Clinical Clerkships体験記
Johns Hopkins Hospital
M3 Male
1. Introduction
Johns Hopkins Hospitalで1月から3月までDermatologyで4週間、Endocrinologyで6週間実習しました。Hopkinsには毎年2人ずつ学生が行っていて、私は4年目でした。HopkinsはWashington DCから電車で1時間ほどのところにある都市です。アメリカでは大変有名な病院で、Best Hospitalに何度も選ばれているくらいです。3ヶ月という短い間ではありましたが、非常に貴重な経験ができたと思っています。これから、それらについて順を追って話して生きたいと思います。
2. 実習前
準備にはかなりの時間がかかりました。まずは、USMLE Step1です。私はこの実習にぜひ行きたいとずいぶん前から考えていたため、4年生の春休みに集中して勉強し、5年の初めに取得しました。スコアは今考えるともっとあとに受けたほうが伸びていたとは思うのですが、実習の面接で少しでも有利になれば、と思う気持ちもあり、早めに受験しました。もし将来海外に行く気があるならば、IMGにとってスコアは非常に大事な基準になるので、実習の直前に受験し、ハイスコアを得ることをお勧めします。
次に、7月に日本語と英語で面接がありました。これで海外実習の行き先が決定するので、非常に大事です。私はアメリカの大学で長期間実習ができれば特にこだわりはなかったのですが、どうせなら全米でTop Classの大学で実習したほうがやる気も出るしいい経験になると思い,Hopkinsを第一希望にすることを決めました。当時は精神科をアメリカで見たいと思っていたため、面接でもそのことを言ったのですが、英語、日本語両方の面接で「日本で精神科のBSLをまだ取ってないのにわかるの?」、「英語でまともに問診したこともないのに精神科の患者の問診なんかできるの?」みたいなことを言われ、かなりの失敗に終わりました。結局行けることにはなったのですが、学校の成績がよかったのか、それほど面接の印象が悪くなかったのか、理由は謎です。
そして、9月に実習において志望する科を2つ決めてCVとPSを提出しました。Hopkinsでは合計9週間、各4週間半の実習がOfficialに認められています。私は最も興味のあるDermatologyと、今までの知識をもっとも活用できるMedicineを希望することに決めました。Medicineならば何でもいいというところはあったのですが、Diabetesに興味があったこともあり、Endocrinologyを選択することにしました。Hopkinsからの受け入れの返事は遅く、1つ目のDermatologyは10月、Endocrinologyは直前の12月にOKの返事をもらいました。結局第1,2志望とも受け入れられたので、大変Happyでした。
直前には滞在中の宿となるReed Hallの手続き、予防接種、Visaなど、書類の手続きがかなりあります。早め早めの行動をとり、必要な返信はすぐにすることをお勧めします。
3. アメリカ渡航
実習は1月9日からだったのですが、手続きと時差になれるために1月5日に日本を発ちました。一緒にHopkinsに行くことになった**君とは飛行機が違ったため、DCのUnion Stationで待ち合わせをしてからMarcという鉄道でBaltimoreに向かいました。DCの空港からUnion Stationまで行く途中に偶然HopkinsのPublic Healthで研究をしている浅尾啓子先生と知り合いになり、Hopkinsまで一緒にいくことができました。浅尾先生には到着後Hopkins周辺を案内してもらったり、車で外に連れて行ってもらったりと、大変お世話になりました。
Hopkinsにつくと、まずReed Hallに入居するのですが、最初はその部屋の狭さに驚かされました。おまけにBath、Toiletは共同です。その環境に最初は鬱になりそうでしたが、1週間もしないうちに慣れ、特に気にならなくなりました。
実習前にはIDの発行、実習の細かい日程の調査など、いくつかの事務作業が待っています。Hopkinsは危険な場所にあるため、病院に入るためには常にIDの携帯を求められます。実習直前に行くと不便なことになるので、早めに行くほうがいいでしょう。
4. Dermatology
1月9日からいよいよ実習が始まりました。このRotationではHopkinsの3年生3人と、私の4人でした。一週間ごとに4つの異なるRotationがあったため、それぞれの学生が一人ずつ、各Rotationを順番違いに回る、という内容でした。実習の内容はとてもよく調整されていたと感じました。具体的には以下の通りです。
n 1st week: Miscellaneous
n 2nd week: Inpatient Consultation
n 3rd week: JHOC Clinic
n 4th week: Bayview Clinic
MiscellaneousではBasal cell carcinomaやMalignant melanomaに対するMohs surgery、Aids Clinic、Cosmetic Clinicの見学など、通常のClinicではあまり見られない特殊な皮膚科の診療を学ぶことができました。
Inpatient ConsultationではConsultation担当のResidentと行動をともにし、他科の入院患者のSkin Problemに対するConsultationを受けるという内容でした。一日の件数は1から4件ほどで、それほど忙しくはありませんでした。Consult元の科は幅広く、Neurosurgery、Pediatricsなどさまざまでした。Drug Eruptionが多く、ほかにはCrohn’s diseaseに合併したPyoderma Gangrenosum、小児のVitiligoなど、面白い症例も多く経験することができました。
