東京大学大学院医学系研究科・医学部 倫理委員会において承認を受けた研究
AML予後関連遺伝子の変異および定量検査法の構築(承認番号2632)
- 研究課題名
AML予後関連遺伝子の変異および定量検査法の構築 - 承認番号,承認日
平成21年7月27日 (承認番号2632)
- 内容
急性骨髄性白血病(AML)の治療成績は,新薬の開発や造血幹細胞移植法の進歩によって飛躍的に向上している.また,現在まで様々な染色体異常が同定され,それらの多くはAMLsubtypeの診断マーカーとされるだけでなく,寛解達成や再発リスク,Overall Survival (OS)の独立した予後因子となっている.
一方,成人AMLの40-49%,小児AMLの29%は染色体異常の見つからない正常核型を有し,その治療成績にはかなりのばらつきがある.また,症例の大部分が寛解に達するものの,長期予後をみると良好とはいえないのが現状である.この問題を克服するためには,予後因子を抽出することにより分子レベルでの層別化を行い,それに基づいて効果的な治療法を選択することが不可欠である.
これまでに,正常核型を有する症例において,様々な遺伝子変異や発現異常が報告されており,当院では日常検査として,FLT3-ITD(FLT3-internal tandem duplication)およびNPM1(nucleophosmin 1)遺伝子変異の解析を行っている.本研究では新規に,CEBPα(CCAAT/enhancer binding protein alpha) 遺伝子変異,MLL-PTD(MLL-partial tandem duplication),BAALC(Brain And Acute Leukemia, Cytoplasmic) 遺伝子発現,ERG(ETS-related gene) 遺伝子発現の解析系を構築し,日常検査での実施を目指す.(影山 祐子)