第32回日本静脈学会総会会長よりご挨拶

第32回日本静脈学会総会
会長 佐藤 紀
第32回日本静脈学会総会を平成24年6月6日,7日の2日間,さいたま市の大宮ソニックシティで開催させていただくことをご報告するとともに,岩井武尚理事長並びに会員の皆様には深く御礼申し上げます.
さて,先年,平成23年は3月11日の東日本大震災に始まり,大雨,台風,大雪と未曾有の大災害の年でありました.特に大震災の直後,まさに仙台において第31回の本学会を開催されたJR仙台病院病院長,市来正隆先生には,そのご努力を推しはかるとともに,尊敬の念を新たにいたしました.さて私事となりますが,私は仙台の出身で,彼の地には老母が一人暮らしをしております.震災の時には母が友人達と,津波で大被害を受けた荒浜近くに遊びに行っていることを知っておりましたので,全く連絡が取れなかった3日間は大変心配いたしました.幸いかろうじて難を逃れ家にたどり着き,停電で真っ暗な中,近所の人々の暖かい支援を受け無事でいることが分かったときは安堵いたしましたが,その後も被災地の状況はいつも関心を持って見ておりました.災害直後には各地からDMATが派遣されたことはご存じの通りですが,中越地震で明らかになったように,災害後の長期にわたる避難所,仮設住宅暮らしでは静脈血栓症が問題となります.本学会の会員の皆様も震災直後からスクリーニング活動などに尽力されておられましたし,市来前会長も第31回学会で「災害とVTE」と題した緊急企画を組まれました.震災から1年あまりを経過した現在,我々もその後の状況をご報告いただくシンポジウムを今回の学会の中心に据えさせていただきました.今まで知られていなかった貴重な知見が得られるものと期待しております.
今回のテーマは「静脈学の実践」とさせていただきました.これは,巷間で静脈疾患ほど学会の常識とは異なる治療が安易に行われることが多いものはないと感じているからであります.会員の皆様には,市中において静脈疾患の治療に携わる医療者を学会にお誘いいただき,ここで得られる知識を広く普及させるべくご協力願いたいと存じます.
今回は外国から二人の先生をお呼びいたします.お一人は,本学会の副理事長,東海病院の平井正文先生のご親友,オーストリアのHugo Partsch教授です.Partsch教授は静脈・リンパ管疾患における圧迫療法の第一人者でいらっしゃいます.基本ともいえるこの治療法について,我々も知識を整理しながら新たな展望を開くことができるご講演をお聞かせいただけるものと期待しております.アジアからはバングラデシュのNiaz A. Choudhury教授をお呼びいたしました.最近の経済発展には著しいものがあり,日本からの投資も増えている南アジア地域における静脈疾患につきまして興味深い話が聞けるものと考えております.ご講演は英語ですが,Choudhury教授は日本への留学経験もあり,日本語が堪能でいらっしゃいますので,質問は日本語でも受けてくださるものと思います.
そのほか話題のレーザー治療に関するパネル,静脈性潰瘍に対する創傷治療に関するパネル,議論の多いVTE患者に対する圧迫療法・運動の処方などに関するパネルなどを企画させていただきました.皆様のご参加と活発なご討議をお願い申し上げます.
第32回日本静脈学会総会
会長 佐藤 紀







