心エコー検査の実技講習(臨床検査学生対象)
東京大学医学部附属病院検査部 櫻井 進 技師
☆はじめに
臨床検査技師養成のための各種教育施設(大学、短大、専門学校)では、「病院実習」と称し、
関連医療施設などで臨床検査に関する実習を受ける機会を設けているところがある。本院では例年、
半年間5〜6名の実習生を受け入れている。心エコー検査の実習は、技師が担当し、2日をあてている。
本稿では本院での実習法を述べたものである。
☆心エコー検査の実技講習法
心エコー検査の実技講習項目として、
1)胸腔内臓器の解剖学的知識
2)心エコー検査方法の知識
3)心エコー検査機器の操作
4)心エコー画像の判読
5)国家試験に必要な知識
などが挙げられる。
本院では、実習生に対しては、特に3)心エコー検査機器の操作、4)心エコー画像の判読を
中心に実技指導をしている。
☆実習生への実技講習内容
・第1日目午前 9:00-12:00(心エコー検査の基本画像の理解)
毎週水曜日に医学部学生(M3)を対象にしたベッドサイドティーチング(BST)が行われる。
臨床検査実習生はその講義・実習を見学する。
資料は右図心エコー描出画像テキスト
(竹中克、心エコー・Doppler検査。臨床検査、内科総論、最新内科学大系、中山書店)1枚である。
M3生BST内容はUCG実技講習法(M3編)
を参照のこと。
・第1日目午後 13:00-17:00(心エコー検査の実際例の見学)
循環器内科症例を中心に、実際の心エコー検査を見学する。
・第2日目午前 約30〜45分(心エコー検査機器の操作と検査実技)
検査部技師を被検者に、前出テキストに従い、基本断面を描出する。
機器操作は被検者がレーザービームポインタなどを用い指示する。
プローブ操作は実習生が主に行い、必要に応じて被検者が位置・方向などを口頭で指示する。
描出出来ない場合は実習生のプローブ操作を補助する。
テキストに沿って描出された基本断面を実際の検査手技にのっとって
プリントする(チャート出力、カラープリント出力など)。
適宜、パルスドプラ、連続波ドプラなどの手技を教え、その結果を出力する。
・第2日目午後 独習(心エコー画像の理解とレポート作成)
午前中に出力した画像に、
・音響窓名(プローブ位置)
・基本断面名
・心時相(収縮期か拡張期か)
・描出腔名
・描出構造物名
などを記入する(プリント上に小シールを貼る)。
各計測値を求め、必要な計算式などを記入する。
以上を1週間以内に担当技師に提出し、添削・修整・採点を行う。
完成した「心エコー検査基本断面集」は実習生が大事に保管する。
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