第8回大会概要  
Last update: 2011. 3. 18

第8回日本ワーキングメモリ学会大会

大会概要 スケジュール シンポジウム 発表者の方へ 学会参加について 非会員の方へ

    【ご連絡】

    東北地方太平洋沖地震の被害に遭われた方々に,謹んでお見舞い申し上げます。
    また,被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

    このような状況下ではございますが,第8回大会は通常通り開催させていただくことになりました。

    特に東日本からご参加いただく方々には,交通機関の乱れ等,ご不便も多々あることかと拝察いたします。
    決してご無理はなされないでください。

    発表者の方や,懇親会をお申し込みいただいている方で,ご参加が難しい場合は,
    可能であればご一報いただければ幸いです。

    何卒よろしくお願いいたします。

【大会概要】

日時:2011年3月26日(土) 10:20~17:30 (受付開始は9:50~)
場所:京都大学・百周年時計台記念館・国際交流ホールⅢ
(〒606-8501 京都市左京区吉田本町)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/clocktower/

※クロークのご用意はございません。お荷物・貴重品にはくれぐれもご注意ください。

懇親会
日時:2011年3月26日(土) 18:00~20:00
場所:京都大学・百周年時計台記念館・会議室Ⅲ
会費:一般の方 2,000円,学生の方 1,000円

スケジュール

09:50 受付開始
10:20 開会 苧阪直行(京都大学)
10:30 一般発表(1) 司会:齊藤 智(京都大学)
[1] 日本語版リスニングスパンテスト成績の個人差と方略利用
遠藤香織(大阪大学大学院・人間科学研究科)
苧阪満里子(大阪大学大学院・人間科学研究科)
[2] 日本語リーディングスパン・テストの自動化
大塚一徳(長崎県立大学)
宮谷真人(広島大学)
[3] ワーキングメモリの個人差とRST遂行中の眼球運動
  東 美由紀(大阪大学大学院・人間科学研究科)
苧阪満里子(大阪大学大学院・人間科学研究科)
  [4] リーディングスパン測定時の眼球運動:ワーキングメモリにおけるフォーカスの効果
    十河宏行(愛媛大学法文学部)
大塚結喜(京都大学グローバルCOE(文学研究科))
苧阪満里子(大阪大学大学院人間科学研究科)
苧阪直行(京都大学大学院文学研究科)
総合討論 11:30~11:45
11:45~13:00 昼休み(理事会) 
13:00 一般発表(2) 司会:五十嵐一枝(白百合女子大学)
[5] LD児の漢字熟語読み学習における単語の知識と意味学習の効果 
  河村 暁(発達ルームそら)
[6] 発達障害作業療法の評価におけるリーディングスパンテストの活用
  松岡可奈子(京都大学医学部保健学科作業療法学専攻)
  [7] 視線追跡装置を用いた日本語読解過程の研究
 ―ワーキングメモリの観点からみた日本語テキスト読解時の戻り読みと文法構造―
    寺 朱美(北陸先端科学技術大学院大学GCC)
白井清昭(北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科)
安達隆一(神戸市外国語大学名誉教授)
13:45 一般発表(3) 司会:宮谷真人(広島大学)
[8] 12対の視覚刺激を用いた対連合学習課題におけるサルの行動分析
高橋裕美(京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻)
Jorge Mario Andreau(京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻)
船橋新太郎(京都大学 こころの未来研究センター)
[9] 課題無関連情報の長期記憶内への符号化 ―fMRI研究―
源 健宏(京都大学大学院文学研究科・日本学術振興会)
苧阪満里子(大阪大学大学院人間科学研究科)
苧阪直行(京都大学大学院文学 研究科)
[10] 高齢者における視覚的ワーキングメモリのオーバーフロー
松吉大輔(大阪大学大学院人間科学研究科)
苧阪満里子(大阪大学大学院人間科学研究科)
苧阪直行(京都大学大学院文学研究科)
総合討論 14:30~14:45
コーヒーブレイク 14:45~15:00 
15:00 公開シンポジウム 「社会脳とワーキングメモリ」  (司会:苧阪直行(京都大学))

[1] 15:00~16:00
 *講演者:船橋新太郎(京都大学こころの未来研究センター)
 *演題「報酬期待に関わる前頭連合野の神経活動:背外側部と眼窩部の比較」  (要旨

[2] 16:00~17:00
 *講演者:福山秀直(京都大学医学研究科附属脳機能総合研究センター)
 *演題:「Default mode network」 要旨

[総合討論] 17:00~17:30
 *パネリスト:
  加藤元一郎(慶応義塾大学)
  渡邊正孝(東京都立神経科学総合研究所)
  室橋春光(北海道大学)
  苧阪満里子(大阪大学)

※科学研究費・基盤研究S:「社会脳を担う前頭葉ネットワークの解明 ―微小電極からfMRIまでの垂直的統合研究―」(課題番号:22220003)の補助を受けた。
17:30 閉会 苧阪直行(京都大学) 
18:00