JHOCというのはHopkinsのOutpatient Centerの名前であり、外来専門のビルです。東大と違い、皮膚科には入院患者がいません。ClinicではAttending次第でしたが、自分自身で患者を見て、先生にプレゼンすることもでき、非常にいい経験でした。こちらの基本的な診療スタイルは、まずMedical StudentかResidentが患者のHistory takingとPhysical Examinationを行い、それをAttendingにプレゼンし、Attendingとともにもう一度患者を診て、治療を決めるというものです。これはHopkinsだけでなく、アメリカの病院でも共通のようです。こうすることでMedical StudentやResidentは自分の力のみで治療方針まで決めることができるため、勉強になります。Attendingの指示が最終的に必要になるとはいえ、Med StudentやResidentの意見は採用されることが多いため、責任を感じて、チームの一員として働くことができました。
Bayviewというのは、HopkinsからShuttleで20分ほどのところにある関連病院です。規模は非常に大きく、JHHとほぼ同じ規模ということでした。ここでも診療スタイルはほぼ同じでしたが、Hispanicが多い、など地域的な差は多少あったように感じました。
これらが実習の基本的な枠組みでしたが、それ以外にも、Resident Lectures、Attending Lectures、Dermatopathology Sessions、Grand Roundsなど、教育的な時間は多く、皮膚科の疾患に興味のある私にはとても満足のいくものでした。皮膚の疾患はAsian、African American、Caucasianで非常に異なります。最も典型的な例は皮膚がんです。アメリカではSkin Checkを定期的にやっていて、日本との差に驚かされました。日本の皮膚科では見ることのできない疾患を多数見れたという点で、非常に貴重でした。先生方は大変教育的で、日本から来た私もこちらの学生とほぼ同じように扱ってもらうことができました。最初の実習ということで、初め2週間は英語の壁に苦労させられたのですが、次第になれ、最後のPresentationも無事に終わらせることができました。
5. Endocrinology
2月9日から3月24日までの6週間強、実習をしました。本来は4週間だったのですが、先生に頼んで期間を延長してもらいました。ここでの実習がもっとも楽しかったところであり、本当に多くのことを学ぶことができました。ここではHopkinsの3年生2人と私の3人でした。9時から12時までがClinic、午後は他科のConsultationというのが基本的な流れでした。まず、最初のOrientationで驚いたことは、学生がDictationまでするということです。こちらでは医者がChartをTypeするということはなく、電話に向かって患者の診察内容を話し、それをあとでDictatorが書き起こしてくれます。日本人の発音をDictatorがきちんと書き起こしてくれるものだろうか、文法的に誤りなく文章を話せるだろうか、など、さまざまな不安があったのですが、次第になれ、最後には原稿なしに問題なく、Typeするよりも早くDictationをこなせるようになりました。また、皮膚科ではVisiting Studentであることもあり、単独での診療を許してくれないAttendingもいたのですが、ここでは全員がそれを許可してくれたので、合計100人弱の患者を見ることができました。これは非常に自信につながりました。患者さんの層もさまざまで、保険がない人、英語が通じない人などもいて、均一な日本との違いをよく感じました。
Presentationの技術では、言語が英語ということもあり、こちらの学生にはかないませんでしたが、土日もEndocrinologyのテキストを読んでいたこともあり、知識の点では勝っていたため、質問にもよく答えることができ、先生の信頼を得ることができました。AttendingやFellowの先生方は本当にいい人ばかりで、日本の医学教育に興味を持ってもらいいろいろ話したり、映画に連れて行ってもらったり、家に招いてもらったりと、実習以外でも有意義な経験を多数もつことができました。海外でのResidentに興味があるといったので、さまざまなアドバイスをもらうとともに、Letter of Recommendationも書いていただきました。AttendingのDr. Clark、FellowのJulia、Mikeには感謝しても仕切れないほどお世話になったと感じています。
6. Impression
アメリカで実習をすると、日本の医療を違った視点で見ることができます。医療の質に関しては、アメリカが進んでいるとは特に感じませんでした。保険の点では日本のシステムのほうがよいと感じました。しかし、EBMの点ではアメリカのほうが進んでいると感じました。治療の際に、常に最新のデータを反映して選択します。MedicationのDoseなどはいつもUpToDateやPubMedを検索し、決定します。これを学生のうちからアメリカでは学ばされているため、Residentの診療の能力はアメリカのほうが高いと思います。
また、医学教育に関していえば、医学生も責任を持たされているという点で、アメリカのほうが効率よく学べると感じました。日本では、担当患者がいても、研修医も担当しているため、医学生の責任はまったくありません。一方、アメリカでは医学生が担当する患者に関しては研修医はつかず、Attendingが監督するだけです。こうすることで、医学生は自分自身で治療方針まで立て、患者のManagementにかかわることができます。責任のあるなしで成長はだいぶ違います。私もいまや1年日本で実習して診察した患者数をはるかに上回る数の患者を3ヶ月のアメリカの実習で診察しました。臨床技能はそうとうに伸ばすことができたと感じています。日本の実習で診療能力に自信を持つことは不可能でした。ここは、日本の教育にぜひ導入するべきだと思います。クルズスよりも、実際の患者を見る技術が必要です。
最後に、Hopkinsで実習する機会を与えてくれた丸山先生、飯野先生、高本先生、現地でお世話になった澤先生にあらためてお礼を言いたいと思います。