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東大病院内の横断的組織・チーム医療への貢献
個別薬物療法

東大病院における個別薬物療法への貢献:pharmacogenomics検査

  高度な医療を提供するため,先進的検査結果を診療に反映させる必要性は益々高まっています.これを精度高く迅速に院内で集中的に行うことは,中央診療施設としての大学病院検査部の存在意義を高めるとともに各診療科の負担軽減になると考えられ,私どもの重要な課題と認識しています.治療薬投与時の薬剤動態,反応性,副作用発現の可能性を予測でき,安全で効果的なテーラーメード医療への貢献が期待できる薬剤反応性遺伝子検査は,その候補検査の一つと考えております.

  私ども検査部では,2004年1月,東大病院全診療科を対象として薬剤応答性遺伝子検査(CYP2C9,CYP2C19,CYP2D6,NAT2,GST,UGT,TPMT,ADH2,ALDH2)の要望に関するアンケート調査を実施したところ,多くの前向きな回答が得られ,本検査の準備を進めて参りました.

  2006年8月より,東大病院Pharmacogenomics Working Group(臨床ゲノム診療部,薬剤部,検査部,消化器内科など)が中心となり,プロトンポンプ阻害薬の代謝に関与するCYP2C19遺伝子多型検査をスタートすることになりました.検査部では,匿名化された末梢血検体からDNAを抽出後,本検査の施行を担当しています.CYP2C19*2 (intron/exon splice site : 681 G to A in Exon 5) ,CYP2C19*3 (Stop codon: 636 G to A in Exon 4 )の変異部位を含む領域に設定したプライマーでPCR増幅を行うと同時に,FITC,LCRed640で蛍光標識したhybridization probeとの反応を行い, Real-time PCR法(Lightcycler)にて,1塩基変異による融解温度(Tm)の差異を利用した融解曲線から遺伝子型の判別を行います.結果は,フェノタイプと遺伝子型の双方をシステム入力しています.

  今後,pharmacogenomics検査を順次,拡大していく予定です.
これらの活動は日本臨床検査自動化学会「チーム医療実践検査室ネットワーク」に登録しております.

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