本会はphotodynamic diagnosis (PDD), photodynamic therapy (PDT)に関する
基礎的、臨床的研究の発展とその成果の発表、適正使用の推進
及び研究者の交流を 深めることを目的としています。




「会長就任のご挨拶」



日本光線力学学会会長  古川 欣也 (東京医科大学茨城医療センター 呼吸器外科 教授)

 東京にてWeb開催されました第31回日本光線力学学会総会の定例幹事会(2021年10月23日)におきまして、 加藤治文前会長のご推挙、幹事の先生方のご承認により伝統のある日本光線力学学会の新会長を僭越ではありますが 拝命することになりましたので、ここにご報告を兼ねてご挨拶申し上げます。 会長の職務は遥かに私の能力を超えた重責であり、身の引き締まる思いでありますが、日本レーザー医学会の前理事長 を務めさせて頂いた経験を生かして、光線力学的診断治療法(Photodynamic Diagnosis/Therapy: PDD/ PDT)の基礎および 臨床研究の推進、普及、啓蒙活動、産官学の密接な連携に注力し、本学会の発展に微力ながら貢献していく所存で御座います。


 PDD/PDT は、1960年代に入り米国Mayo ClinicのRichard L. Lipson先生らが、癌に特異的に集積するhematoporphyrin誘導体(HpD) を開発して以来、新しい癌の診断治療法として急速に発展することになりました。1970年代に入りRoswell Park Memorial Institute (現Roswell Park Comprehensive Cancer Center) のThomas J. Dougherty先生が、基礎実験を経て乳癌皮膚転移巣で臨床応用し、 その蛍光診断が可能であることおよび抗腫瘍効果を確認したことにより世界的に研究が推し進められました。わが国では、 私の恩師である早田義博先生と加藤治文先生がDougherty先生と1978年から共同研究を進め、国内多施設臨床試験を経て 腫瘍選択性光感受性物質フォトフリンとエキシマ・ダイ・レーザーを用いた第1世代PDTが、1994年に当時の厚生省から 認可され1996年に保険収載されました。現在は、2003年に認可され2004年に保険収載された皮膚光過敏症の少ない腫瘍選択性光感受性物質 レザフィリンと小型のダイオードレーザーを用いた第2世代PDTが施行されています。肺癌、食道癌、悪性脳腫瘍が保険適用になっています。 子宮頸癌においては臨床試験が進行中で、その他の疾患においても適応拡大が期待されています。ALA(アミノレブリン酸)を用いた蛍光診断も 悪性脳腫瘍、膀胱癌に保険適用になっています。 本学会は、低侵襲で患者に優しいPDD/PDTが世界的に注目され、その基礎・臨床研究が推進され始めた1986年に早田義博先生により 創設された国際光線力学学会 (International Photodynamic Association: IPA) の日本支部会 (Japan Chapter of IPA: JCIPA)として 1991年に発足し、第1回研究会が 1991年10月6日 に開催されました。2001年からは現在の日本光線力学学会(The Japan Photodynamic Association: JPA) に名称を変更し発展してきています。


 今後、会員諸先生方のご指導ご鞭撻を賜り、また各レーザー関連学会との連携を深めて本学会の更なる発展に尽力していきたいと存じますので 、宜しくお願い申し上げます。


 2022年1月







「JPAの発展を期して」



JPA名誉会長(前会長) 加藤 治文

 Photodynamic therapy(PDT)が臨床に応用され、早期がんの完全治癒例が経験されるようになり 臨床家や研究者の興味がPDTに集まりつつあった1986年に当時の東京医大外科の早田義博教授によってIPA (International Photodynamic Association、国際光線力学学会)が設立されました。
その日本支部会として1991年にJCIPA(Japan Chapter of IPA)が発足し、年1回の研究会の開催で会員数も徐々に増え、 新しい腫瘍親和性光感受性薬剤、レーザー装置の開発、治療領域の拡大など発展して参りました。
そして10年後の2001年からは日本光線力学学会として出発することになりました。


 PDTの歴史は今から100年前に遡りますが、当然のことながら適切な薬剤と光源の問題から普及することなく半世紀が過ぎました。 1960年代になりますと米国のMayo ClinicのLipson等が、がんに効率的に集積するhematoporphyrin誘導体(HpD)を開発し、 この分野は急速に発展することになりました。
HpDはがん病巣に特異的に集積し、光線照射によって光線力学的反応が惹起されることが証明され、 当時R.Fontana、D.Sanderson、D.Cortese等によって気管支の診断的有用性が検討されておりましたが、 1970年代になりますとRoswell Park Memorial InstituteのThomas J.Doughertyが、 現在のPDT発展のきっかけとなった動物の原発性悪性腫瘍のPDTを試み、その成果を基に、 臨床応用として乳がんの皮膚転移巣で局所抑制効果が報告されました。

 わが国では1978年、Doughertyとの共同研究により、私共の犬肺がんモデルを使っての 内視鏡的PDD(Photodynamic Diagnosis)およびPDTの前臨床試験を行い、安全性と有効性を確認後、 臨床応用として1979年11月肺がんの診断的蛍光観察(PDD)を、1980年1月乳がんの皮膚転移巣に対してPDTの効果を確認、 1980年3月に早期肺がんのPDTが施行しました。74歳の男性で右B2bに発生した2mmの扁平上皮がんでありましたが、 完治を得ることができました。すべての臓器を含めこの内視鏡的PDTは世界最初の試みでありました。 これを動機に全世界的に内視鏡的PDTが普及することになりました。

 1982年厚生省がん助成金研究班(早田班)、1986年加藤班によってわが国におけるPDTの基礎および臨床的研究が精力的に行われ、 その成果を基に1989年から1992年に亘って早期の肺がん、胃がん、食道がん、子宮頚部がん、 膀胱がんに対するPhotofrinとexcimer dye laserによるPDTのPhaseII多施設共同臨床試験が行われました。 そして、その有効性と安全性が確認され、1994年に厚生省の認可を、1996年に保険収載されました。

 現在までに多くの臓器の悪性腫瘍、感染症、血管新生抑制、代謝性疾患の診断や治療に研究と臨床応用がされてきています。 患者のQOLを配慮した低侵襲性治療は、時代の流れでありましてこの中でもPDTはまさにそれに適応した治療法でありますが、 一方では根拠に基づいた有効性と安全性が要求されます。より適切な薬剤や光線発生装置が開発されつつあり、 今後の臨床応用が期待されます。

 JPAは患者の利益を追求した更に良きPDD及びPDTの発展を目的とした学会であります。 より腫瘍に親和性を有する光感受性薬剤の開発、励起光源であるレーザー装置のさらなる開発によってQOL維持の治療法の 確立を目指した学会として発展していくことを期待したい。


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