キーシンポジウム14 転移性腫瘍に対する治療戦略
10月14日 第 15 会場 時間:13:10〜16:00
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KS_14
[ 基調講演 ]
転移性腫瘍に対する治療戦略

大原 毅
横須賀共済病院


癌が致命的な病気になる理由は、癌の転移が起こって最終的にはそれをコントロール出来なくなるからである。したがって、佐治会長も述べておられるように「癌治療の成否は転移巣に対する治療戦略が完結できるか」がもっとも大切なこととなる。そこで、転移性腫瘍に対する最近の治療法の概要を紹介し、将来の展望について述べる。そのためにまず第一に必要なことは、癌の転移がどのようにして起こるかというメカニズムを知り、その知識に基づいて治療戦略を考えることである。発生した転移だけに目を奪われていると、また別の部位にしかも決定的な致命的な転移が形成され、結局は治療戦略に齟齬を来すことも十分にありうる。私たちの持っている治療戦略は、手術を主体とした外科的療法と化学療法やその他の非手術的療法とに分かれるが、また局所を相手にするのか、全身を相手にするのかによっても大きな差異を生ずる。本シンポジウムの場合は、転移性腫瘍という名前から、おそらく局所の転移巣に対する論議が中心になるように思われる。すると2つの場合が推定できる。ひとつはその局所のみに限られた転移で、これは「限局性(単発性)局所転移」である。もう一つは、局所的な転移巣に見えても、実は同一臓器や他臓器の中に潜在的な転移を内在しているものの二者があり、後者は「みせかけの局所転移」である。この二つをできるだけ区別して治療することがこれからは必要であろう。さてこの「限局性(単発性)局所転移」の転移性腫瘍を扱う場合、現在もまた将来も大変有力な手段はやはり外科的切除である。そのための工夫や切除範囲の問題が論議されるであろう。私は必要最小限の正常組織を含めての小範囲切除になるであろうと考えている。非手術的方法としては、核医学治療・マイクロ波・PEITOなどがあり、遺伝子治療の一部もこの範疇に入る。「みせかけの局所転移」の場合に、外科的な切除を行うかどうかが問題となり、全身的な治療を優先させるという考え方も当然あるだろう。特に転移性癌の治療について必要なことは、「この治療はーーーでなければならない」という硬直的な考え方ではなく、証拠(エヴィデンス)に基づいた均衡のとれた見方であろう。そして、多くの治療法を総合した横断的な治療戦略の組み立てが、多くの科の共同作業として必要となろう。

JSCO37 抄録集