| シンポジウム8 | 難治性悪性腫瘍の治療戦略:肺癌、スキルス胃癌、膵癌、胆道癌 10月14日 第 7 会場 時間:09:00〜11:50 |
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| S_08 [ 基調講演 ] | スキルス胃癌 −分子生物学の観点から− |
| 曽和 融生 | ||
| 大阪市立総合医療センター | ||
| 周知の如く、癌腫の特徴は異所性増殖と転移を有することである。異所性増殖は組織内での浸潤、進展であり、癌細胞自身の特性の他に宿主側の要因として、癌をとりまく間質成分もひとつの要因である。これら癌の発育進展の機構については従来より臨床病理学的観点から検討されてきたが、近年の分子生物学の急速な進歩により、その手法を用いて検討され、癌の特性が細胞接着因子とレセプター、細胞外マトリックス(ECM)、マトリックス分解酵素(MMPs)や各種増殖因子、サイトカイン、血管新生因子など、さらには癌組織の微小環境における癌細胞と宿主側の間質細胞との相互作用による情報好感など、癌の浸潤、転移への関与が注目されている。これらの現状をふまえて、胃癌のなかでも難治性癌といわれているスキルス胃癌の発育、進展の機序とスキルス胃癌の外科的非治癒因子の一つとされている腹膜播種性転移の形成過程を分子生物学的観点から検討した。スキルス胃癌の特性を検討する目的でスキルス胃癌細胞株(OCUM-2M、以下2M)を樹立し、さらに胃壁由来線維芽細胞(FN8)とのヌードマウス皮下に混合接種によりヒトスキルス胃癌と類似した組織像がえられ、かつこの腫瘍の急速な増殖がみられたことから、その増殖に癌細胞と間質細胞との相互作用の関与が示唆された。これらの事実から、それぞれの細胞に由来する増殖因子の解析を行う一方、スキルス胃癌の急速な浸潤促進に関与する因子についても検討し、FN8細からのTGF-β、HGFならびに2M細胞からの特異的な蛋白の関与が示唆され、スキルス胃癌の急速かつ広範囲な増殖、進展にはこれらの因子のautocrineまたはparacrine的作用の関与が示唆された。一方臨床的にスキルス胃癌は高頻度に播種性転移をきたす事実から、高播種性転移株(OCUM-2MD3)を用いて、腹膜への着床に関与する接着因子を検討し、ヒト癌性腹膜炎時にみられる腹膜中皮細胞の形態変化ならびに腹膜線維芽細胞(NF-2P)増生が腹水中の癌細胞より誘導され、かつ癌細胞の腹膜への浸潤、転移に関与していることが推測された。以上の結果からスキルス胃癌の増殖、浸潤、転移に線維芽細胞抑制、また接着阻害、細胞接着peptide等の接着阻害戦略が、その治療と予防になる可能性が示唆された。これまでに得られた成績について若干の考察を加えて報告したい。 | ||
JSCO37 抄録集