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東京大学大学院医学系研究科・医学部 倫理委員会において承認を受けた研究
造血器腫瘍患者・妊婦におけるリゾリン脂質とその関連物質の測定(承認番号1782)
  1. 研究課題名
    造血器腫瘍患者・妊婦におけるリゾリン脂質とその関連物質の測定
  2. 承認番号,承認日
    平成19年7月23日(承認番号1782)
  3. 内容
      生理活性脂質は,シグナル伝達分子として細胞表面の受容体に作用し,多彩な生理活性を示す.近年注目されている新規生理活性脂質に,リゾリン脂質性メディエーターがある.リゾホスファチジン酸(LPA)とスフィンゴシン1-リン酸(Sph-1-P)は,細胞増殖・運動促進作用,平滑筋細胞収縮作用など,多彩な生理活性を示す代表的なリゾリン脂質性メディエーターであり,悪性腫瘍の進展にも関与することが示唆されている.また,LPA産生酵素であるオートタキシン(ATX)は,ホジキンリンパ腫や膠芽細胞腫で高発現しており,LPA産生を介して,腫瘍の進展を促進させると考えられている.
    私たちのこれまでの研究の結果,@濾胞性リンパ腫患者の血清ATX抗原量は健常者に比べて有意に高値であり,複数例で病勢を反映していること,A妊婦の血清ATX抗原量は非妊娠女性に比べて有意に高値であり,妊娠週数と相関して上昇することが明らかとなった.本研究では,リゾリン脂質とその関連物質(血清ATX抗原量,LPA, Sph-1-Pなど)を測定し,これらの生体内での動態を明らかにしたい.本研究によりリゾリン脂質性メディエーターの病態生理学的意義が明らかとなり,新たな臨床検査への応用,治療法の開発へ結びつく可能性がある.(増田 亜希子)
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