秀島圭和,浅見豊子,市場正良,松尾清美,村田知之
Jpn J Compr Rehabil Sci 15: 8-16, 2024
【目的】近年開発が進む電動移動機を用いた重症心身障害児への操作トレーニングが,電動移動機の操作スキルや生活機能の改善を図るかについて検討した.そのことで,重症心身障害児の電動移動機操作トレーニングの効果を明らかにすることを目的とした.
【方法】電動移動機を用いた操作トレーニングと通常トレーニングを,学齢期の重症心身障害児,年齢8歳〜18歳の42名に対して行った.操作トレーニングを行う介入群21名,通常トレーニングを行うコントロール群21名の2群にランダムに配置した.介入は,20分/回,3回/週,8週間とし,介入前後の評価にPowered Mobility Program(PMP)とPediatric Evaluation of Disability Inventory(PEDI)を使用し,二元配置分散分析にはSPSSを使用した.
【結果】PMP尺度化スコアは,2群とも有意(p=0.001)に増加したが交互作用は無かった.PEDI尺度化スコアは,2群とも有意に増加したものは無かった.
【考察】重症心身障害児に介入し電動移動機を使用することによって,操作スキルへの効果が明らかになった.今後は,電動移動機の操作トレーニングが重症心身障害児のその後の発達にどのような影響を与えるかを明らかにするための長期的な研究が望まれる.
【キーワード】:重症心身障害児,支援技術,電動移動機,PEDI,PMP