千葉雄陽,横田純一,橋 蓮,佐々木孝祐,鈴木博人
Jpn J Compr Rehabil Sci 14: 69-77, 2023
【目的】入院を契機にActivities of Daily Living(ADL)非自立となった高齢心不全患者の退院時Barthel Index(BI)の予測に対するプレアルブミン測定の有用性を検討する.
【方法】急性期病院に入院し,急性期および前期回復期心臓リハビリテーション(心リハ)を実施した75歳以上の心不全患者を後方視的に検討した.除外基準は,入院前ADL非自立(BI<85点),心リハ開始時ADL自立(BI≧85点)とした.プレアルブミンの退院時BI予測に対する有用性を4モデルで比較した.比較対象となる変数にはアルブミンとontrolling Nutritional Status(CONUT)を用いた.各モデルの独立変数は,モデル1(共変量のみ),モデル2(プレアルブミン+共変量),モデル3(アルブミン+共変
量),モデル4(CONUT+共変量)とした.予測能の比較には,モデル適合度の指標である調整R2を用いた.
【結果】解析対象は152例であった.解析の結果,プレアルブミンは退院時BIの有意な変数に選択されたが,アルブミンとCONUTは選択されなかった.調整R2は,プレアルブミンを追加したモデル2がモデル1より高値であった(0.362 vs. 0.347).
【結論】プレアルブミンは,入院を契機にADL非自立となった高齢心不全患者の退院時BI予測に有用である.
【キーワード】:心不全,プレアルブミン,Activities of Daily Living,心臓リハビリテーション