東京大学大学院医学系研究科・医学部 倫理委員会において承認を受けた研究
甲状腺ホルモン測定における非特異反応の頻度と原因の究明(承認番号11015)
- 研究課題名
甲状腺ホルモン測定における非特異反応の頻度と原因の究明 - 承認番号,承認日
平成27年11月9日(承認番号11015)
- 内容
甲状腺ホルモンは全身の臓器や組織に作用し,代謝促進や熱産生作用,蛋白,核酸合成の促進等にはたらく極めて重要なホルモンです.甲状腺ホルモンの調節機構は脳の視床下部からの甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)が下垂体で甲状腺刺激ホルモン(TSH)の合成を促進し,TSHは甲状腺で甲状腺ホルモン(T4,T3)の合成分泌を刺激します.一方,甲状腺ホルモンは下垂体でのTSH産生を抑制します.このネガティブフィードバック機構により血中甲状腺ホルモン濃度は正常域に維持されています.
血中での甲状腺ホルモンは蛋白結合型と遊離型(FT3,FT4)が存在し,遊離型のみが活性を持つためFT3,FT4を測定するのが一般的です.甲状腺ホルモンの測定は抗原抗体反応を基本原理とした免疫学的測定法で行いますが,この測定法では,検体中の異好抗体や自己抗体により非特異反応が起こり偽高値を示すことがあります.誤った検査値の報告は誤診に繋がる危険性があり,検査室には正確な検査値の報告を求められます.本研究は,FT3またはFT4偽高値を疑う検体について非特異反応の発生頻度の解析と疾患,治療との関連を詳細に解析することでその原因の究明を目的としています.未成年の甲状腺ホルモン検査でも非特異反応が示されることがあるため,本研究では未成年の患者さんも対象にします.
なお,本研究は,臨床検査後の廃棄予定の残余検体を使用し,個人の特定が可能な情報は匿名化しますので,個人情報が漏れることはありません.また,本研究にご協力いただけるか否かは患者さんの同意に基づきます.ご協力いただけない場合でも診療上の不利益を受けることはありません.本研究への参加にご承諾いただけない患者さん(未成年の場合は保護者の方)は,お手数ですが,下記の連絡先までお電話をお願いします.
奥山恵理子(30564)