木曽昭史,前田寛文,大高洋平,森 仁,加賀谷斉
Jpn J Compr Rehabil Sci 15: 58-62, 2024
【目的】われわれは,磁束を変化させることで電界を誘導する回転永久磁石(SPM)を用いた小型の装置を開発し,反復性末梢磁気刺激(rPMS)や経皮的電気神経刺激(TENS)と同様に痙縮軽減効果があると仮説を立てた.本研究では,健常人を対象に1回のセッションのSPM刺激効果をrPMSやTENSと比較した.
【方法】11名の健常成人男性を対象とした.陰極をヒラメ筋上に,陽極は陰極から5cm遠位のアキレス腱内側に設置した.刺激電極は脛骨神経を刺激するために膝窩に固定した.最大H波(Hmax)と最大M波(Mmax)を測定し,以下の条件でHmax/Mmaxを算出した.a)15分間のSPM刺激,b)30分間のSPM刺激,c)10,000発のrPMS,d)15分間のTENS,e)15分間の安静(コントロール群).SPM,rPMS,TENSの機器は,腹臥位でヒラメ筋の筋腹に装着した.
【結果】コントロール群と比較して,Hmax/Mmaxは15分および30分のSPM刺激,rPMS,TENSで有意に低下した(p<0.005).15分間のSPM刺激でのHmax/Mmaxの変化は,30分間のSPM刺激およびrPMSでの変化よりも有意に小さかった(p<0.005).
【結論】SPM刺激は健常人のHmax/Mmaxを低下させ,痙縮に対する新たな治療法となりうる.
【キーワード】:回転永久磁石,反復性末梢磁気刺激,経皮的電気神経刺激,Hmax/Mmax