畠山 恵,白波瀬元道,鈴木章吾,森田和義,山下晋矢
Jpn J Compr Rehabil Sci 14: 60-68, 2023
【目的】本研究では療養病床入院中に摂食状況のレベル(FILS)に変化があった患者を抽出し,その特徴について調査することを目的とした.
【方法】対象者は医療療養病床の入院患者264名であった.対象者の入院時と調査時の摂食状況をFILSにて評価,FILSを経口摂取なし・併用・経口摂取の
みの3段階に分け,調査時FILSの段階が入院時と変化した症例を抽出し,症例の年齢・性別・在院日数・要介護度・主疾患・摂食嚥下リハビリテーション実施
状況に特徴的な傾向があるか検討した.
【結果】FILS改善群は6.8%,悪化群は9.8%であり,経口摂取のみに移行したのは全体の4.5%であった.年齢について,改善群の33.3%が90代以上であった.
性別では,対象者全体を母比率とした正確二項検定の結果,改善群において女性が有意に多かった.主疾患について,経口摂取なしから経口摂取のみに改善した
83.3%が脳血管疾患であった.在院日数・要介護度については改善群・悪化群ともに対象者全体の割合と比して,偏りは認められなかった.対象者全体と比して改
善群で間接嚥下訓練および直接嚥下訓練の実施率が高く,改善群では経過観察のみ実施の症例はいなかった.
【結論】摂食状況が著明に改善したのは脳血管疾患の女性に多かった.一方,悪化例には特徴的な属性は認められなかった.
【キーワード】:医療療養病床,摂食状況(FILS)変化,摂食嚥下リハビリテーション