埼玉県臨床細胞学会会長 安田 政実 |
”埼玉の一員”として活動を始めて15年目に入った。この間,私は多くの細胞検査士の人たちから学んできた。学術委員長を務めたときも,細胞診を日々生業とする検査士の人たち抜きでは何もできないと実感した。正直に言えば,当初(四半世紀前にさかのぼるが),細胞診の専門医(かつての指導医)資格を得た際は細胞診に対する熱意や興味はかなり希薄であった。しかしながらこの14年で意識は変わった。細胞診はこれほどに奥が深く,けして組織診の補充的な役割に甘んじるものではないことを教えられた。ときに細胞診の方が組織診よりもよほど当を得ており,いみじくも形態の本質を捉えて理にかなった表現がなされているとさえ感じることがある。このような大きな”個人的転換”は子宮頸部細胞診におけるベセスダ分類の成熟に拠るところが大であった。 さて,過去に対する所感はこの程度に留め置き,この先の2年間,私自身が会長の立場にあって何ができるのかと考えたとき(考えるまでもないのですが),近い未来への橋渡し役に徹すること以外にはありません。これまで“支部会”が抱えてきた幾つかの懸案や未解決の課題に一つ一つ対峙し,“支部会”がこの先も栄えていきますよう,努めていく所存です。簡単ですが,ご挨拶とします。 令和3年5月 埼玉医科大学国際医療センター病理診断科 安田政実
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