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地域在住高齢者に対するけん玉30日間プログラムの試み−身体・認知機能に与える影響と実用性について−

渡邊豊明,廣渡洋史,外倉由之,竹田和也,花岡秀明
Jpn J Compr Rehabil Sci 15: 34-41, 2024

【目的】地域在住高齢者の認知症や運動器障害のリスク軽減を目標としたけん玉30日間プログラムを実施し,身体・認知機能に及ぼす影響と実用性について検討すること.
【方法】65歳以上の地域在住高齢者17人を対象とし,けん玉30日間プログラムとして,けん玉の集団練習を週1回,計4回の介入を実施し,個別練習を1日20分以上,30日間実施した.また,けん玉の実用性について,集団・個別練習の頻度と実施時間のアンケートを実施した.
【結果】身体機能評価では,膝伸展筋力は介入前後で18.8%の増加と有意な変化が見られた(p<0.01).また,認知機能評価では,介入前後でストループテストは実施時間が10.1%短縮,SDMT の実施数は5.6%増加,単語記憶テストの正答数は17.8%増加し,それぞれ有意な変化が見られた(p<0.05).対象者のけん玉30日間プログラムに関するアンケート結果から,個別練習の頻度について,約3割の対象者が「少し多かった」と回答し,プログラムの修正が必要となった.
【結論】本研究の結果から,けん玉は気楽に楽しめ,仲間とともに継続的に実施することが期待できる.そのため,認知症や運動器障害のリスク軽減に対する1つの運動プログラムになる可能性が示唆された.今後は,けん玉個別練習の実施頻度等を再検討する必要がある.

【キーワード】:身体機能,認知機能,地域在住高齢者,けん玉

第15巻 目次