懇親会

 *場所:京都大学百周年時計台記念館・会議室Ⅲ
 *会費:一般2000円,学生1000円
 *司会:船橋新太郎(京都大学)
 20:00 終了

【シンポジウム】

公開シンポジウム 「社会脳とワーキングメモリ」

[1] 船橋新太郎(京都大学こころの未来研究センター) 

報酬期待に関わる前頭連合野の神経活動:背外側部と眼窩部の比較

要旨
 私たちが何らかの行動を起こす時、その行動を起こすことによって得られる何らかのポジティブな結果(報酬)を予測して適切な行動を選択する。このような行動選択は私たちが社会生活を営む上で不可欠な働きであり、このような働きがどのような仕組みにより遂行されるかは興味あるテーマである。
 前頭連合野が報酬の予期にどのように関わっているかを明らかにする目的で、サルに眼球運動を用いた空間性のワーキングメモリ課題(ODR課題)を行わせ、前頭連合野外側部および眼窩部より記録されるニューロン活動を解析した。両領野で同一の課題関連活動が記録されたが、外側部では視覚刺激呈示、遅延、運動関連活動が多く、これらの活動は位置や方向に対する選択性を示した。一方眼窩部では報酬関連活動が多く、遅延関連活動も観察されたが、多くは報酬出現に向けて活動が漸増し、方向選択性はみられなかった。眼窩野で観察された方向選択性のない漸増性の活動が報酬期待を反映していることを確かめる目的で、同一条件のODR課題を4回繰り返し行って初めて報酬が与えられる条件での活動を検討した結果、眼窩部の多くの活動が報酬の出現する試行に向けて活動増加を示した。報酬期待に関連する活動は外側部でも観察されたが、眼窩部で高頻度に観察されることから、眼窩部の主要な働きであると考えられる。
 眼窩部は餌やジュースといった生理的意味をもつ報酬の期待に関わることが明らかになったが、私たちはこのような物質的な報酬を期待するだけではない。社会生活においては様々な行為や感情も報酬としての価値をもつ。眼窩部はこのような報酬やそれへの期待にも関わるのかの検討を通して、社会性と眼窩部との関係を明らかにしていきたいと考えている。

[2] 福山秀直(京都大学医学研究科附属脳機能総合研究センター) 

「Default mode network」

要旨
 Default Mode Network(DMN)は、脳賦活試験のデータから派生した研究として、安静時に脳がどのような働きをしているか、さまざまな脳疾患において、安静時に変化がないか研究がなされ、さまざまな成果が報告されている。
 脳賦活試験は、脳に負荷をかけた状態から「安静時」の脳の状態を引き算して、賦活時の脳部位を同定することにより、脳機能の局在を明らかにし、多くの成果を上げてきた。この「安静時」から脳賦活時を逆に引くと安静時に脳の血流が高い部分があり、正常被験者では比較的一定の部位であることが、ワシントン大学のRaichleによって報告されたのが2000年ころである。その部位がどのような意義を持つか当初は不明であったが、なにもしていない状況にある脳が特定の疾患、精神状態と関連しているのではないかということを示唆することになったのは、アルツハイマー病で最初に障害を受ける部位とDMNがよく似ていることがひとつのきっかけである。脳がなにも負荷のない状況でもっとも多くの時間を費やすため、その部位が最初に障害されると考えれば、アルツハイマー病のような加齢にともなって生じる疾患の発現部位と同じであるということは納得しやすい。
 近年、精神状態の変化とDMNの関連の研究が精力的に行われ、自閉症や心理的障害におけるDMNが正常者と異なることから、機能的な脳内の結合状態が変化して、精神的な障害が生じると考えられるようになってきた。「安静時」の機能的結合がなにを意味するか完全な理解は得られていないが、ヒトの心理的状況の研究には強力な武器になる可能性を持っている。

発表者の方へ

・発表形式:口頭発表のみです(PCによるパワーポイント呈示に限ります)
・発表時間:15分(3分の質疑応答を含みます)

*機材等について*

1) Windows 7 PC (ご必要であればWindows XP PCもご用意できます)
Power Point 2010がインストールされています。
(2003および2007で作成されたファイルも読み込み可能です)
データはフロッピーディスク・USB接続機器・CDで入力可能です。

2) Mac Book Pro (Mac OS X Snow Leopard)
Office Mac 2011がインストールされています。データはUSB接続機器・CDで入力可能です。

次の場合は,近日中にご連絡いただければ幸いです。

・ご自分のPCを使用される場合(OSやPCの種類)
・Macを使用される場合
・WindowsPCで,フロッピーをご使用になる場合
・PC以外の機材をご使用になる場合


【学会参加について】

学会へのご参加は無料です。

発表されない場合は,事前にご登録いただく必要はございません。
事前登録が必要になるのは,【発表される場合】と,【懇親会に参加される場合】です。

皆様のご参加を,心よりお待ちしております。

【非会員の方へ】

発表を希望される場合はご入会ください。
ご参加のみを希望される場合でも,できればご入会いただければ幸いです。
入会方法は「入会案内」をご覧ください。
入会は無料です。