東京大学大学院医学系研究科・医学部 倫理委員会において承認を受けた研究
尿中apolipoprotein AIのフラグメント解析の基礎的検討(承認番号2442)
- 研究課題名
尿中apolipoprotein AIのフラグメント解析の基礎的検討 - 承認番号,承認日
平成21年5月25日(承認番号2442) - 内容
アポリポ蛋白のひとつであるapolipoprotein AI(apoAI)は,血清apoAIとして,apoAI欠損症,Tangier病,LCAT欠損症などの脂質代謝異常の診断に広く用いられ,臨床検査として必要不可欠な項目となっています.
今回,我々が新たに着目した尿中apoAIは,これまで知見に乏しく,その機序や臨床的意義はいまだ明らかになっていません.健常者尿中にも出現し,さらにはapoAIの一部または大部分がより小分子にフラグメント化して流出する症例が確認されています.また,大部分のapoAIはHDLの構造蛋白として脂質と結合し20〜40万の分子量で血中に存在しているため,一般的な血漿蛋白と比較しても特殊であり,尿中への流出に特有の機序が働いている可能性が示唆されます.以上のことから,尿中のapoAIのフラグメント解析で病態を識別できる可能性が考えられます.
我々は,尿中apoAIのイムノブロット分析による存在様式の特徴やフラグメント化の機序を明らかにするための基礎的検討(本研究は,本学大学院医学系研究科・医学部 倫理委員会の承認を受けています)を行っています.この結果をもとに,いずれは病態解析のための新たな指標として,臨床検査応用の可能性を見出したいと考えています.(伊井野 潤子)