紙上真徳,椿原彰夫,伊藤智崇,小池康弘
Jpn J Compr Rehabil Sci 15: 49-57, 2024
【目的】反復末梢性磁気刺激(rPMS)によって,通所介護を利用する高齢者の膝関節伸展筋力および運動能力に及ぼす効果を検証することである.
【方法】通所介護を利用し,理学療法士による機能訓練を行っている高齢者12名(平均年齢83.8±4.5歳)の両側外側広筋・内側広筋・大腿直筋に,Talent Proを用いて30HzのrPMSを20分間/日,3回/週,計4週間施行した.介入前後の評価項目には,最大随意収縮力(MVC),rPMSで誘発される膝関節伸展筋トルク(rPMS誘発トルク),疼痛(VAS),大腿周径,快適5m歩行時間,30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30),Timed Up and Go Test (TUG),Functional Reach Test(FRT)を測定した.MVCおよびrPMS誘発トルクの測定にはμ-Tas F-1を用いた.
【結果】MVCは両下肢ともに,介入開始直前(右/ 左:59.9±17.2Nm/64.5±21.0Nm)よりも介入終了後(72.4±23.5Nm/72.9±23.0Nm)で有意に増大した.介入開始1か月前と介入開始直前との間,ならびに介入後と介入終了1か月後との間には,変化は認められなかった.rPMS誘発トルクおよびTUG,CS-30は,介入直前よりも介入終了後に有意に改善した.
【結論】rPMSを用いた介入によって,高齢者のMVCやrPMS誘発トルクを増強させ,運動能力も改善させることが明らかとなった.rPMSは,簡便に筋力を増強させる手段であるため,今後は広く普及されることが望まれる.
【キーワード】:反復末梢性磁気刺激,膝関節伸展筋力,高齢者,筋力増強,運動能力