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総合医の2つの役割(地域での総合医、病院でのコーディネーター)



総合医の2つの役割(地域での総合医、病院でのコーディネーター)


医者はそもそも、病院の中では coordinaterである。指示を出せば他のスタッフが実務をやってくれる。医療事務職、ソーシャルワーカー、薬剤師、リハビリテーション、看護師と、それぞれの職種では、仕事の内容が明確に規定されているのに比べて、医者は、各職種にお願いするだけで、医者自体は多くの場合何もやっていない

しかし、ここで言いたいことはそうではない。医者集団のなかでのcoordinaterの必要性、さらに病院内だけでなく、病院外でも医者がcoordinaterを果たすことのメリットを述べる。


日本でこれらの分野が活躍するのは、2つ考えられる。

1.地域を舞台とした「家庭医・総合医、地域医療医者」
2.病院の中の総合診療部としての意義

である。後者は病院の中で各専門科を結びつけるコーディネーターや学生・研修医の教育に強力である。アメリカではhospitalistと呼ばれる人達である。


土木・建築やそのほかの分野でも専門の細分化に伴い全体を統括するコーディネーターがここ20年30年台頭している。そして、優秀な人ほどコーディネーターとして働き、そうでない人(一部の天才を除いて)はせめて専門を一つ身につけることによって社会に貢献するという図式になっているようである。


*詳細はリーダー論へこれは「リーダー」の意義からも確かだと私は考える。リーダーには2種類いる。自分が先頭に立ってすべてを推し進めていくタイプ、そして、コーディネーターとして「適材適所に限られた人員や材料を配置できる能力」を発揮するタイプである。


病院の中の総合診療部が病院の中でコーディネーターとして力を発揮できるような環境、理解が重要と思う。

 
そして2007年、日本プライマリケア学会、日本家庭医療学会、日本総合診療医学会の3学会が共通の「総合診療医制度」を作ろうという動きがあった。えてしてこのような新しい分野は学問的基盤が弱い傾向があるが、臨床疫学などの方法論を積極的に取り入れた臨床研究や診察診断学を学問的基礎としている面で躍進を期待される。


法人としての学会には2つの意義があると考える。「公益」と「共益」である。

・公益とは社会の利益のために集まった人達が積極的に活動する、社会に開かれた集団である。
・共益とは同じ志を持った人達が集まって自分たちの立場を社会にアピールをしたり、自分たちの立場を守るために活動する集団である。

えてして多くの学会は「共益」の面が非常に強いと思う。日本医師会は「一部の開業医の『共益』」のために動いているように見える。

一方、専門医制度は「公益」の面が大きい。しかし、日本では学会専門医という言葉があるように共益と公益の概念が一緒になってしまっている。


この状況下で「総合診療系」の学会は、「家庭医」などの専門医制度を構築するに当たり、公益として国民や地域社会のほうに目を向けた活動をして、実際に時代の要請、国民の要請ということで信頼を得ていく必要がある。つまり、公益と共益を分けて活動することが家庭医の立場や地域への貢献を推進する重要でないかと考える。

<続き:医療界におけるcoordinater/director/producerの果たす役割(2007/9/1)>



2007.7月記載