心尖部 四腔断面
特徴

<右房右室、左房左室のそれぞれの異常の有無を観察記録するための断面>
・左室、左房、右室、右房の各形態のバランスの観察。
・三尖弁逆流の観察記録。
・左室心尖部および左室壁運動(心室中隔、左室側壁)の観察。
・各心腔の形態や両房室弁付着部位の異常の有無の観察。

患者の体位、体表上の探触子位置と方向
・患者の体位は左半側臥位をとる。
・心尖部(心尖拍動の最強点のやや外側下方または心電図検査におけるV5付近)に探触子を置く。
・[心尖部 二腔]より探触子側面のマーカを時計方向に約90度回転させる。

基本断面を得るための基準点
心尖部四腔断面の基準点として以下の2点が同時に描出されるように探触子を操作する。
・心尖部を含む断面。
・四腔がバランスよく表示される断面。

アドバイス(B-mode)
・本来複雑な立体的構造をしている4腔を、1断面で描出する断面である。
・四腔の大きさ、位置関係は1断面だけでは正確に表示できないが四腔のバランスをおおまかに捉えるのに向いている。
・四腔のうち観察したい対象が明確なときには、目的にあった断面を設定する。
・両心房の大きさの比較には、左房右房の面積が最大に描出される断面の検索が有用である。
・Ebstein、心内膜床欠損症 の鑑別診断のためには僧帽弁尖と三尖弁の心室中隔への付着部位が明らかな断面設定をおこなう。
・三尖弁の逆流速度計測のときには三尖弁逆流血流軸と一致する断面を表示する。
・心タンポナーデによる拡張障害の確認では虚脱が最も明瞭に認められる心房心室壁を描出する。

心尖部からの左室観察におけるピットフォール
・心尖部からの左室観察において基本3断面(左室長軸→二腔→四腔)を順次描出しただけでは、描出できていない左室断面(心室中隔前半部および側壁から後壁にかけての左室壁)が存在する。この死角をなくすために@断面から断面への回転中は連続断層像として観察を続ける。A四腔断面を得たあともさらに回転を加え、360度すべての断面を得るように心がける。
・心室中隔と心房中隔は同一平面上にあるのではなく、僅かに後者が左に偏位している。
・静脈弁遺残物として下大静脈開口部前縁にEustachian弁、冠状静脈洞の開口部にThebesian弁、左右静脈由来のChiari網などがある。
 

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