☆症例 1-3(収縮期の心房壁の左房側への突出を認めた症例)1998.04.21
医療法人財団東京勤労者医療会代々木病院 奥出 宏技師
(1) (2) (3)

(1) 心尖部4腔断面での拡張末期の心房中隔(右上左室、右下左房、左上右室、左下右房)
(2) 同一断面での収縮末期の心房中隔
(3) 同一断面での収縮末期の心房中隔(拡大図)

☆検査までの経過
患者:Y.H.
病歴:1998年1月中旬午前7時より動悸始まる(HR160〜180)。この10年来、同様の自覚症状(年1度程度)はあったものの自然と止まっていた。当院救急外来受診。心電図上では af tachycardia を認めジゴキシン、リスモダン、ワソラン静脈内投与するが、発作が止まらず入院し至急心エコー検査を施行した。
☆心エコー検査所見
入院中-1回目:僧帽弁逸脱(PML)あり。MR(+)severe。血栓(-)。
入院中-2回目:僧帽弁逸脱(PML)あり。MR(+)mild。血栓(-)。
このときに心房壁の左房側への突出が認められる。ASDを疑う。
退院後外来-1回目:MR(+)mild。心房壁の左房側への突出は描出出来ていない。
退院後外来-2回目:MR(+)mild。TR(+)mild。ASDのFlowひろえず。
このときに心房壁の左房側への突出が再び認められる。
☆その他の情報
アルコール多飲歴があり、それによるDM,痛風、脂肪肝を合併している。今回入院になる前、1997年末から1998年頭にかけても通常の倍量のアルコールを摂取していた。
☆現時点での推察
心房壁の突出は卵円窩の部位ではないかと思われる。検査のたびごとにフォローできたりできなかったりだが、先天的な心房壁の異常があると考える。入院中-2回目のときには、右室の軽度拡張もあったが、有意なTRは認められず、PAの拡張もなく、心エコー上は右心系の圧負荷は考えがたい。
質問
質問-1:なぜ、圧較差に抗して右から左への突出が起こるのか。同様の症例の経験がありましたらご教授下さい。

 
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