小牧祥太郎,馬場祥吾,四元祐子,山下喬之,高吉 進,新留 寿,今村 恵,三原 恵,平原大助
Jpn J Compr Rehabil Sci 16: 37-45, 2025
【目的】チーム基盤型医療の進展に伴い,効果的な多職種連携が求められている.しかし,適切な多職種連携教育を経ずに多職種連携を実践することは困難である.本研究の目的は,バーチャルリアリティを活用した多職種連携教育教材が,学生の連携意識や理解に与える教育的効果を明らかにすることである.具体的には,講義前後での意識の変化および視聴環境の違いが教育効果に及ぼす影響を検証した.
【方法】医療・福祉系6学科の学生224名を対象とし,嚥下造影検査場面を通じて多職種連携に関する講義を実施した.参加者は視聴環境により3群(パーソナルコンピューター,教室スクリーン,バーチャルリアリティ)に分けられ,各群で同一教材を視聴した.講義の前後で,多職種連携意識に関する12項目の自記式質問紙を用いて講義前後における意識や理解の変化と,3群の視聴環境の違いが教育効果に与える影響について評価した.
【結果】講義前後の比較では,すべての質問項目において講義後に有意なスコアの上昇が認められた.視聴環境による比較では,「問題解決能力」と「相手を尊重する態度」の質問項目において,バーチャルリアリティ群がパーソナルコンピューター群よりも有意に高い評価を得た.
【結論】本研究ではバーチャルリアリティを用いた教育教材が連携意識の醸成に有効であることが示唆された.
【キーワード】:バーチャルリアリティ,教材開発,多職種連携,多職種連携教育,嚥下造影検査