東京大学大学院医学系研究科・医学部 倫理委員会において承認を受けた研究
胃がん腹腔細胞診における腫瘍関連遺伝子検査法の構築(承認番号2609)
- 研究課題名
胃がん腹腔細胞診における腫瘍関連遺伝子検査法の構築 - 承認番号,承認日
平成21年7月6日(承認番号2609)
- 内容
胃癌の腹腔細胞診は,進行胃癌の再発,主に腹膜播種再発を予測する予後因子である.近年の治療技術の進展に伴い,微小な腫瘍細胞を精度良く,高感度に捉える(腹膜再発を知る上で)ことが重要な課題となっている.しかしながら,細胞診による判定は検査者の主観に依存し,感度にも問題を残すことから,感度と客観性を向上させる検査方法が求められている.近年,感度の高い腹腔細胞診の手法としてRT-PCR法によるCEA mRNA(CEA)検出の有用性が報告され導入されつつある.当部遺伝子検査室においても,平成19年2月よりRT-nested-PCR 法によるCEAの検出を実施してきたが,CEAのみの単一マーカーによる解析では,腹膜播種再発の診断において感度・特異度に問題があることから,CEA以外の複数の腫瘍関連遺伝子による解析が必要となった.さらには,客観的数値による診断の指標として,遺伝子定量検査の構築が必要とされている.
本研究では,迅速な核酸増幅法であるTRC法を原理とする,real-time PCR装置・TRCRapid-160(東ソー株式会社)を用いたCEA検出法の精度・性能評価を行う.さらには,腫瘍関連遺伝子として有用性が報告されている候補遺伝子についてreal-time PCRによる遺伝子定量法を構築し,その発現検出の臨床的意義を検討する.(佐藤 優実子)