号2936)
- 内容
血液凝固第XIII因子(FXIII)はフィブリン安定因子とも呼ばれ,止血の完了維持と創傷治癒作用に働く重要な血液凝固因子の1つである.その先天性欠損症やFXIIIインヒビター(自己抗体)による後天性FXIII欠乏症の主症状は重篤な出血症状であるため,異常出血を認めた場合にはFXIII欠乏症を考慮する必要がある.但しFXIII欠乏状態は、プロトロンビン時間などの通常の凝固スクリーニング検査では検出できないために,FXIII活性測定を行わなければならない.しかしながら、このようにFXIIIが問題になる疾患は多くないため一般の病院検査室でのルーチン業務ではFXIII活性測定が行われる頻度は少なく,測定器の維持や精度管理などから考慮した費用対効果の観点から,多施設において院外検査にて実施されているのが現状である.このような院外検査によるFXIII活性測定の問題点としては,結果報告に時間を要していることであり,院内でも簡易的に行うことのできる検査,診断法の確立が望まれている.
私たちは,FXIII欠損症では血餅退縮能が低下するとの報告から,血餅退縮能によるFXIII低下症例の検出の可能性を考慮している.本研究では,血餅退縮能における第XIII因子の役割を明らかにして,臨床応用の可能性を追求することを目的としている.(田中 亮子)