本会はphotodynamic diagnosis (PDD), photodynamic therapy (PDT)に関する
基礎的、臨床的研究の発展とその成果の発表、適正使用の推進
及び研究者の交流を 深めることを目的としています。




「JPAの発展を期して」



JPA会長 加藤治文

 Photodynamic therapy(PDT)が臨床に応用され、早期がんの完全治癒例が経験されるようになり 臨床家や研究者の興味がPDTに集まりつつあった1986年に当時の東京医大外科の早田義博教授によってIPA (International Photodynamic Association、国際光線力学学会)が設立されました。
その日本支部会として1991年にJCIPA(Japan Chapter of IPA)が発足し、年1回の研究会の開催で会員数も徐々に増え、 新しい腫瘍親和性光感受性薬剤、レーザー装置の開発、治療領域の拡大など発展して参りました。
そして10年後の2001年からは日本光線力学学会として出発することになりました。


 PDTの歴史は今から100年前に遡りますが、当然のことながら適切な薬剤と光源の問題から普及することなく半世紀が過ぎました。 1960年代になりますと米国のMayo ClinicのLipson等が、がんに効率的に集積するhematoporphyrin誘導体(HpD)を開発し、 この分野は急速に発展することになりました。
HpDはがん病巣に特異的に集積し、光線照射によって光線力学的反応が惹起されることが証明され、 当時R.Fontana、D.Sanderson、D.Cortese等によって気管支の診断的有用性が検討されておりましたが、 1970年代になりますとRoswell Park Memorial InstituteのThomas J.Doughertyが、 現在のPDT発展のきっかけとなった動物の原発性悪性腫瘍のPDTを試み、その成果を基に、 臨床応用として乳がんの皮膚転移巣で局所抑制効果が報告されました。

 わが国では1978年、Doughertyとの共同研究により、私共の犬肺がんモデルを使っての 内視鏡的PDD(Photodynamic Diagnosis)およびPDTの前臨床試験を行い、安全性と有効性を確認後、 臨床応用として1979年11月肺がんの診断的蛍光観察(PDD)を、1980年1月乳がんの皮膚転移巣に対してPDTの効果を確認、 1980年3月に早期肺がんのPDTが施行しました。74歳の男性で右B2bに発生した2mmの扁平上皮がんでありましたが、 完治を得ることができました。すべての臓器を含めこの内視鏡的PDTは世界最初の試みでありました。 これを動機に全世界的に内視鏡的PDTが普及することになりました。

 1982年厚生省がん助成金研究班(早田班)、1986年加藤班によってわが国におけるPDTの基礎および臨床的研究が精力的に行われ、 その成果を基に1989年から1992年に亘って早期の肺がん、胃がん、食道がん、子宮頚部がん、 膀胱がんに対するPhotofrinとexcimer dye laserによるPDTのPhaseII多施設共同臨床試験が行われました。 そして、その有効性と安全性が確認され、1994年に厚生省の認可を、1996年に保険収載されました。

 現在までに多くの臓器の悪性腫瘍、感染症、血管新生抑制、代謝性疾患の診断や治療に研究と臨床応用がされてきています。 患者のQOLを配慮した低侵襲性治療は、時代の流れでありましてこの中でもPDTはまさにそれに適応した治療法でありますが、 一方では根拠に基づいた有効性と安全性が要求されます。より適切な薬剤や光線発生装置が開発されつつあり、 今後の臨床応用が期待されます。

 JPAは患者の利益を追求した更に良きPDD及びPDTの発展を目的とした学会であります。 より腫瘍に親和性を有する光感受性薬剤の開発、励起光源であるレーザー装置のさらなる開発によってQOL維持の治療法の 確立を目指した学会として発展していくことを期待したい。


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