BPHガイドライン
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BPHガイドライン(PDFファイル) |
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☆ガイドライン
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ガイドライン |
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序
臨床医の役割には、@新しい医療技術を開発する、A開発された技術を検証し標準化する、B標準化された医療を提供する、がある。医療の現場では質の高い医療を提供することが目的であり、質の保証が何によってなされるのかが問題である。
医療行為は人が人に医療を行うという不確実性だけでなく、診断治療技術のすべての過程で完璧を保証し得るものではない。医療の質をあげるために、いかにこの不確実性を小さくするか.という試みがさまざまな分野で追求されてきているが、c1inica1
practice guideline (C.P.G.:診療ガイドライン)の作成もその一つである。最近のC.P.G.については「特定の臨床状態における適切な保健医療についての臨床医と患者の判断を支援するために系統的に開発された声明」と定義されているが、臨床医と患者の判断を支援するためにと述べられているように、これは20世紀後半に入ってからの新しい概念である。これらの背景にはヒポクラテスの誓いに代表されるパターナリズムからinformed
consent、そしてself-determinationを柱とする生命倫理思想によるパートナーシップ医療への変換がみてとれる。C.P.G.そのものは古くから作成され利用されてきているが、こうした医療理念の変化とともに、その作成方法が大きく変容してきている。パターナリズムの時代から常に主流を占めてきたのは専門家の判断によるC.P.G.であり、専門家の主観によりすべて決さきれるという特徴を持っている。したがって科学的な妥当性という点では、その根拠を示すことが困難である。医療を受ける側が医療内容の決定に直接参加するようになって、C.P.G.の作成方法は大きく変わった。専門家だけでなく広く専門家以外の意見を取り入れた方法を取るものとなり、時には一般からの意見も取り入れて合意を形成すること、また合意に至る過程での合理的な基準と根拠が明らかにされるようになった。1980年代に至って登場したのが根拠に基づく手法によって作成するガイドラインである。
根拠に基づくガイドラインの作成は、発表された臨床論文に明確な5段階の評価基準を与え.それに基づいて専門家による系統的な論文の吟味が行われてランク付けされるため、妥当性が高い。また、この方法によって作成されたガイドラインは作成の過程、方法が一定しているため再現性が高い。
理在.C.P.G.の作成はわが国だけでなく世界の大きな流れとなっているが、このような流れが急速に出てきたもう一つの大きな理由として、医療費の高騰と医療財源が逼迫した中でいかに良質な医療を確保していくかという背景があることも見逃すことができない。
医療財源が逼迫すればするほど、経済が医療内容を規定する可能性が高くなるが、提供される医療内容にあまりに大きな違いがあり、その違いに納得できる説明が与えられない場合には、より安価な治療法が選択されることになる。医師が自ら提供する医療内容を正しく評価することは、良質な医療を保障し、社会に対する説明責任(accountability)を果す上で、欠かせないこととなっている。
今回、私共は平成11年度厚生科学研究補助金医療技術評価総合研究「泌尿器科領域の治療標準化に関する研究」(大島伸一主任研究者)の助成を得て、根拠に基づくガイドラインの作成に取り組み、ここに前立腺肥大症のC.P.G.を上梓することができた。ガイドラインの目的が臨床の現場での医師・患者の両者による臨床決断の支援に役立つものであるためには、臨床現場で広く利用されるものでなければならない。泌尿器科領域のなかで最初に前立腺肥大症を取り上げたのは、泌尿器科のなかで最も頻度の高い良性疾患の一つであり高齢化を迎えて今後更に増加が見込まれるものであること、泌尿器科医だけでなく、内科医によっても多くの患者の診療が行われており、最新の治療方法と内科医、泌尿器科医の役割分担について一定の指針を与えることが医療の質改善に寄与するところが大きいと思われるからである。
C.P.G.の作成にあたっては、1989年?1999年の間に世界中で発表された過去11年間の前立腺肥大症の診断治療について行われた臨床論文(Med1ine739編、Cochrane
Library411編)のすべてについて、泌尿器科専門医および疫学者が協同しその内容を吟味し、ランク付けを行った。その結果に基づいて.前立腺肥人症の各病型(重症度)に対して現時点で根拠が明らかで推奨できるものと、根拠が明らかでないものに分類し、治療の指針をアルゴリズムの形で明らかにした。また検査内容、治療内容により内科医が対応すべきものと、泌尿器科医が対応すべきものについて一定の判断基準を明らかにした。ただし、どのような病型まで対応が可能かについては個々の医師の経験・能力に依存する部分が多く、一概に内科・泌尿器科医に分類することが適切でない可能性もある。これについては今後、関係者を交えて更に検討する必要があると思われる。
