拡張能の基礎的知識(diastolic function)
社会保険中央総合病院 角 洋子技師
☆拡張能の基礎的知識
左室機能
収縮機能:左室から大動脈への血液の駆出動態を規定。
拡張機能:左房から左室への血液の駆出動態を規定。要素としては左室弛緩能、左室 stiffness がある。
・左室弛緩とは
1.エネルギーを要する能動的な過程
2.収縮期に発生した張力を低下させる過程
3.拡張早期に起こり、左室収縮後における左室圧下降速度および心筋細胞の伸展度を規定。
4.障害を受けた場合には、
左室圧下降速度の低下
↓
流入血液の driving pressure (左房-左室圧圧較差)の低下
↓
僧帽弁開放後の急速流入期における左室流入障害を起こす。
・左室 stiffnessとは
1.受動的な左室の「硬さ」を示す
2.能動的な左室拡張である左室弛緩の過程の後における左室拡張機能を規定。
3.急速流入期後期から心房収縮期における左室流入動態に影響を与える。
4.障害を受けた場合(この場合は上昇)には、
一定の血液量が左室に流入した臍の左室圧の上昇が大きくなる。
↓
血液の流入に伴う左室圧上昇が急峻となる。
↓
左房-左室圧較差が急速に低下する。
↓
左室流入の driving pressure の低下をきたし、左室流入障害を招く。
・左室拡張能が障害された場合の影響とは
左室拡張能が障害
↓
左房から左室への流入障害
↓
心拍出量の低下
↓
流入血液の driving pressure を上げて流入量を維持(心拍出量を維持するため)
↓
左房圧上昇
↓
肺うっ血(通常心拍数上昇)←(増悪)← 心機能障害
↓ ↑
冠血流量低下 → 心内膜下虚血
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