作成にあたって、@日本人を対象にしたRCTが限られている中で日本人の人種特性をどう取り扱うか、A日本で医療保険の適応外となっている治療法をどう取り扱うか、が問題となった。@については.前立腺肥大症における人種特性を生物学的に裏付ける論文やその臨床効果等を客観的に裏付ける論文は見当たらないため、特に配慮しなかった。Aについては、C.P.G.は実用的であることが大きな目的の一つであるため、医療保険の対象外となっている治療については、これを検討の対象からはずした。
今回、私共の作成したガイドラインは疫学者と泌尿器科専門医による合作であるが、現時点では、@医療経済学者、内科医等の参加が得られていない、A実際にガイドラインを使用した結果について評価が未定である、という問題点を残している。C.P.G.を作成する目的が医療の質を改善することにあることを考えると、このC.P.G.がどのように使用され、その結果について検証する作業が今後必要である。
C.P.G.はあくまで標準的な患者(standard patient)を想定したものであり、患者の個別性に応えるものではない。臨床現場は「個」に対してどうするか、が常に間われる場であり、その意昧ではC.P.G.は万能ではありえない。したがってC.P.G.によって医療が画一化されたり、医師の裁量が侵されるものではなく、目の前にいる患者にどのような治療を選択すべきかを考える上で、現時点で根拠を持って答え得る一つの指針を示したものにすぎない。個別性の患者に対して、患者の希望あるいは同意に基づいて、指針を離れた治療法を選択する場合にはその治療法を選択する正当な根拠があるはずであり、それは修練を積んだ医師の裁量であり、また義務でもある。本ガイドラインを発行するにあたっては、専門医を対象とするよりも、むしろ日常的に前立腺肥大症の診療を行っている一般内科医を主な対象として編集した。同時に、今後更に増える患者さんにもわかりやすいように、必要に応じて解説を加えた。本ガイドラインが広く使用され、医師・患者間の信頼関係の醸成に寄与し、その結果としてより艮質で効果的な医療の提供が行われるようになることを願ってやまない。
平成13年10月
名古屋犬学大学院医学研究科泌尿器科学 大島伸一
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■執筆者
大島 伸一
西澤 理
平尾 佳彦
長谷川友紀 |
名古屋大学大学院医学研究科泌尿器科学教授
信州大学医学部泌尿器科学教授
奈良県立医科大学泌尿器科学教授
東邦大学医学部公衆衛生学助教授 |
■ 分担研究者
平尾 佳彦
長谷川友紀
山内 一信
小野 佳成
絹川 常郎 |
奈良県立医科大学泌尿器科学教授
東邦大学医学部公衆衛生学助教授
名古屋大学大学院医学研究科医療管理情報学教授
名古屋大学大学院医学研究科泌尿器科学助教授
社会保険中京病院泌尿器科部長 |
■ 研究協力者
塚本 泰司
棚橋 喜克
村井 勝
東原 英二
岩本 晃明
出口 修宏
西澤 理
大園誠一郎
香川 征
内藤 克輔
内藤 誠二 |
札幌医科大学泌尿器科学教授
東北公済病院泌尿器科部長
慶應義塾大学医学部泌尿器科教授
杏林大学医学部泌尿器科学教授
聖マリアンナ医科大学泌尿器科学教授
埼玉医科大学泌尿器科学教授
信州大学医学部泌尿器科学教授
奈良県立医科大学泌尿器科学助教授
徳島大学医学部泌尿器科学教授
山口大学医学部泌尿器科学教授
九州大学大学院医学研究院泌尿器科学教授 |
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目次 |
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I.
前立腺肥大症の基礎知識
前立腺肥大症について
はじめに
1. 病態
2. 症状
3. 診断
(1) 病歴
(2) 理学的検査
(3) 尿検査
(4) 血清クレアチニン測定
(5) PSA測定
(6) 尿流測定
(7) 残尿測定
(8) 内視鏡検査
(9) 画像診断法
4. 疫学
5. 治療
6. 治療における経済性
II.
前立腺肥大症診療ガイドライン
前立腺肥大症ガイドライン
はじめに
1. 前立腺肥大症のガイドライン作成の背景と目的
2. 前立腺肥大症の診断法
(1) 基本的評価
(2) 国際前立腺症状スコアを用いた症状の定量的評価
(3) 排尿機能と前立腺形態の評価
(4) 前立腺肥犬症の領域別重症度と全般重症度
(5) 手術適応の決定のために必要と考えられる検査
(6) 前立腺肥大症の診断に必須と考えられない検査
3. 前立腺肥大症の治療指針の提示
4. 前立腺肥夫症の治療
(1) 無治療経過観察
(2) 薬物療法
(3) 低侵襲治療
(4) 手術
(5) 尿道留置カテーテル
5. 今後の展望
前立腺肥大症の治療ガイドライン作成に関する主な論文
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